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メモ感覚で手書きの文字をデジタル化、ぺんてるのエアペンを使ってみた

特集

2006/05/26 13:59

 「会議の議事録や打ち合わせのメモを、手早くまとめて参加者全員に配布!」。これは、ビジネスシーンでよく出くわすケースだが、手書きのメモをコピーしてそのまま配布するのは、ちょっと気が引ける。かといって、内容をいちいちノートPCやPDAで入力し直していたら、時間がかかってしまう……。そんなとき、試してみたいのがいわゆるデジタルペンだ。文具メーカーのぺんてるが販売している「airpen(エアペン)ストレージノート」もその1つ。ちょうど5月30日にOCRソフトの「InkMagic for airpen」の試用版を

 「会議の議事録や打ち合わせのメモを、手早くまとめて参加者全員に配布!」。これは、ビジネスシーンでよく出くわすケースだが、手書きのメモをコピーしてそのまま配布するのは、ちょっと気が引ける。かといって、内容をいちいちノートPCやPDAで入力し直していたら、時間がかかってしまう……。そんなとき、試してみたいのがいわゆるデジタルペンだ。文具メーカーのぺんてるが販売している「airpen(エアペン)ストレージノート」もその1つ。ちょうど5月30日にOCRソフトの「InkMagic for airpen」の試用版をバンドルしたバージョンが発売されるとのことで、一足お先に「airpen」と「InkMagic for airpen」で、デジタルペンの使い勝手を試してみた。

●3秒で起動!その手軽さはノートPCに勝る

 ぺんてるの「airpen」は、手書きメモをリアルタイムで簡単にデジタル複写し、パソコンに取り込んで文字の自動認識もできるのが特徴。特に、ややこしい図やフローチャート付きのメモなら、その効果は絶大だろう。デジタル化したメモを画像データとしてメールに添付したり、簡単にテキストデータへと変換することもできる。


 メモリユニットと呼ばれるメモの内容を読み取るための装置と、A5サイズのメモ用紙、専用のボールペンがセットになっていて、一式をコンパクトな専用ケースに収めて気軽に持ち歩けるようにできている。メモリユニットはケースから外して利用することも可能で、専用ケースを含めた全体の本体の重量は、わずか730g。モバイル性は高い。

 実際に手にしてみると、A4のバインダーケースを持っているのと同じ感覚。重さはまったく気にならない。これなら外出する際、どんなに軽量なコンパクトPCよりも、気軽に持ち歩ける。出張のなどにはとても重宝するストレージノートといえそうだ。

 「airpen」の動作モードには、PCとUSBケーブルで直接つないで操作する「PC接続モード」と、パソコンには接続せずに電池から電源供給を受けて動作する「モバイルモード」の2種類が用意されている。特に、モバイルモードで利用する場合、電源ボタンを3秒押すだけで利用可能な状態になるので、会議や打ち合わせの進行に素早く対応できるのがうれしい。また、ページの切り替えは、「バーチャルボタン」と呼ばれるボタンを1秒間押すだけでOKだ。内蔵メモリにはA5サイズで約100枚分のデータが保存可能なため、実用上、まったく問題はないだろう。



●超音波と赤外線で筆跡を忠実に再現してくれる

 さすが有名文具メーカーのぺんてるだけあって、付属のデジタルペンにも、同社の優れたボールペン技術が光っている。メモ用紙に軽く触れるだけで書けてしまうほど繊細な書き味で、細かな文字まで思いのままに書ける点はさすが! と感心してしまった。

 文字を書いていくと、専用ボールペンのペン先から発せられる超音波(音波)と、赤外線(光)をメモリユニットが受信し、到達速度の差からペンの動きを解析・再現して、デジタルデータとして記録していく仕組み。そのため、特殊な紙を使う必要がない。同梱されているメモ帳以外の普通の用紙でも読み取り可能で、ランニングコストも安く抑えられる。


 ただ、構造上やむをえないことだと思うが、ボタン型電池を内蔵している影響で、全体的にややペンが太い感じがする。また、ペン先付近に超音波や赤外線の発信機器があるためか、先端の形状が妙に角ばっているのも気になる。人によっては書きにくいと感じる場合もあるだろう。このあたりは、今後の改良に期待したいところだ。

