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<TopVision>ケルヒャー ジャパン佐藤社長が語る、「屋内」市場に商機あり(前編)

インタビュー

2017/01/27 17:00

 黄色い筐体が目印の高圧洗浄機メーカー。それが独ケルヒャーのイメージだ。日本法人設立から29年を迎える今年、本社を宮城県黒川から横浜に移転させる。この機会に、ケルヒャー ジャパンのこれまでの軌跡を振り返るとともに、佐藤八郎社長に今後の展望を聞いた。

取材/道越一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/山下 彰子、写真/川嶋久人

通販からリアルへ拡大 デモを含めた訴求に注力
 

ケルヒャー ジャパンの佐藤八郎社長

ジャパネットたかたと一緒に成長したケルヒャー

道越 業務用の高圧洗浄機メーカーというイメージが強いのですが、家庭用市場にいつから参入していますか。

佐藤 本社があるドイツでは1984年に家庭用市場に参入しました。業務用高圧洗浄機をコンパクトにしたところ、ヨーロッパ市場で爆発的に売れました。今では売上高の約5割を占めます。しかし、日本市場では業務用の比率が高いのが現状です。

道越 テレビショッピングで販売しているイメージがありますが、この取り組みはいつごろからですか。

佐藤 1990年前後にジャパネットたかたの創業者・髙田明氏に興味を持ってもらったことがきっかけで、取り上げてもらえるようになりました。まさにジャパネットさんと一緒に成長したようなものです。ジャパネットさんから『お客様に使い方が分かっていただけていない』とアドバイスを受けたら、取扱説明書をもっとわかりやすくするために本社にかけ合ったり、撮影の際にはスタジオがあった長崎県・佐世保市に前日から現地入りして、キャッチコピーはどうするか、機能や特徴をどう見せるかについて話し合ったりしました。それまで高圧洗浄機もケルヒャーも知名度は低かったのですが、2005年ぐらいには土俵に上がれるようになりましたね。
 

「ジャパネットさんと一緒に成長したようなもの」と語る佐藤社長

リアル店舗での苦労が多彩な販促デモを生む

道越 リアル店舗での展開はいかがですか。

佐藤 同じく90年前後からホームセンターを中心に取り組んでいましたが、当初は大変厳しかったですね。『委託販売なら置いてもいい』、『店売りは通販で売れてからだ』などの厳しいお言葉をいただきました。店舗にやっと1台置いてもらっても、ホコリをかぶっていたこともあります。

道越 店頭に置くだけではなかなか売れづらいですよね。

佐藤 ですので、いろいろ取り組みました。ホームセンターの駐車場にトラックで乗りつけてデモンストレーションを実施したり、店内でリサイクルタンクを使ったデモも行ったりしました。営業が頑張りましたよ。営業人員を増やしつつ、徐々に知名度を上げていきました。テレビショッピングの効果もあり、05年には知名度、売り上げが急激に伸びました。

道越 家電量販店への進出はいつごろですか?

佐藤 04 ~ 05年ですね。当時、高圧洗浄機はDIY商材だと思われていましたが、テレビショッピングのおかげでプラグインの家電なんだと認識してもらえました。現在、家電量販店チャネルは大事な柱の1本となっています。

道越 今年、横浜に本社を移転しますね。

佐藤 16年4月から社屋の建設を始めています。完成は17年7月の予定です。新横浜駅から10分ほどの場所にあるので、新幹線でのアクセスがとても便利になります。これでお客様やお取引様とよりface to faceでお話ができるようになります。

道越 最後に今後の目標を教えて下さい。

佐藤 ケルヒャーはこれまで、ドイツの高圧洗浄機のメーカーと思われてきましたが、20年以降は清掃といったらケルヒャーと思われるよう、生活に根付いたブランドに成長させていきたいと思います。
 

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■プロフィール

1948年生まれの山形県
温海町(現 鶴岡市)出身。早稲田大学商学部卒後、71年4月に住友スリーエムに入社。86年5月に日本ヒルティに入社。95年4月ケルヒャージャパンに入社し、同年10月に代表取締役社長に就任(現職)。

・後編に続く

・<動画インタビュー>トップに聞く『会社の夢』―ケルヒャー ジャパン佐藤社長
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年2月号から転載