デジタルのいまとこれから

特集

2007/09/07 11:21



【フリーマガジン『BCNランキング』9月号より転載】
 コンパクトデジタルカメラの画素数争いが、熾烈さを増している。昨年、各社から1000万画素モデルが続々と登場し、争いはいったん落ち着いたかのようにみえた。しかし、今年の6月にカシオ、ソニー、パナソニックが相次いで1200万画素モデルを発表。デジタル一眼レフカメラを越える高画素数をコンパクトデジカメで実現し、新たな画素数争いの幕開けとなった。
 画素数が上がるメリットとして、まずは当然、より高精細な写真を撮れるということがある。1200万画素ともなると、髪の1本1本のツヤなど、被写体の細かい質感まで表現できる。
大判でプリントできるのもメリットだ。一般的に、600万画素クラスで撮影した写真をプリントするならA4サイズが限界といわれている。1200万画素なら、A3サイズまで引き伸ばしても、十分にキレイだ。
また、デジタル写真をトリミングすると、写真の画素数は減り、画質は落ちる。1200万画素なら、トリミングしても十分高画質だ。これを利用して、最高画質で撮影した写真を自動でトリミングして、結果としてズームと同じ機能をもつモデルもある。テレビと接続して、画面に写真を出力できる機種も多い。テレビの大画面でもきれいな画質で写真を楽しめるのは、1200万画素ならではである。
一方、画素数が大きくなると、写真のデータサイズも大きくなり、記録メディアに保存できる枚数が少なくなる。メディアへの書込み時間も長くなるので、連写をするときには注意が必要だ。メモリカードの価格は下落傾向なので、大容量・高速転送のカードを使うという手がある。画素数が高くなると写真にノイズが増えるというデメリットもあるが、1200万画素モデルのほとんどはノイズを抑える機能を備えているので安心だ。
画素数アップで、新しい楽しみが広がるコンパクトデジカメ。BCNランキングの7月のコンパクトカメラ販売台数のうち、1200万画素モデルが占めるシェアはまだ8・2%。今後の動向に注目だ。
     