 とはいえ、手書きメモのデジタル複写機能は、充分に満足のいくレベル。ややこしい設定操作や事前の準備も必要なく、セットしてすぐに使える手軽さ・便利さは特筆ものだ。「airpen」は、メモリユニットとメモ用紙の間に消しゴムなどの障害物をおいてしまうと、正常に認識されなくなってしまうことがある。専用ケースに収納したまま使う際には、利用者の手自体が読み取りの障害になるケースも。そこで、利き手が右左どちらでも大丈夫なように、右利きであればメモリユニットをメモ用紙の左側にセットし、左利きの場合は逆側にそれぞれセットできるように工夫されている。

●ソフトとの連携で手書きメモの活用シーンが広がる

 「airpen」で読み込まれた文字情報は、メモリユニットとパソコンをUSBケーブルで接続し、付属される専用ツール「airpen Manager」でPCに取り込む。この時点では、手書きされた筆跡がそのまま表示されるようになっている。これをそのまま画像形式(JPEG形式)に変換したり、画像データとしてE-Mailに添付することも可能だ。これは、海外出張の時など、日本語フォントがインストールされていない、といった特殊なPC環境下でも大活躍しそうだ。

 手書き文字をテキストに変換するには、体験版として付属する文字認識ソフト「InkMagic for airpen」の出番だ。といっても、「airpen Manager」から直接呼び出すことのできる連携ソフトだから、特に難しい設定や操作は必要ない。ちなみに、「InkMagic for airpen」体験版の試用期限は30日となっているが、8400円でライセンスキーを購入すれば継続使用できる。

 肝心の文字認識能力だが、思った以上に精度が高いことに驚かされた。また、一般のOCRソフトのようにマス目にちまちまと文字を書いていく必要はなく、普通に書いた文字を変換してくれるのは気分がいい。細かい文字や難しい漢字などもほとんど正確に変換される。所々に変換ミスや改行ミスが見られるが、テキストエディタのように画面上で随時、修正が行えるので、メモの内容すべてを最初から入力することを考えれば、作業効率は段違いに高い。


 ただし、「!」や「?」、矢印などの記号文字は変換ミスの確率が高いようだ。また、マニュアルの注意書きにもあるが、右肩上がりのように文章を斜めに書いた場合や、文字間を均等に空けなかった場合、複数の文字をつないで書いた場合、略字を使用した場合などは認識精度が落ちてしまう、といった点は気をつけて使いたい。また、用紙のブレにも注意が必要。用紙が動かないよう片手で押さえながら記入すれば、ほとんど読み込みの誤差もなく、筆跡どおりに記録できる

●モバイル性に優れた実践派のためのストレージノート

 もちろん「airpen」は、製品の特性上、モバイルで利用するケースが多いだろう。とりあえず、現場でデジタル化しておけば、いつでも内容の確認や整理が可能だ。そして、必要ならばデータをPCに取り込んで、手間なく「テキスト起こし」すればよい。議事録作成や報告書の提出、メール送信など、情報をデジタルにすることで、活用範囲が広がる「airpen」のメリットは大きい。


 また、重要な商談や会議などの場合、手書きメモとデジタルデータを両方、一度に残せるのは安心できる。いわば、物理的に、そして電子的に記録を残す、2重のバックアップ体制を手軽に実践できるのだ。仕事のスピードや効率化、正確さが要求される現代のビジネスマンにとって、「airpen」は頼りになるツール。まさに、実践派のためのストレージノートといえるだろう。(フリーライター・古作光徳)

<動作環境>
対応OS:Microsoft Windows 98SE、Me、2000、XP
CPU:Pentium 166MHz以上
設定メモリ容量:64MB以上(128MB以上推奨)
ハードディスク:30MB以上の空エリアが必要
通信ポート:USBポート
Webブラウザ:Internet Explorer5.0以上(Netscape Navigatorは非サポート)
画面の解像度:800×600ピクセル以上
画面表示ビット数:16ビット(High Color)以上