新社会人必見! 家電量販店白書 2018

 売上高が7兆円を超えるとされる、巨大な国内家電市場の全体像を把握するため、各社の売上高や従業員数などをまとめてみる。もとになるデータは上場している家電量販店の主要10社が2017年に提出した有価証券報告書(17年3月期)。業界の最新動向とあわせて、各社の状況を読み解く。(BCN・南雲 亮平)


●主要11社のうち上位3社で5割超
 次の一手を模索する各社

 11社の売上高の合計は、前年より約45億少ない、5兆4087億6800万円だった。1位はヤマダ電機、2位はビックカメラ、3位はエディオン、4位はケーズホールディングスで、非上場のヨドバシカメラが続く。力を入れる分野、伸びている分野は、各社それぞれだ。

主要11社の売上高と従業員数
 

 
 

各社の17年の状況

 

データで見る業界の働きやすさ・生産性

(1)平均勤続年数(年)と平均年間給与(万円)の関係
――勤め続けられる会社かどうか

 年数と給与が高い場合は、働き続けやすい会社といえる反面、長い期間安定した成果を出さなければ給与が上がらない可能性もある。年数が短い場合は実力主義の傾向があるか、役職による額面の差が大きいケースなどが考えられる。
 

(2)売上総利益率――サービスや付加価値を測る

 粗利率とも呼ばれ、仕入れた商品にどれだけの利益をのせているかを示す。PCデポのグラフが伸びているのは、サービス事業を主軸に置いているから。ZOAの前々期を上回る実績からは、施策が奏功している様子がうかがえる。
 

(3)売上販管費率――粗利率の関係性が重要

 売上高に対して発生した費用の割合のこと。基本は低いほど好ましいとされるが、大切なのは粗利率との関係。販管費率が高くなった際に、粗利率も上がっていれば戦略が成功したといえる。逆に粗利率が上がらなければ先行投資か失策になる。ラオックスは急速に増やした店舗の負担で、グラフが伸びている。
 
 

業態転換で変わる商材と売り方、キャッシュレス決済の波も押し寄せる

 ヤマダ電機は2017年6月にオープンした「インテリアリフォームYAMADA前橋店」を皮切りに、家電販売だけでなく、家具や雑貨の販売、リフォーム提案まで幅広くフォローする新業態を急ピッチで進める。

 ビックカメラグループも、玩具専門の「ビックトイズプライムツリー赤池店」や化粧品・くすり・日用品などの非家電製品を取り揃えた「ビックカメラセレクト原宿店」を相次いで出店。販売員には新しい商材の知識だけでなく、ターゲットに合わせた提案術を身につけることも求められている。
 

ヤマダ電機、ビックカメラの新業態の店舗

 また、インバウンドで訪日外国人向けにキャッシュレス決済の手段を導入した小売りは多いが、現在は日本人を対象にした決済手段にもその波が押し寄せている。モバイル決済の後進国といわれる日本で、ドコモの「d払い」や「LINE Pay」など、バーコード(QRコード)決済を含む、新たなキャッシュレスの決済手段が定着するのか、注目を集めている。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2018年4月号から転載