テレビ離れが進む中、全録BDレコーダーが4倍増のなぜ?

 テレビ離れが徐々に進んでいる。NHKが7月に発表した調査結果「日本人とテレビ 2015」によると、2010年から15年までの5年の間、1日あたりの視聴時間では「ほとんど、まったく見ない」と答えたのが4%から6%へと2ポイント拡大。30分から2時間の短時間視聴層も35%から38%へと3ポイントと拡大した。全体の44%、ほぼ半数が短時間しか見ないか、まったく見ない層ということになる。


 一方、BDレコーダーのうち、地デジチューナーを6基以上搭載し、キー局5局とNHK総合を合わせた六つのチャンネルを同時に録画できる、いわゆる「全録」モデルの販売が前年比4倍弱の規模で伸びている。過去の番組を手軽に時間差視聴できるので利便性が高く、ニーズは高いが、多くのチューナーユニットや大容量のハードディスクが必要になるため高価だった。 

 この5月、パナソニックが発売した全録モデルは8万円台と手頃な価格で好調。販売台数が拡大し市場が活性化した。販売台数は前年比で倍増、販売台数構成比も5月に3.7%、6月には7.0%に伸びた。さらに、10月に投入した新モデルも好調で、10月時点では販売台数前年比は378.3%と、売り上げを4倍近く伸ばしている。 
 


 全録モデルの平均単価も昨年10月には10万2100円だったが、この10月で8万6400円まで下がり値頃感も強まった。10月時点での販売台数構成比は6.5%とまだまだ1割にも満たないが、ユーザー層は着実に広がってきた。 

 テレビ離れが進むなか、こうした全録モデルが売れ始めている状況をどう考えればいいのか。全録レコーダーのほとんどの用途は時間差視聴だと思われる。リアルタイムで視聴するスタイルは廃れ、できるだけ短時間に必要な部分だけを見るという視聴スタイルに変わってきている。もはや地上波さえもYouTubeと同じように、好きなときに好きな番組を選んで見る時代に突入したと言えるだろう。
(BCN 道越一郎)