2020年1月14日にWindows 7、同年10月13日にOffice 2010のサポートが終了する。まだ1年以上先のことではあるが、悠長に構えていられるほどの猶予はない。14年4月にWindows XPのサポートが終了した際には、期限までに最新OSへの移行が実行されず、多くの個人・法人がセキュリティーリスクに晒されるなどの問題が生じた。日本マイクロソフトは今年1月から法人向けサポート相談終了窓口を開設。2年前という早いタイミングから移行の呼びかけを始めている。10月17日に開催された記者会見では、Windows 7およびOffice 2010から最新環境への移行状況が説明された。

サポート終了が迫ったWindows 7/Office 2010の移行状況を日本マイクロソフトが発表

 現時点で大きな成果といえるのは、大企業や自治体の移行状況だ。大企業(資本金が3億円以上/従業員が300人以上)では約95%が最新OSであるWindows 10への移行に向けた活動を開始。自治体でもWindows 7のサポート終了時期の認知率は約97%と高水準に達している。一方で、課題といえるのが中小企業(資本金が3億円以下/従業員が300人以下)。Windows 7のサポート終了時期の認知率は約57%と半数をやや上回る程度だ。
 
現時点で大企業・自治体は順調で、課題は中小企業

 業務執行役員 兼 Microsoft 365 ビジネス本部長の三上智子氏は、移行の重要性を説くうえで、Windows 7が登場した09年当時のデジタル環境を引き合いに出す。「現在ではスマホが当たり前だが、09年はガラケー全盛期。その後は9年で支払い方法が現金からキャッシュレスへ、音楽はCDからストリーミングサービスへ、一気にデジタル化が進んだ」。
 
業務執行役員 兼 Microsoft 365 ビジネス本部長の三上智子氏はWindows 7登場時と
現在のデジタル環境の変化から移行の重要性を説いた

 しかし、日常生活のデジタル化を誰もが実感する一方で、日本のビジネス環境の変化の速度は極めて遅い。同社がアジア14カ国で実施した20年に向けた仕事環境の調査では、「デジタルスキルのギャップ解消に経営者がコミット」「フレキシブルに働くための会社の支援」「デジタル化に向けた準備」など多くの項目で日本はアジア平均を大きく下回った。三上氏は「日本ではIT投資=コスト、クラウド=複雑とのイメージがいまだに強い」と原因を分析。「いかに簡単でメリットがあるのか、分かりやすく地道に伝えていく以外に方法はない」との見解を示した。
 
日本はアジア全体と比較してITによる働き方改革が大きく出遅れている

 説得力のある移行のメリットとして、執行役員 兼 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏が示したのは、経年によるPCの修理率だ。同社がアジア2156社(うち日本は355社)で実施したリサーチによると、購入から3年目の修理率は約20%だが、4年目になると約3.4倍の約67%に跳ね上がるという。「修理費や生産性コストを考慮すると、購入から4年以上経過したPC1台当たりの損失額は34万9983円」(梅田氏)。更新を引き延ばしは逆にコスト増につながっているという試算を紹介した。
 
執行役員 兼 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏は、
PC更新の引き延ばしは実はコスト増につながっていると語った

 日本マイクロソフトは、20年までに法人におけるWindows 10への移行率を90%に、中小企業のOffice 365導入数を10倍にする目標を掲げているが、Windows 7/Office 2010のサポート終了は目標を達成するための最重要トピック。年末に向けてMicrosoft Businessのキャッシュバックキャンペーンやクラウド啓蒙の全国キャラバンを開催することも発表されたが、これから1年でXPサポート終了時期以上の移行支援対策が展開されることは間違いなさそうだ。(BCN・大蔵 大輔)