サイバーリンクの「PhotoDirector」シリーズは、1万円以下という手頃な価格にも関わらず、PCを使ってレタッチや補正、レイヤを使った合成など、本格的な編集ができる写真編集ソフトだ。動画を取り込み、気に入ったシーンを写真として切り出すこともでき、動画活用ツールとしての側面もある。

 今回は、新機能「モーションフォト」と、従来からの人気機能「オブジェクト除去(コンテンツ解析除去)」を中心に、実際に作成した写真を交え、最新版「PhotoDirector 8 Ultra」の豊富な機能を紹介したい。
 
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さまざまな新機能を搭載した最新版「PhotoDirector 8 Ultra」「PhotoDirector 8 Standard」の製品パッケージ。
ダウンロード版、30日間の無料体験版も用意する

簡単にビデオから写真を切り出せる 動きがわかる驚きの合成写真も

 プロカメラマンや趣味のカメラ愛好家を除き、写真や動画を撮る機会が最も多いのは、幼い子どものいる家庭だろう。七五三をはじめ、保育園や小学校の運動会、発表会といったイベントでは、全体の流れを途切れず記録するため、動画しか撮っていない場合がある。このため、サイバーリンクには、ビデオから写真を切り出したいという要望が数多く寄せられていたそうだ。なかには、再生中の動画を一時停止してスマートフォンのカメラで撮影する、強引な方法を取っている人もいるという。

 新機能「ビデオ to フォトクリエイター」のモードの一つ、「フリーシャッター」はそうしたユーザーの要望に応えたもので、取り込んだ動画を再生しながら、カメラのアイコンをクリックするだけの簡単な操作で、ベストショットを写真として保存できる。

 ほかにも、動画からパノラマ写真を作成する「パノラマ写真」、動画から複数のフレームをキャプチャして合成することで、人物全員が笑顔の集合写真を作成できる「ベストグループショット」、動く被写体から動きのわかる合成写真を作成する「モーションフォト」の3つのモードを用意。いずれもガイドに沿って操作するだけで、被写体が条件に合致していれば、ほぼ自動で合成できる。

 最も実用性が高く、動画の活用の幅を広げるのは「モーションフォト」だろう。動画から、動きのあるシーンを写真として複数取り込み、被写体をトラッキング・合成することで、通常の撮影では絶対に撮れない躍動感のあるシーンを描き出す。三脚などを使用し、視点を固定して撮影した動画でないと適切に合成できないそうだが、手持ちで撮った動画でも、走っているシーンなら、人物が重ならず、うまく合成できた。
 
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「モーションフォト」を使って、公園を走る子どもの動きを合成
 
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同じく「モーションフォト」を使って合成後、プリセットを適用してアート風に

要らない背景や人物を違和感なくカット 肌や顔のパーツも美しく

 次に、豊富な編集機能のうち、一番人気という「オブジェクト除去」を試した。写り込んだ他人や気に入らない物など、不要な部分をなぞるだけで背景を解析し、自然に対象を除去できる機能だ。被写体やシーンにもよるが、オブジェクトの除去とともに背景を補完し、まるで最初から「なかった」ようになる。
 
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消したい部分をブラシでなぞるだけ。試しに「富士山」を消すと、まるで違う山並みになった
 
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一度にうまく消せない場合や複数の部分を消したい場合は、繰り返せばOK。
何度かブラシでなぞると、背景に写り込んだ人物はもちろん、影もほぼ違和感なく消せた

 従来から搭載している「ビューティー メイク」も人気で、特に女性から好評という。顔を自動的に認識し、パーツごとに細かく調整できる「フェイス ツール」、肌の部分を自動的に抽出し、ファンデーションを塗った効果を与える「スキン ツール」、対象を歪ませたり、縮ませたりできる「ボディ シェイバー」を組み合わせれば、実際より美しく、細く、キレイに見せることができるからだ。
 
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元写真(左)と加工後の比較。フェイス ツールを駆使したところ、丸かった子どもの顔がかなりスリムになった

 同様のビューティー機能はスマホのカメラにもあるが、ポイントを指定した細かい指定や編集はできない。操作も全般的に直感的で、業務で使用している旧バージョンの「Photoshop」よりもわかりやすく、起動も処理速度も速かった。ソフト内のガイドやWebサイトのチュートリアルも充実しており、初心者でも、短時間で使いこなせるようになるだろう。
 
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元画像(左)と加工後の比較。「ボディ シェイバー」機能を使えば、ウエストや腕の太さも自由自在に変えられる

 手動で項目ごとに細かく調整できる、ホワイトバランスや色調、HDRエフェクトなど、多彩な調整機能を備えており、プリセットを利用すれば、一瞬で元の写真とは雰囲気が変わる。さらに、最大100枚までの本格的なレイヤ編集に対応し、簡単に作品に仕立てられる「クイックテンプレート」も新たに用意した。

 HSL / カラーを調整できる機能もポイント。画像の上で、マウスを上下に動かすだけで特定の色の彩度や明るさ、色相を調整でき、例えば、自然を背景にした人物写真の場合、地面や肌の色を変えずに、木々や芝生の緑、空の青さなどを鮮やかにできる。
 
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元画像(左)から不要な人物を消し、色調の自動補正を適用(中央)。
その後、HSL / カラーで芝生や空の色をより鮮やかにした(右)。
HSL / カラーを利用すれば、一瞬で広い範囲の色を補正でき、同じカットでも印象が変わる

 なお、「モーションフォト」など一部の新機能は、上位版「PhotoDirector 8 Ultra」だけとなり、「PhotoDirector 8 Standard」では省かれている。
 
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本格的なレイヤ機能もあり、文字入れや複数の画像の合成も可能。
試しに、通常の写真(左上)と、動画から切り出し、フェイス ツールとスキン ツールを使って加工した写真を合成し、
「クイック テンプレート」適用後、微調整して仕上げた。JPEGやPNG形式で保存すれば完成

PCでもスマホでも 「撮る」「見る」がもっと楽しくなる写真編集

 背景に写り込んだ不要な人物や物を削除できる「オブジェクト除去」は、iPhone/Android向けの無料アプリ「PhotoDirector」でも利用できる。こちらも試したところ、なぞって対象を消す操作は、PCのマウスより、スマホのタッチ操作のほうがやりやすかった。

 若い女性の間では、雑誌やカタログの表紙から不要な文字部分を削除し、人物写真やキャラクターだけを切り出して自分のSNSのアイコンにしたり、「ビューティー メイク」で自撮り写真を加工してSNSに投稿したり、開発時には想定していなかった使い方が広まっているそうだ。サイバーリンクが技術を提供している無料のメイク加工アプリ「YouCam メイク」も、若い女性の間で人気という。

 撮影済みの写真にメイクを重ねることも、撮影時にメイクを加えて撮ることも可能。商品を買わずに、有名化粧品メーカー・コスメブランドのファンデーションやチークなどをスマホで試せることもあり、画期的なアプリとして評判だ。写真編集の楽しさを広める新しいアプローチとしても興味深い。
 
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シミュレーションするだけでも楽しいメイク加工アプリ「YouCam メイク」

 進化した「PhotoDirector 8」は、撮りっぱなしになりがちな写真や動画の活用の幅を広げるツールだ。写真を編集して「作品」に仕立れば、思い出は、さらに忘れられないものになる。また、多少の失敗なら、あとで直せるという安心感があれば、動きの多い子どもや、一度きりのイベント時の貴重なチャッターチャンスを逃さずに済むだろう。撮影する、整理する、そしてPCやスマホで編集するという一連の流れは、ぜひ習慣にしたい。