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根強い「桐」ファンに支えられ、30周年カウントダウンでWindows 10対応

 管理工学研究所の日本語データベースシステム「桐」は、1986年に販売を開始してから2016年で30周年を迎える。同社は、日本のコンピュータ産業 黎明期の1967年、ソフトウェア専門メーカーとして誕生した。今でいうベンチャーの草分けだ。2017年に創業50周年を迎える同社の立壁克之社長は、 「『桐』は根強いファンに支えられて、再び息を吹き返している」と、根強いユーザーに支えられていると語る。


「桐」の発売から2016年で30周年。2017年は会社創業50周年を迎える管理工学研究所の立壁克之社長

長い「冬眠期間」もファンが支えた30年


 「桐」は官公庁や大手企業、中小企業、個人まで幅広い層に根強いユーザーがいる。現在まで累計200万以上のユーザーに使われている。発売当初から、複雑なプログラミングをしなくても、画面を見ながら手操作で必要なデータを抽出できる使い勝手の良さが評価されていた。

 だが、1995年のいわゆる「Windows 95」の登場で、マイクロソフト社製のOSが普及するにつれ、販売本数は減っていった。会社の経営も、新規事業である携帯電話のソフト開発や医療機関向け の電子カルテ(XDS地域医療連携システム)、教育機関の時間割作成支援など、法人向け事業を強化していった。

 ソフト業界の激しい変化の波を乗り越えてきたのも、「人と同じことはしたくない」という約100人の技術者集団を抱える同社ならではの特徴だろう。

 最近では、スマートフォンにAndroidOSを搭載する際にチューニングする受託事業が好調という。この間の「桐」について、立壁社長は「冬眠の期間 だった」と表現する。立壁社長自身、1988年に管理工学研究所に入社して最初に手掛けた仕事が「桐」のソフト開発だったから愛着がある。

 「桐」のバージョンアップやバグ修正、Windowsへの対応などはしっかりとサポートしてきた。そうこうしている間に来年で30周年。「桐」を購入したユーザーが、その後もずっと使い続けて支えていたのだ。
 

「30周年カウントダウン」の第2弾でWindows 10対応


 今年は「30周年カウントダウン」と称する第1弾を3月16日に実施した。「桐10」ユーザーを対象に、サービスパック「桐10 sp1」のダウンロード公開をした。地名や人名を確実に入力・表示・印刷するためのフォント関連機能などを強化した。

 8月3日には、第2弾のソフトを公開。Windows 10の対応とマイナンバー制度の施行に伴うセキュリティ機能を強化した。10月2日には「桐10 sp2」として販売を開始している。

マイナンバー制度向けにセキュリティ機能を強化。セキュア化していない桐からのデータアクセスを防ぐ
 

 Windows 10対応では、インストールはもちろん、Windows 7やWindows 8.1を使っているPCに「桐10 sp2」をインストールした後、Windows 10へアップグレードしても、そのまま使えるようにしている。


 セキュリティ機能では、「使う場所」や「使う人」をガードするデータ暗号化機能「セキュア桐」をリニューアルした。

 検出された障害の修正やデータベースエンジンのチューニング、文字出力を担う「フォント管理エンジン」のアルゴリズム改善など基本性能を向上させながら進化している。

 「来年は桐の30周年と、会社設立50周年の1年前のカウントダウンが重なる年。新しいサービスを発表していくので期待してほしい」と、立壁社長は意欲を燃やす。
(BCNランキング 細田立圭志)