【上海発】中国・上海で開催されているアジア最大規模のコンシューマ・エレクトロニクス総合展示会「CES Asia 2018」では、スマートホームが大きなテーマの一つになっている。中国は現在、国をあげてAI(人工知能)技術の発展に取り組んでおり、各社もAIを使ったスマートホームの進化に向けて研究を重ねている。

家電化でこれまでにない家の設備を実現

 日本でスマートフォンメーカーとして有名な華為技術(ファーウェイ)が提案するスマートホームは、スマートハブで複数のIoT機器を別々に操作するのではなく、例えば、家を出てドアを閉めたら自動でカギがかかるだけでなく、家の中に誰もいなければ照明が消えて、カーテンも閉まるという仕組みだ。照明の消し忘れによる電気の無駄遣い防止や、防犯効果も期待できるだろう。
 
ファーウェイがブースで披露した「ドア」「カーテン」「照明」が連動するデモ

 海爾集団(ハイアール)は、家中のさまざまな場面を想定したスマート家電をブースで展示。体重計のデータと健康へのアドバイスを表示する鏡や、部屋の温度や湿度、人の出入りを検知して最適な環境をつくるエアコンなど、まさに家を丸ごとIoT家電で埋め尽くすことを実現しようとしている。
 
ハイアールのブースはすべてIoT関連の展示

 複数のブースで共通していたのは、顔認証やスマートフォン(スマホ)をタッチするだけで開くスマートドアの展示があったことだ。ファーウェイやハイアールといったスマホや家電のメーカーだけでなく、PCメーカーの聯想集団(レノボ)も来月から市場で展開する予定の製品を展示。強みは、PCでも導入している指紋認証機能。これまで培ったノウハウを生かし、より正確に素早く認証できるという。
 
PCメーカーのレノボが指紋認証機能付きのドアノブを展示

 ドアノブには、ほかにも顔認証機能を搭載した製品を珠海全志科技(オールウィナー)が展示していた。中国では近年、カメラやセンサーなどの技術の進化に伴ってあらゆるもののデジタル化が進んでいる。とくに、ドアは物理的な鍵を必要としなくなってきており、鍵をなくしてしまうリスクが減ってきた。しかも、慣れ親しんだ物理的な鍵で開かないドアのほうが、仕組みがわからず不便で不安があるという。

 一方で、高齢者が技術の進化に追いつけないという課題も浮上している。高齢化の進む日本では、まだドアノブのスマート化などは進んでいないが、今後、普及すれば中国と同じような問題が出てくるはずだ。生まれたときからPCや携帯電話のある生活をしてきた世代にとっての“便利”が、高齢者にとって“未知の領域”になるというわけだ。このような状況は、革新的な技術が普及する壁になるかもしれないが、革新的な技術だからこそ使う側の立場を考慮しなければならない。(BCN・南雲 亮平)