国内でも売り上げが好調なゲーミングPCだが、米国や欧州、中国や 韓国など東アジアでの盛り上がりに比べると力不足の面もある。日本特有の課題を挙げつつ、ゲーミングPCベンダーと関連3団体、ゲーミングチーム代表が語り合った。


テーマ1 海外との差を縮めるには
日本市場が抱える課題
期待される「クロスプラットフォーム」

日本独自の市場構造とは、スマホで増えたゲーム人口

 ゲーミングPC市場を盛り上げる上で共通の課題として、日本独特のゲーム市場の構造が挙がった。海外と比べて日本では、スマホゲームが圧倒的に多いのだ。それまで家庭内で主流だったコンソールゲームでさえ、スマホゲームに押されている現実がある。
 

東京・秋葉原のデル「ALIENWARE」の旗艦店
 

デル 柳澤真吾Marketing Manager

 「世界各国のゲーミングPC市場は、PCとコンソール、スマホがほとんど3分の1ずつで拮抗するが、日本はスマホ市場が極端に大きい。世界で4位のゲーム市場規模とはいえ、スマホへの片寄りがある」と、海外と比較した際のプラッ トフォームの違いが、そのまま海外と国内の盛り上がりの差に反映されている。

 2016年の世界ゲーミングPC市場の伸び率が前年比113%のところ、あるメーカーはグローバルでは130%を達成したが、日本はそれに追いつくほどの伸びにはならなかったという。

 それでも国内ゲーミングPC市場に期待を寄せるのは、ゲーム人口比率の高さや、グローバルのコンシューマPC市場が98%のダウントレンドに対し、ゲーミングPCは107%の伸びを示し、今後も成長領域として見込まれているからだ。
 

ユニットコム 渡辺朗プロモーション部エキスパート

 各社が注目しているのが、ゲームタイトルのクロスプラットフォーム戦略だ。「eスポーツに限らず、最近のコンテンツメーカーのタイトルをみても、PCとコンソールのクロスプラットフォームで展開する動きがある。ゲーミングPC市場の伸びしろはまだまだある」。クロスプラットフォーム戦略の裏側には、スマホゲーム市場に 押されて、従来のコンソール向けタイトルも減少しているので、PC向けも同時に揃えるという事情もあるようだ。

プロのゲームチームもメーカーと一緒に考える

 座談会には、ゲーミングPCを使う側のプロのゲーミングチーム代表も参加した。選手の育成や母数の拡大は、そのまま市場の拡大につながる。その点で、選手もクロスプラットフォーム戦略に注目している。「コンソールと同じタイトルがPCで楽しめれば、学校の友だち同士でゲーミングPCを体験する機会が増える。そのときに、圧倒的なゲーミングPCの能力の違いを感じてもらえれば、すそ野は広がるだろう」と、参加者たちは予測する。
 

日本エイサー 谷康司プロダクトマーケティングマネージメント部部長

 ユーザーの母数を増やすために、海外の成功事例から学ぶ活動も積極化している。「国内と海外の違いから目をそらさずに、実際に海外の選手がどのような育成、教育を受けているかを見に行く活動が必要だ」。海外ではプロのプレイヤーが賞金面だけでなく、人としての振る舞いからもあこがれの存在として社会的に認められている。
 

ASUS JAPAN シンシア・テン システムマーケティング部部長

 「ゲームは楽しいし、悪いものではない。だけど、野球やサッカーのような興行として成り立たせるには、お客様を感動させるプレイヤーをどれだけ多く排出できるかが、ゲーミングチームの務めだ」との認識は一致していた。メーカーと一緒になってイベントを企画したり、販売支援を行うなど、ゲーミングチームとメーカーが一体化した取り組みも活発になっている。(BCN・細田 立圭志)
 
7社5団体が議論 ゲーミングPC業界座談会 2017
開催日:2017年7月20日
場所:BCNアカデミールーム
参加メーカー:日本AMD、日本エイサー、ASUS JAPAN、日本HP、サードウェーブ、デル、ユニットコム、SCARZ、DETONATOR、e-sports促進機構、日本eスポーツ協会、日本eスポーツ連盟(団体種別、50音順)


※『BCN RETAIL REVIEW』2017年9月号から転載