「夏でも温かい飲み物が良い説」は本当? 冷まさずに飲めるEmberのアツい使い方

レビュー

2022/07/11 18:00

【木村ヒデノリのTech Magic #119】 コンビニでも常温の飲料が売られるのが一般的になってきた。さらに気にする方は夏でも温かい飲み物を飲んでいるらしい。この「夏は冷たいものを飲まない方が良い説」は以前から議論を呼んでいる。同じような話で夏野菜の食べ過ぎで体が冷えるというものもあるが、果たして本当なのだろうか。筆者は今年の初めごろに「Ember Mug2」というスマートマグカップを購入した。審査が厳しいことで有名なスターバックスやアップルストアでも取り扱われている製品だ。寒いうちは便利に使っていたのだが、ここ最近の猛暑ですっかりお蔵入りに…なるはずだったのだが、意外な夏の活用法が分かったので紹介したい。「夏に温かい飲み物が良い」は本当なのだろうか。

筆者が購入した「Ember Mug2 Copper Edition (10oz 295ml)(2万円)。
149ドルなので購入時はもう少し安かったが、最近の円安で値上がりしていた
 
ひとまわり小さく取手のない「Ember Cup(6oz 178ml)」(1万8000円)もある
 
ソーサーに見える部分が充電クレードルになっている
 
底面にはヒーターやバッテリーなどが収まっているためずっしりと重さを感じる

体が冷えると病気になりやすいのは研究でもわかっている

 温かい飲み物が体に良いかどうかはともかく、冷えると病気になりやすいのは本当だ。例えば、2018年に産業医科大の藤野教授(疫学)らが行った研究では、暖房を使う12歳以下156人と使わない子供155人の311人を対象に風邪などに罹るリスクを調査。2018年12月から19年2月までの3か月間の風邪や発熱の発症状況を比較したところ、使わない子供は使った子供に比べて「風邪」をひくリスクが4倍、「インフルエンザ」になるリスクは2倍という結果だった。

 就寝時冷たい空気を取り込むことで肺の免疫力が低下することが原因だということで、体を冷やすと病気になりやすいことを示唆している。余談だが国土交通省が平均年齢57歳の住居2190戸を対象に冬季の室温を調査した結果、リビング16.8℃、寝室12.8℃、脱衣所13.0℃といずれもWHOが強く勧告している「冬の室温は18℃以上」という値を下回っている。寝室や脱衣所に至っては9割の家が18℃に達していないそうで、これは暖かい地域の方が顕著だということだ。温暖な栃木県、愛媛県、静岡県、鹿児島県などでは夏よりも冬の死亡率が2割以上高くなることが分かっている。それだけ冷えが体に与える影響が大きいということなのだろう。
 
断熱性や気密性が担保されていない暖かい地域の住宅では特に体の冷えに注意が必要だ

 また、冷えが胃の活動を阻害することも分かっている。日本栄養・食料学会誌に掲載された「摂取する水の温度と量がヒトの胃運動に及ぼす影響」では胃電図を用いて胃疾患を持たない女子大学院生27名を無作為に3群に分け調査したところ、15℃の水を飲んだグループは10分後に胃運動が下がることが確認された。

 研究では冷たいものは一旦胃の中で温まるのを待ってから消化・吸収される、と結論づけており、ここでも冷えによる体の変化が確認されている。胃運動の一時的な低下は消化が遅れるということなので、消化不良の原因になることも考えられる。夏場冷たい飲み物を飲みすぎると胃腸に障る、というのも本当のようだ。

温かければ良いというものでもない

 とはいえ、冷たいものを常に避ければ良いというわけでもない。これには摂取時の体温が深く関係している。飲料を飲む際の目的は「体温調節」と「水分補給」の二つがある。水分補給だけであれば常に常温のものを飲めば良いのだが、猛暑など極端に気温が高く発汗などで体温調節が追いつかない場合は飲食物による体温調節が有効だ。日本のような高温多湿な気候では夏場に発汗がうまく起きず、体温が上昇して熱中症になりやすい。こういったケースでは5℃~15℃の飲料を飲むことで深部体温を低下させられるので非常に良いと言える。
 
深部体温を下げる目的なら冷たい飲料が有効

 また、国立がん研究センターの「日本人のためのがん予防法」によると、高温すぎる飲食物はがんになるリスクを上げるらしい。同センターによると、南米において80℃前後で飲まれる習慣のあるマテ茶が食道癌のリスクを上げることは“ほぼ確実”ということだ。高温により粘膜が障害を受けることが原因ということなので、冬場に熱々の飲食物をよく冷まさずに食べることも体に良くはない。「目的に応じて体を冷やしすぎず、適温で楽しむ」のが健康を保つコツと言えそうだ。

Emberなら常に適温、50℃が夏の最適解

 ここまでのデータから考えると、夏場でも特別な場合を除き冷たい飲料を控える→温かいものを飲むのが良い、という噂は本当のようだ。体温になるべく近い飲み物を飲めば胃にも優しいし、不用意に体温を上げることも避けられる。Ember Mug2では50℃~62.5℃の範囲で温度を設定できるが、夏場のおすすめは最低温度の50℃だ。これなら口をつけた際も熱さは感じず「温かい」程度。口から胃に到達する頃には人肌くらいの温度に下がっている。夏場に冷房が効いた室内にいるのであればこの温度が体の冷えすぎにも効果的なので試してほしい。
 
温度設定をすると量に関わらずかなり正確に温度を保ってくれる

 50℃~62.5℃と聞くと範囲が狭く感じる方がいるかもしれないが実際は十分だ。その差は体感でかなり大きく、62.5℃だと熱くてなかなか飲めないほど。冬場は熱めが美味しいと感じるだろうが前述したような弊害もあるのでアプリ上にある飲み物別おすすめの温度を参考にしながら調整してほしい。

温度が一定なのはストレスレス、仕事効率にも影響大

 仕事のお供にハンドドリップでお気に入りのコーヒーを淹れている読者も少なくないと思うが、Ember Mug2を使ってその快適さに慣れると冷めたコーヒーが意外とストレスだったことに気付く。心理面の研究で温かいものを触ると心理的にも優しい状態になる、という結果もあるので、温度管理は仕事上の人間関係にも良い影響を与えるかもしれない。
 
価格には躊躇するがパッケージや機能性はレベルが高く十分満足できる

 都市伝説かのように思える「夏場も温かい飲み物説」だったが、調べてみると事実の部分が大きいようだ。食と温度は体にダイレクトに影響するので、正しく理解して活用してみてほしい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
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