ウォルト・ディズニーがソフトバンクモバイルと提携し、携帯電話事業「ディズニー・モバイル」を開始する。その第1号機が3月1日発売のシャープ製「DM001SH」だ。そこにさりげなく盛り込んだという「ディズニーらしさ」について、開発者を直撃した。

●ケータイで表現する「ディズニーらしさ」とは?


 ディズニー・モバイルの「DM001SH」は、シャープ製のソフトバンク向け端末「THE PREMIUM 820/821SH」をベースにしたもの。有効200万画素のカメラやワンセグ、おサイフケータイなど、基本的な機能は共通だ。料金プランやサービスもソフトバンクの携帯とほぼ同じ。違いは「DM001SH」の持つ「ディズニーらしさ」だ。

 「ディズニーといえば、やはり夢と魔法の世界。それが一番身近な手のひらの中にある、というのがコンセプトです。今回の端末は、デザインに限らず、コンテンツ、デコレーションなど、すべて統一したディズニーの世界観を届けたいという点から開発しました」と語るのは、上田紀子 ウォルト・ディズニー・インターネット・グループ シニア・プロデューサー。見せてくれたのは、映画「ミッキーの夢物語」の1シーン。今回のサービスのプロモーションでキーアートとして使用されるイラストだ。

 「端末を作るうえで、絶対に外せなかったのがストーリー性です。ディズニーキャラクターの強みは、映画をベースにしたストーリーを持っている点。端末の一番のウリは、ストーリー性をベースにしたコンテンツとデザインなんです」としながら、コンセプトの決定には事前に数千人の女性をリサーチし、デザインやコンテンツに関して議論した、という裏話も明かしてくれた。

 今回の端末には、ストーリー性を説明するための仕掛けが施してある。カスタムスクリーン(待ち受けテーマ)の1つ「Secret Garden」と同名の内蔵ムービーで、「端末のテーマがどういうものかを説明してくれる映像になっています」(上田プロデューサー)という。おなじみのキャラクターが登場する映像の内容は購入した人だけのお楽しみだ。


 デザインでも「ディズニーらしさ」を表現した。本体表面のモノグラムや、センターキーにミッキーをあしらったほか、背面のサブディスプレイには、電話着信時、メール受信時に一瞬だけミッキーが出てくるなど、細かな工夫も凝らしている。


 販売でも工夫する。ディズニー・モバイルは全国のソフトバンクショップで販売するが「『ディズニーが出した、ソフトバンクモバイルの1機種』と見られないよう、ブランドイメージに近い販売ブースを作り、全国で展開予定」(同)だという。

●ディズニーファンに向けたコンテンツやサービスが満載

 端末そのものもさることながら、特徴的なのは、やはりディズニーファンへ向けた様々なコンテンツやサービスだ。本体に設けられた「Dボタン」で専用のポータルサイト「Disney Web」にアクセスし、その時々のディズニー情報やオリジナルの待受画像、フォトフレームといったコンテンツをダウンロードできるというしくみ。ディズニー・モバイルユーザーのみの特典で、今後も「毎日何らかのコンテンツを更新」していく。


 また、現在ソフトバンク携帯向けに提供している22のディズニー公式サイトが追加料金なしで利用できる特典もある。動画やモバイルコミック、ゲームなど様々なサイトがあり、通常は1サイトあたり月額105から315円かかるので、ディズニーファンにはうれしいサービスだ。
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 そして、「ディズニーらしさを出すうえで、重要なサービス」がメールアドレス。ユーザーには「○○@disney.ne.jp」というアドレスが割り当てられるため、ちょっとしたプレミアム感覚でメールが利用できる。公式サイトのサービスの中でも、メール用の素材提供のようなコミュニケーション関連サイトが非常に人気が高いことも、ドメインに「Disney」を使うことにした理由の1つだ。

 毎月の利用金額に応じてポイントが貯まり、オリジナルグッズとの応募、交換ができるサービス「ディズニー・マジックポイント・クラブ」も始める。ディズニー映画試写会の招待券や、ディズニー公式ホテルの優待券などへの応募・交換もできる。

●ターゲットは毎日を楽しく生きたい20-30代の女性

 実は、ディズニーにとって携帯電話事業は初めてではない。07年12月まで、アメリカで「Disney Mobile」として、子ども向けの携帯電話事業を行っていた。しかし「サービス内容自体は評価されていたのですが、他社から通信帯を借りるだけで、後はすべて自前。つまり販売ネットワークがなく、サービスを届ける手段を作るのが難しかった」(ウォルト・ディズニー・インターネット・グループ 広報)という理由でサービスを終了したいきさつがある。

 そこで、日本での参入に当たっては、ソフトバンクから回線網を借りると同時に、販売網をはじめとする国内のソフトバンクモバイル端末で受けられる基本サービスはすべて利用可能にすることで、すぐにサービスインできる状況を作ったという。


 ターゲットも「ポジティブで、いろんなことに興味がある20-30代の女性」(上田プロデューサー)を想定。決してディズニーファンのみを狙うわけではなく「普通の女性向けの気軽に使えるカジュアル感のあるコンテンツ」も用意し、より幅広い層を狙う。

 ポータルサイトでは、オリジナルコンテンツのほか、「YAHOO! ケータイ」の中から20-30代の女性のアクセスが多いショッピング、映画、グルメなどのカテゴリを選んで表示したり、女性向け情報サイト「オズモール」と共同で特集を組んだりする予定だ。


 ターゲットを明確に絞ったことでのメリットもある。「ここまで20-30代にフォーカスした端末というのは当社だけだと思います。それだけに、コンテンツやデザインに強みはあると思います」(同)と自信を見せる。

●自分だけのカスタマイズを楽しんでほしい!

 「私の血と汗の結晶です(笑)」と上田プロデューサーが語るほど思い入れのある新端末。そんな端末を手にしたユーザーには、自分だけのカスタマイズを楽しんでほしいという。「壁紙や着うたなど、多くのコンテンツがダウンロードでき、基本的にコンテンツは毎日何らかの更新があります。ユーザーが何人いても、同じ携帯にはなかなかならないと思います。将来的には位置情報とかも絡めたパーソナライゼーションをして、ユーザーが自分だけのディズニー体験ができるようになると面白いですね」と語った。


 また4種類あるカスタムスクリーンの中でイチオシをたずねると「やっぱり『Secret Garden』ですね。個人的な趣味ですけど……それからヴィンテージミッキーが出てくる『コミックスタイル』も結構人気があるみたいですよ」と明かす上田プロデューサー。最後に端末に込めた思いをうかがった。「たとえば、東京ディズニーリゾートに行った人がみんな幸せな気持になるように、ディズニー・モバイルを使った皆さんが、端末を使うことで楽しい、幸せな体験をしてくれるといいな、と思っています。これからもディズニーのコンテンツや、プロダクトに触れることで、心が安らぐ、ホッとしてもらえるものを作り続けたいです」(BCN・山田五大)