• ホーム
  • トレンド
  • アイリスオーヤマ、IHジャー炊飯器参入のチャンスは2つの「ズレ」

アイリスオーヤマ、IHジャー炊飯器参入のチャンスは2つの「ズレ」

特集

2016/12/12 10:04

 アイリスオーヤマは、3合炊きの「銘柄量り炊き IHジャー炊飯器 RC-IA30」で、大手国内家電メーカー6社の競合ひしめくIHジャー炊飯器市場に参入するにあたり、二つの「ズレ」にチャンスを見出した。一つは炊飯器のラインアップと顧客ニーズの「ズレ」、もう一つが炊飯する際の米の量と水の量の「ズレ」だ。


アイリスオーヤマの家電事業部 調理家電事業部の平元佑司事業部長

精米のパック販売を通じて少量炊きのニーズを把握、製品開発に生かす

 「いまや世帯数の約6割が一人や二人暮らし世帯で、多くの家庭で3合や2合炊きが一般的。しかし、国内の炊飯器市場では5.5合炊きが6~7割を占める」とアイリスオーヤマの家電事業部 調理家電事業部の平元佑司事業部長は、既存メーカーの製品ラインアップと、潜在的なニーズのギャップを指摘する。
 

3合炊きの「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器 3合 RC-IA30」

 実際にアイリスオーヤマでは、低温精米と密封による米のパック販売を手がける「生鮮米」事業を通じて、3合など少量炊きのニーズを把握していた。12月5日からは、コンビニ大手のセブン‐イレブンなど、全国のセブン&アイグループで、独自の低温精米と密封パックによって新米のおいしさを長期間保つ「セブンプレミアム もっちり仕立ての名匠のお米」の販売を開始。1.8kgと、使い切りタイプの2合の2種類を揃え、小世帯ニーズを開拓する。

水の量で炊き上がるごはんの味が変わる

 もう一つの炊飯時の米と水の量の「ズレ」では、水の量が「10cc」違うと、食味の違いが変わる点に着目し、製品開発に生かした。「3合以下の合数で水の量の誤差を4.5%以内におさめられる人は3合で約55%、1合で約20%にとどまる」と平元事業部長は、合数が少ないほど水量調整は難しくなると語る。

 RC-IA30では、加熱部底の4つの重量センサが米の量を測定し、最適な水の量を算出する。3合以下であれば、2.8合でも1.6合でも最適な水の量が表示されるので、表示に従って水を注げばいい。モニタに表示される数値は、水を入れると下がっていく仕組みだ。
 

表示された水量に従って水を入れると、カウントダウン表示で数字が下がっていく

 内釜に水を注ぐ際も、工夫を施した。50ccを下回るとアラート音が出て、さらに30ccを下回ると高音のアラート音に変わるので、ユーザーは慎重に注ぐようになる。

 炊き上がりのごはんのおいしさを左右するのは、最初にセットするときの水の量。ここに着目したアイリスオーヤマの炊飯器は、9月末の発売直後から好調で、早くも品薄状態という。(BCN・細田 立圭志)