カシオ
EXILIM ZOOM EX-Z1200
CCDシフト方式による手ブレ補正機能を備えた最新の画像処理モジュール「EXILIMエンジン2.0」を搭載
ソニー
Cyber-shot DSC-W200
画像処理エンジン「BIONZ」がノイズを低減。ISO6400の高感度撮影で夜間でも明るく撮れる
パナソニック
LUMIX DMC-FX100
「動き認識」モードを搭載。明るさと被写体の動きを読み取り、撮影ミスを防ぐ
富士フイルム
FinePix F50fd FX-F50FD
画像処理システム「リアルフォトエンジンII」で、高感度撮影時もノイズが少ない
 薄型テレビには大きく分けて液晶とプラズマの二つがあるが、近いうちに新たな選択肢が登場する。それが「有機ELテレビ」だ。
有機ELテレビは、電気を流すと光る性質の有機材料を、基板で挟んだ構造になっている。3原色(赤・緑・青)の有機材料に電気を流して光らせ、映像を作る仕組みだ。有機ELの「EL」は「Electro Luminescence(エレクトロ ルミネッセンス)」の略で、有機材料が電気を光に変換するプロセスを指す。
 有機ELテレビの大きな特徴は、薄くて軽い点。ソニーが年内の発売を予定している11型の有機ELテレビは、最薄部厚さ3mm。さらに、同社が試験的に開発したプラスチックフィルムで作った有機ELテレビは、わずか0.3mmと、名刺並みの厚さだ。将来的には、壁紙と一体化したテレビも製造可能だという。
もう一つの特徴は、画質の美しさだ。一般にテレビの画質の目安として、コントラストと応答性能を挙げることができる。有機ELは沈んだ「黒」を再現し、高コントラストを実現。応答速度も速く、動きの速い映像でもブレが起きない。液晶やプラズマなど、現行のテレビのはるかに上を行く高画質を実現している。
ソニーはすでに27インチモデルの開発にも成功し、大型化への展望を拓いている。家庭への普及はまだ先になる見通しだが、今後は商業施設への導入も含め、薄さを生かしたデザイン性の高い製品の開発に取り組む予定だ。
11型モデルが店頭に並んだら、その薄さと映像の美しさをぜひ自分の目で確かめてほしい。
 子どもの頃、アニメやマンガでロボットに夢中になった人は多いだろう。工業分野を中心にさまざまなロボットが実用化されている中で、最近注目を浴びているのが、人間が着用して身体機能をパワーアップする「ロボットスーツ」だ。
筑波大学大学院山海研究室が母体のサイバーダイン社が開発し、98年に発表したロボットスーツ「HAL(Hybrid Assistive Limb)」は、二足歩行や階段昇降、重いものを持って運ぶなど、人間の動作をアシストする。大きな特徴はその制御方法だ。HALは人間が体を動かそうとするときに脳・神経・筋骨格系で生じる生体電位信号を装着者の皮膚からセンサーで読み取り、装着者がどれだけの力を出したいのかを捉えて、パワーユニットを制御する。この「随意的制御システム」で装着者の筋肉の動きと一体化して関節を動かし、思う通りの動作をスムーズに行うことができるのだ。
また、疾患などで生体電位が出ない人のために、あらかじめプログラミングした動きで操作する「自律的制御システム」も搭載している。このようなサイボーグ型ロボットは世界に類をみない。
 HALは、主にリハビリテーション支援や身体訓練支援、介護支援など、医療・福祉の分野で活躍が期待されている。昨年8月には、脊椎損傷で車イス生活を送る男性が、HALを装着した友人に背負われてアルプス登山を敢行したという実績もある。サイバーダインは住宅総合メーカーの大和ハウス工業と業務提携し、来年からHALを量産化する予定だ。
HAL以外にも、パナソニックの関連会社アクティブリンクが、半身マヒのリハビリ用途のウェラブルロボット(着るロボット)を開発し、来年の製品化を目指している。アメリカでは軍事利用目的のロボットスーツを開発中で、来年から陸軍によるテストが開始されるが、日本では主に医療・介護分野での可能性が広がっている。
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 これまで、PCのデータ記録装置はHDDが主だった。しかし昨年ソニーが発売したモバイルPC「VAIO typeU」を皮切りに、HDDの代わりに半導体のフラッシュメモリを記録装置として採用したPCが台頭しつつある。
 フラッシュメモリを搭載するメリットとして、まず、データ読込み時間の速さが挙げられる。HDDは磁気ヘッドでディスクのデータを読み書きするが、読込み時にデータの記録位置をディスクから探して、磁気ヘッドを移動するぶん、時間がかかる。直接データを読み込めるフラッシュメモリは、PC動作がスムーズなのだ。
耐衝撃性も特徴の一つ。HDDは何らかのきっかけで強い衝撃が加わると、内部の磁気ヘッドがディスクにキズをつけてしまい、データが読み取れなくなることがある。フラッシュメモリは、データをディスクに記録する仕組みではないので、衝撃に強い。
また、省電力性にもすぐれている。ディスクを常時回転させたり、磁気ヘッドを頻繁に移動させたりする必要がないので、HDDと比べて大幅に消費電力を抑えることができる。重量が軽いことも大きな利点だ。
これらのメリットは、主にモバイル用途で威力を発揮する。実際、フラッシュメモリ搭載モデルは前述の「VAIO typeU」や東芝の「dynabook SS RX1」など、モバイルPCが多い。
東芝
dynabook SS RX1 RX1/T9A
12.1型ワイドのモバイルノートPCでは世界一の軽さ・薄さを実現
ソニー
VAIO typeU VGN-UX71
スライド式のキーボードを内蔵。グリップを持って操作する新スタイルのモバイルPC
 容量の面では、まだまだHDDに軍配が上がる。現行モデルのフラッシュメモリの最大容量は64GBと、少々心もとない。また、価格も、HDDよりも高価だ。しかし、フラッシュメモリは大容量化と価格の下落が進んでいる。フラッシュメモリ搭載PCが主流になるのも、そう遠い日ではないかもしれない。
NEC
VALUESTAR N VN570/JG
フラッシュメモリとHDDの両方を内蔵。地上デジタル放送の視聴と録画に対応する
 ご自宅でネットワークを組もうと考えている人は多いだろう。同じ建物の中にあるPCやプリンタなどを接続してLAN環境を作れば、データのやり取りが簡単になる。「有線LANはケーブルの配線が面倒だし、かといって無線LANは設定が難しそう」……そんな不安を抱いている人におすすめなのが、PLC*だ。
PLCとは「高速電力線通信」のこと。家庭の電力線をLANケーブルの代わりに利用してネットワークを構築する新しい通信技術だ。映像や音声などの情報データを高周波の信号(4MHz?30MHz)に変換して電力線に乗せ、双方向の通信を行うことができる。
自宅のコンセントに機器のプラグを差し込むだけで手軽にネットワークに接続でき、配線や細かい設定の手間がないことが大きな特徴だ。
PLCを利用するには、ADSLや光ファイバーなどのブロードバンド回線が開通している必要がある。PLCアダプタの親機をモデムに接続して、コンセントに差し込めばネットワーク接続ができるようになる。PCなどを接続するには、コンセントにPLCアダプタの子機のプラグを差し、子機とPCを接続する。2階建ての家や地下室など、電波が遮断されて無線LANが届きにくい家屋に適している。
 PLCは、昨年末に実用化されたばかり。PLCアダプタは親機、子機ともに外付けHDDくらいの大きさで、まだ使い勝手がいいとはいえないが、いずれ小型化し、モデムやPC本体に内蔵する可能性が高い。PCの電源をコンセントに差し込んで、すぐにインターネットが利用できるようになるかもしれない。PLC経由でオーディオとスピーカーを接続して、家の中の好きな場所で音楽を楽しめる製品も登場するなど、さまざまな可能性を秘めている。
   
