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広がる薄型テレビブランドケータイ、各社の戦略は?(後編)

インタビュー

2008/02/19 13:29

<strong>――PMC「VIERAケータイ」、日立「Woooケータイ」</strong>
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 ワンセグケータイの需要拡大を受け、07年は薄型テレビブランドケータイが広がった。パナソニック モバイルコミュニケーションズ(PMC)は「VIERA(ビエラ)ケータイ」を、一方日立製作所は「Wooo(ウー)ケータイ」を相次いで投入。テレビとケータイを融合させる戦略に打って出た。そこで、各社の薄型テレビブランドケータイ戦略や方向性についてまとめた。

●明るさを追求した高画質と「Wオープン」で勝負するVIERAケータイ

 パナソニック モバイルコミュニケーションズが投入したのは、松下電器産業の薄型テレビ「VIERA(ビエラ)」ブランドを使った「VIERAケータイ」。ドコモ向けのワンセグ対応端末「P905i」として投入し07年11月末に発売した。


 「P905i」は3インチのワイドVGA液晶を採用した折りたたみ型端末。側面のボタンを押すとディスプレイ部が自動で立ち上がる「ワンプッシュオープン」と、折りたたみ状態からディスプレイを横に立てワンセグを横画面で視聴できる「ヨコオープン」の2つのスタイルを採用した「Wオープンスタイル」が特徴だ。

 開発の取りまとめ役を務めた福田正宏・第一ビジネスユニット技術グループプロジェクトマネージャーは「(1)VIERAと同じ高画質技術(2)Wオープンスタイル(3)VIREAとの連携機能が『VIREAケータイ』の定義」と説明する。なかでも「『Wオープンスタイル』は他社端末との違いが一目でわかり、絶対にマネできない技術」と胸を張る。

 自慢の「Wオープンスタイル」は、横画面ではディスプレイの側面に組み込まれたフックを磁力で固定し画面が横に開く機構で実現した。機構の設計を担当した友部真治・商品開発第1センター機構設計グループ第四チーム主任技師は「ユーザーに驚きを与えるという効果を考え、10種類以上のアイデアから実現可能なものを採用した」と狙いを話す。


 ワンセグ表示では薄型テレビ「VIERA」の画像処理回路を携帯電話向けに応用した「モバイルPEAKS(ピークス)プロセッサー」を搭載。画面のノイズ除去や周囲の明るさに合わせてディスプレイの明るさを調整し、メリハリのある映像を表示したり、人間が記憶している色を再現する。

 「モバイルPEAKS(ピークス)プロセッサー」を含む半導体回路には、松下が開発したデジタル家電用システムLSI「UniPhier(ユニフィエ)」を採用。回路設計を担当した藤森一彦・第一ビジネスユニット電機設計グループ設計第一チーム主任技師は「基板の上に効率よく回路を置いて小型化を図ると同時に、回路からのノイズを抑え、消費電力を削減するには苦労した」と話す。

 画面の画作りについて、液晶設計を担当した久保田孝介・商品開発第一センター電機設計第一グループ第三チーム主任技師は「『コントラスト』と『明るさ感』に力点を置いた。特に画面のホワイトバランスにはこだわった」と話し、「明るさ、コントラストについては他社の端末よりも強みがある」と自信をみせる。


 さらに、横画面と高い処理能力を生かし、横画面表示での高画質なゲームにも力を入れた。内蔵する3Dレースゲームはゲーム機並みのクオリティで楽しめる。コンテンツ担当の相澤淳・商品企画グループコンテンツ企画チーム主事は「端末の高い処理能力を生かして、コンテンツ供給会社と協力しながら『なめらか感』や『スピード』を追求した」と話す。

 端末はソフトバンクモバイルにも供給。「920P」として2月下旬に発売する。また、ドコモ向けの第2弾として、「VIERAケータイ P905iTV」の発売も控える。3.5インチワイドVGA液晶と、毎秒15コマのワンセグ映像に画像を補間し、30コマにすることで、なめらかに表示する画像補間機能「モバイルWスピード」、高感度の受信が可能なダイバーシティアンテナを搭載した。
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 福田プロジェクトマネージャーは「ワンセグ端末が増えたことで競争は激しくなる。特徴を出していかないとユーザーに手に持ってもらえない。今後は『VIREA』の技術を生かした高画質を追求するのはもちろん、ワンセグの受信感度の向上や端末の薄型化をさらに進め、真っ向勝負していきたい」と話す。

