「Skype」は、ユーザー同士であれば音声・ビデオ通話ともに、無料で世界中のユーザーと連絡をとることができるコミュニケーションツール。10月中旬、その「Skype」を運営するスカイプ・テクノロジーズ S.A.(スカイプ)のスコット・ダシュラグCOOが初来日し、スカイプの新たな戦略や今後の展開について語った。

通信はハードの時代からソフトの時代へ



 「Skype」は、ユーザー数が全世界で3億7000万人を超え、なおかつ、常に1000万人以上の常時アクセスを誇る人気コミュニケーションツール。無料サービスだけでなく、「Skype」以外の携帯電話や固定電話に格安の料金で通話することができる有料サービスなども展開している。国内・国際通話問わず、格安の通話料を実現することから、プライベートユースだけでなく、ビジネスユースとしても注目を集めている。


 これまで収益構造については、非公開というスタンスを貫いていたが、スコットCOOは、「有料サービスから得る部分が大きい」と初めて回答した。さらに日本では、コンビニで「Skypeクレジット」の販売を開始するなど、収益構造の強化を図っている。


スコット・ダシュラグCOO

 インタビューの冒頭でスコットCOOは、「世界の通信市場は年間1兆7000億ドルあり、毎年約5%の成長を続けている。通信市場の中でスカイプの売上はまだ微々たるもので、これからも伸びる可能性は十分にある」と話し、その中でスカイプは、「通信業界のなかでもっとも急激に成長を遂げた会社のひとつである」と、これからの通信業界における自信をみせた。


 そして、「ビデオ通話の市場は20億2000万ドル。ビデオの分野が今後最も成長するだろう」と話し、スカイプが得意とするビデオ通話をさらに強化することを明らかにした。


 また、「スカイプができた当時は、通信市場が徐々にインターネットへシフトしていた時代だった。最近は、市場が激しく変化するなか、通信はハードからソフトが鍵を握る時代になってきている」とし、「これからは、世界中どこにいてもハードに縛られることなくコミュニケーションをとることできるようになるだろう。ソフトをリードする会社がこれからの通信を担っていく」と、今後の通信市場ついて語った。


スカイプの4つの成長戦略



 スカイプは現在、7期連続で増収増益を達成し、4半期ごとでも50%以上の高い成長率を維持している。今後も高い成長率を保つために、「現在4つの成長戦略を掲げている」と、スコットCOOは述べ、「ビデオ」「ビジネス(法人)」「モバイル」「パートナーシップ」を挙げた。


 「ビデオ」は、冒頭でも述べた通り、今後通信はインターネットを介したビデオ通話が主流になるとし、来年正式版が公開されるSkype 4.0でもビデオ関連の機能を強化した説明。現在、「Skype」利用者の約3割がビデオ通話を利用していると認識しているという。


 また、法人向けの展開では、主に中小企業を中心に展開していくという。スコットCOOは、「ビジネス向けは、コンシューマ以上にきめ細かなサポートが必要になる。また、ビジネス専用の機能も用意していかなければならない」と話す。具体的にはネットワークをコントロールをする「アクセス管理」や、どの社員がどういう利用をしているかを監視する「モニタ機能」などを挙げた。また、「サポート体制も整備していかないといけない」とし、体制については、パートナー企業を集い活用していくという。


 3つ目に挙げた「モバイル」は、携帯電話市場をさす。現在、1万5000人のデベロッパーに対して、JavaベースのSDK(Software Development Kit)を提供しているという。SDKを強化していくなかで、「すべてのPCと携帯電話で、『Skype』を利用できるようにするのが目標」と話し、「iPhone」や「Android」といったスマートフォンにも、今後対応していくと語った。

 最後の「パートナーシップ」とは、スカイプが海外展開の際に、現地法人と協力していくことで、関連の製品や機能を共同で開発する「エコシステム」とスカイプは呼んでいる。現在1万5000人のデベロッパーのほか、50社のハードウェアベンダーとパートナーシップを結んでいるという。今後も法人向けの展開を進めていくにあたって重要と考え、さらなる強化を図っていく。


 最後に日本での展開について触れ、「日本版『Skype』のダウンロード数は1000万を超えている。また、日本にはエキサイトやソニー、パナソニックなどパートナーシップを結んでいる企業も多く、とても重要な市場のひとつである」と話し、日本のユーザー数拡大をさらに狙っていく方針を明らかにした。(BCN・津江昭宏)


最後は笑顔で「また来日したい」と答えてくれた