パイオニア
musictap
「サウンドステーション」に接続した携帯オーディオやPCの音楽を、電力線経由で「ネットワークスピーカー」で再生する
バッファロー
PL-HDP-L1/S
PLCアダプタ親機と子機のセット。最大55Mbpsの高速通信を実現する
パナソニック
BL-PA100KT
親機1台と子機2台がつき、はじめてPLCを導入するのに最適なPLCアダプタ
 一般に、液晶テレビはスポーツやアクション映画などの動きが速い映像を映すと、残像が出ると言われている。実際、ニュース番組で流れるテロップを見ると、文字がブレていることに気づくだろう。しかしいま、この弱点が克服されつつある。最新の液晶テレビが採用するブレを抑える画期的な技術が「高速液晶」だ。
テレビは、静止画を連続して高速表示することで映像をつくりだす。本の端に連続した絵を描き、それをパラパラとめくると絵が動いているように見えるのと同じ原理だ。一定時間に表示する静止画の数が多いほど、映像の動きは滑らかになる。テレビ映像は、通常1秒間に60コマだが、液晶テレビで速い動きを表示すると、コマ数が動きに追いつかず残像が発生してしまう。
高速液晶はコマとコマの間に新たに1コマ分の静止画を生成し、挿入する。1秒間のコマ数を120コマにすることで残像を抑え、滑らかで自然な動きを実現する。前述のパラパラマンガで例えるなら、絵を描くページ数を増やし、めくるスピードを速めて、絵の動きを滑らかにする仕組みだ。
 コマ挿入の技術は、各社さまざまだ。例えば東芝「レグザH3300」の場合、フルHD画質のコマを挿入することで、ブレを抑えつつ映像を高画質化する。ソニーの「ブラビアJ5000」は、ドラマのアクションシーンやスポーツ番組だけではなく、1秒間に24コマの映画フィルムをテレビで映し出すときに生じる輪郭のユレを抑えて、クリアな画質にする。高速液晶技術を導入しつつ、動画応答速度の速い独自の液晶パネルを採用し、より滑らかな動きを再現するシャープの「AQUOS G」のような機種もある。さらに各社とも独自技術を投入しているが、60コマを120コマに変換するという基本は変わらない。
従来の液晶テレビに比べて高価だが、実際に映像を見れば「高速液晶」技術の効果はすぐにわかる。液晶テレビ選びで迷っているなら、「高速液晶」をチェックしてみるのも手だ。
   