●発色・高コントラストの有機ELとデザインにこだわったWoooケータイ

 一方、日立製作所も初めて薄型テレビ「Wooo(ウー)」の名前をつけたワンセグ端末「Woooケータイ W53H」をau向けに供給、07年11月に発売した。


 「Woooケータイ」は、2.8インチのワイドQVGAの有機ELディスプレイと、Woooの高画質技術を使った画像処理回路「Picture Master for Mobile(ピクチャー・マスター・フォー・モバイル)」を搭載した厚さが14.2mmの薄型端末だ。マーケティングを担当するカシオ日立モバイルコミュニケーションズの吉田征義・日立営業グループマーケティングチームチームリーダーは「『映像』と『デザイン』にこだわった」と説明する。


 日立では、他社がメインディスプレイに液晶を採用するなか、有機ELを使うことで差異化を図った。商品企画を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズの白澤聡・事業統括グループ企画チームチームリーダーは「有機ELは色の発色が良く、コントラストも高いため液晶よりも高画質」と強調する。Woooケータイでは再現が難しいといわれる赤色の表示と、10000:1という高いコントラストを実現したという。

 画質は「きれいで見やすいことを目指した」(白澤チームリーダー)といい、画像処理回路は有機EL専用のチューニングを行い、映像の場面ごとで画面の明るさや彩度を調整した。白澤チームリーダーは「当社はauの端末のなかでは他社に先駆けて画像補正機能を搭載してきた。画質ではトップの自信がある」と話す。


___page___  デザインは、Woooと同じデザイナーを起用。「Cutting edge Design(カッティング・エッジ・デザイン)」と呼ぶ、鉄の塊を切り裂いたようにムダをそぎ落とし、端末のエッジを立てた形状にした。背面パネルは水の表面張力をイメージして艶とハリのある仕上げを施した。同時に「14mm台のラインを死守する」(同)というほど薄さにこだわった。薄型化を図るため、ワンセグのアンテナは内蔵型を採用した。


 「市場の潮流は『テレビブランド』と『薄型』にある。ワンセグ端末はテレビブランドを前面に出した競争になる。当社では『Woooケータイ』で、ワンセグの受信性能の向上やより高精細なVGA対応といった映像の追求は当然のこと、薄さにもこだわることでユーザーの支持を集めてきたい」と、吉田チームチームリーダーは意気込む。

●今後のポイントは「補間」「録画」「操作性」――「デジタル家電化」進む

 薄型テレビブランドケータイを巡っては、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズも液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」の名前をつけたドコモ向け端末「BRAVIAケータイ SO903iTV」を発売。東芝もソフトバンクモバイル向けの08年春モデルで液晶テレビ「REGZA(レグザ)」からとった「REGZAケータイ 921T」を発表した。

 テレビブランドケータイで、次の競争ポイントの1つとなりそうなのが、「フレーム補間」。ワンセグの画像を補間し、映像をなめらかに表示する技術だ。液晶テレビではすでに一般機能化しているが、今後は携帯電話にも広がりそうだ。


 カシオ日立モバイルコミュニケーションズの吉田チームリーダーも「ここ1-2年は補間技術が重要な競争ポイントになる」と見る。シャープの吉高部長は「画像の補間は検討している。技術的な難易度は高いがクリアしなければいけない方向性の1つ」と話す。「P905iTV」で補間技術をすでに搭載しているPMCの久保田主任技師は「補間機能は携帯でも一般機能化する。だから技術により磨きをかけていきたい」と気を引き締める。

 もう1つが録画機能。シャープの吉高泰浩・通信システム事業本部パーソナル通信第二事業部商品企画部部長は「今後、ケータイでワンセグの番組を録画する人は増える」と予測する。AQUOSケータイでは予約録画やタイムシフト再生、30秒スキップ再生などを搭載。「録画・再生機能で他社よりも先行している」(吉高部長)と自信をみせる。

 カシオ日立モバイルコミュニケーションズの白澤チームリーダーも「ユーザーが録った番組を観やすく再生する機能が求められてくる」といい、今回のWoooケータイで音声つき時短再生などを盛り込んだ。PMCもVIERAケータイで予約録画や早見再生といった録画・再生機能の充実を図っている。

 さらに、シャープの河内巌・通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部部長は「家電のような操作性も重要。起動やチャンネル切り替えのスピードをテレビ並みに引き上げて、初めて使う人でも簡単に使えるようにしなければならない」と指摘する。

 「補間」「録画」「操作性」――薄型テレビブランドケータイが今後進む方向は携帯電話のデジタル家電化だ。より家電に近い端末を目指し、各社がしのぎを削る開発競争はしばらく続きそうだ。(BCN・米山淳)

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