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電動アシスト自転車の実力は? 公園内ゆるゆる試乗レポート

特集

2007/11/05 16:16

 1993年、ヤマハ発動機から世界初の電動アシスト自転車(以下、電動自転車)「PAS(パス)」が発売されて以来、電動自転車はデザインや性能の面で、さまざまな進化を遂げている。今回は、電動自転車の現状を紹介しつつ、実際の乗り心地をチェックした。

●スタイリッシュなデザインの電動自転車が続々登場!

 まずは、電動自転車がどのようなものかをおさらいしておこう。電動自転車とは、搭載したモーターで、人がペダルを漕ぐときの力をサポートしてくれる自転車のこと。最初の漕ぎ出しや、めいっぱい力を入れないと上れない坂道でも、後ろから背中を押してもらっているような感覚でスイスイと走ることができる。

 搭載するモーターは充電式で、家庭用のコンセントで充電する。多くの電動自転車ではリチウムバッテリを採用し、1回の充電で20?50kmの走行が可能だ。本格的なサイクリングには難しいが、ちょっとした遠出や近所の買い物、通勤・通学などに活躍する便利な乗り物だ。

 そんな便利な電動自転車だが、実際のイメージは「デザインがいまいち……」という意見が多いものだったように思う。確かに登場した頃は、いわゆる「ママチャリ」に大きなバッテリが付いたような野暮ったいモデルが多く、若い人には不評だった。しかし、現在ではバッテリ部分がコンパクトになったことで、普通の自転車と変わらないくらいスマートになっている。さらに、デザインを重視したシティタイプモデルが登場し、見た目にこだわる人でもお気に入りの1台を見つけられるぐらい、さまざまなバリエーションをもつようになった。

●ママチャリタイプとシティタイプの乗り心地をチェック!

 気になる実際の乗り心地はどんなものなのか。今回、編集部では、20代と50代の男女の読者にテスターになってもらった。用意した電動自転車はヤマハ発動機の「PASリチウム」とパナソニックサイクルテックの「EZ」の2モデル。



 「PASリチウム」は、ママチャリタイプの電動自転車。カゴがついているので、スーパーなどへの買い出しに便利だ。2時間の充電で約34km走ることができる。一方の「EZ」は、シティタイプの電動自転車。モトクロスタイプのハンドルを採用し、バッテリをうまく取り込んだ、洗練されたデザインが目を引く。こちらは2.5時間の充電で、約44kmを走ることができる。これらに加えて、電動アシスト機能のない普通の自転車2台を用意し、電動自転車と乗り比べてもらった。



 コースは、坂道がある公園内のサイクリングロード。当日は涼しい秋空が広がる絶好の自転車日和だった。さっそく試乗だ。まずは普通の自転車に乗ってもらうが、坂道などはみなさんなかなか大変そう。しかし、電動自転車に乗り換えると、それまでの姿が嘘のように、笑顔を浮かべながらペダルを漕ぐ姿が印象的だった。



●乗って実感! 電動自転車って便利!

深町均さん(50代・男性)
?ふだんはどんなシチュエーションで自転車を?
 駅や近所の店に買い物に行くときに利用します。ただ、家の周りには坂道が多くて、上るときに苦労してるんですよ。
?じゃあ、電動自転車はぴったりですね。
 ええ、これなら今後、足腰が弱ってしまったとしても運転できるし、将来的に便利だと思いますね(笑)。
?実際に乗った感想はいかがでしたか?
 まず「PAS」なんですけど、パワーがホントに強くてびっくりしました。漕ぎ出しもスムーズで、使いやすさ抜群です。「EZ」は、ちょっとパワーが物足りないかと思いましたが、モーターを「強」にしてみると、さすがに快適な走りを楽しめました。若い人が好きそうですよね、こういうデザイン。



黒井文江さん(50代・女性)
?どちらのタイプの自転車が気に入りましたか?
 乗っていて楽しいのは、シティタイプの「EZ」ですね。ペダルを踏み込んだときにグンと加速する感覚が爽快。ただ、漕ぎ出しに慣れるまでにちょっと時間がかかりました(笑)。
?ふだん自転車はどんなことに使いますか?
 買い物に行くことが多いですね。だから、日常的に使うなら、カゴが付いている、「PAS」がいいと思います。
?どんな風に使ってみたいですか?
 ふだんの買い物はもちろんなんですけど、家族みんなで電動自転車をそろえてサイクリングなんてのも楽しそうでいいですね。



柏木健さん(20代・男性)
?ふだん自転車に乗りますか?
 実はあまり乗らないんです。だから、電動自転車の感覚に慣れてしまったら、もう普通の自転車には戻れないですね。
?ここには気をつけたほうがいいというポイントはありますか?
 試しに、電源を切って走ってみたら、バッテリやモーターのぶん、普通の自転車よりもペダルが重くなりました。だから、充電の状態には気をつけたほうがいいですね。面倒くさがりで、ずぼらな人は要注意です。



桑田淳子さん(20代・女性)
?電動自転車の第一印象は?
 電動自転車って、今日初めて乗ったんですけど、想像していたよりかっこいい! 「EZ」なんかは、ふだんの外出に使っても恥ずかしくないですね。
?乗り心地はどうですか?
 坂道でも、ほとんど力を入れずにスイスイ登れて快適でした。ふだんは、坂道になるといつも自転車を押して歩いてたんですけど、久しぶりに自転車に乗ったまま坂を上りきりました(笑)。



●快適な乗り心地に加えてエコにも貢献!?

 みなさん、実際に電動自転車に乗って、その快適さを実感したようだ。理由として挙がっていたのが、やはり漕ぎ出しや坂道を上るときのペダルの軽さ。電動自転車のモーターは、時速15kmまではペダルを踏み込む力と同じ力でアシストしてくれる。「1」の力で漕いだ場合、モーターの力「1」と合わせて「2」の力が出ることになり、坂道なども今までの半分の力で漕げばいいことになる。これなら坂道がラクだというのも納得だ。ただし、時速15km以上になると徐々にその力は弱くなり、時速24kmを超えるとモーターのアシストはなくなる。これは法律で定められた基準なので仕方ないが、自転車でそこまでの速度を出すことは少ないので、さほど気にならないだろう。

 また、柏木さんが言っていたように、充電の状態には気をつけたい。「頻繁に充電していると電気代がかさんでしまうのでは?」と気になる充電代だが、「PASシリーズ」の場合、1回の充電にかかる電気代は約10円。近所への買い物などに使用するなら、1週間に1回充電すれば十分なので、1カ月でも40円だ。ちょっとした外出という部分では、原付よりもコストパフォーマンスは上だろう。

 さらに、電動自転車は電気を使って走るため、排気ガスをまったく出さない点でも優れている。実は電動自転車に限らず自転車自体が、地球環境に優しい乗り物として、いま見直されているのだ。フランスのパリでは、7月から排気ガス削減のために貸し自転車制度を始め、1日に5?7万回の貸し出しがあるくらい好評だという。これからの電動自転車はラクチンかつエコロジーな乗り物として要注目だ。


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