シャープ
AQUOS G LC-52GX3W
コントラスト比と視野角がアップした「倍速ASV液晶パネル」を搭載
ソニー
BRAVIA J KDL-40J5000
独自のアルゴリズムでコマの間に新たな静止画をつくりだし1秒間120コマの映像にする「モーションフロー」対応
東芝
REGZA H3300 52H3300
「液晶駆動用LSI」採用で、より緻密で滑らかな映像表現を実現。新構造の「VA方式液晶パネル」を搭載
 現金を使わずに買い物をしたり、インターネットショッピングの決済をしたりできる電子マネー。ICチップを埋め込んだ専用のカードを読取り機にかざすだけで、手軽に支払いができるのがメリットだ。
現在、電子マネーは11種類。用途で「買い物タイプ」と「乗り物タイプ」に分けられる。「買い物タイプ」はクレジットカード業者などが発行し、スーパーやコンビニなどの買い物に使うことができる。「Edy」や「nanaco」などがこのタイプ。「Suica」や「PiTaPa」などの「乗り物タイプ」は交通機関が発行し、乗車料金が支払えるほか、対応店舗で買い物もできる。
また、事前に現金をチャージする「プリペイドタイプ」と、使った金額をあとからまとめて請求される「ポストペイドタイプ」がある。前者の代表は「PASMO」で、その場で清算できるのが特徴。後者は「QUICPay」や「Visa Touch」などが代表で、クレジット機能をもった電子マネーだと考えればいい。「ポストペイドタイプ」は現金をチャージする手間がかからないが、後払いなのでうっかり使いすぎるおそれがある。
 携帯電話で電子マネーを使用できるのが「おサイフケータイ」だ。「ICOCA」と「PiTaPa」、「WAON」以外の電子マネーはおサイフケータイに対応しているが、それぞれ対応する携帯キャリアが異なるので注意しよう。
電子マネーの種類によっては、特定の店舗でポイントやマイル、割引などの特典がつくことがある。例えば、セブンイレブンで「nanaco」を使って買い物すると、100円につき1円分のポイントがつく。また、特定のクレジットカードとセットで使えば、チャージが自動でできたり、買い物でもらえるポイントが倍になったりすることもある。自分のライフスタイルに合わせて、もっともお得な電子マネーを選ぼう。
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 小説は本ではなく携帯電話で読むもの――最近の女子中高生にとって、それは当たり前のことだ。
「ケータイ小説」という言葉を耳にしたことはないだろうか。これは「魔法のiらんど」や「フォレストノベル」などの携帯電話専用サイトで公開する小説のこと。読者は10代後半から20代前半の女性が中心で、読者がそのまま書き手として携帯電話サイトで自分の作品を執筆するケースが多い。
作品ジャンルは『スウィート スウィート バスルーム』のような恋愛モノが中心だが、それ以外にもSFやホラー、ミステリ、ファンタジーなど多彩なジャンルが揃う。身近なテーマで、自分の思いを書き綴った詩が多いのも特徴だ。携帯小説サイトは、作者と読者同士の“コミュニティの場”になっている。
「フォレストノベル」を運営するビジュアルワークスによれば、「携帯電話の画面で書くので、一つの文章が短く、長い心理描写や風景描写よりも、シンプルでテンポのよい表現が読者に好まれる」という。
 作品をサイトで公開すると、リアルタイムで読者の反応が返ってくるので、それによってストーリー展開が変わることも少なくない。読者は、作品が共感できる内容かどうか、「これは私のことを書いている」と思えるかどうかで、よし悪しを決める傾向にある。たくさんの読者の共感を得られるかどうかが、評価の分かれ目になる。
 ケータイ小説は、口コミで人気が広がることが多い。人気作品の中には、書籍化されてベストセラーになったものもある。中でも『赤い糸』は1週間で100万部を売り上げるなど、一般の読者からも好評を博した。食わず嫌いをせずに、一度その作品に触れてみると、「いまどきの若者のリアル」がわかるかもしれない。
 ふだんPCの操作に何気なく使っているマウスだが、店頭にはさまざまな機能を備えたモデルが並んでいる。その中でも群を抜いてユニークなのが、“空中で操作できる”マウス。
球体のデザインが印象的なソリッドアライアンスの「エッシャーマウス」は空間感知センサーを備え、マウスを傾けた方向にポインタを移動する。マウスを宙に浮かしての使用はもちろん、傾きや段差がある場所に置いて使うこともできるので、机が散らかってマウスを動かすスペースがない人にオススメだ。
通常のマウス操作よりも腕や肩への負担が少なく、ユーザーからは肩こりや腱鞘炎が治ったとの報告が同社に寄せられているという。ただし、医学的な実証はされていない。
寝転んだままでPC操作ができるのが、シグマA・P・Oの「ごろ寝 リターンズ」。グリップの形をしたトラックボールで、片手で握って操作ができる。人差し指が当たる箇所にボタンを2つ配置し、トリガーのようにボタン操作ができるのが特徴だ。ユニークなのは、底部にツボ押し用の突起がある点。何かとストレスが溜まるPC作業。「ごろ寝リターンズ」でツボを刺激して、ストレスを解消しよう。
   
バッファロー
BOMU-W24A/BL
ジャイロセンサーを内蔵し、空中で操作できる。最大約10mのワイヤレス操作に対応