iPhone 5sでワンセグ放送を視聴! ポータブルワンセグチューナー「MeoTune」

レビュー

2013/10/11 11:36

 アップルのiPhoneがドコモからも発売され、これを機に「iPhone 5s/5c」に乗り替えた人も少なくないだろう。しかしiPhoneでは、ワンセグ放送が見られない。これまで空き時間などに、手軽にワンセグ放送を楽しんでいた人にとっては、何かもの足りないと思えてしまう。それを解決してくれるのが、iOS/Android/Windows PCに対応した加賀ハイテックのポータブル無線LANワンセグチューナー「TAXAN MeoTune」だ。実際に「iPhone 5s」で試した。

無線LANワンセグチューナー「TAXAN MeoTune」と「iPhone 5s」

ポータブルワンセグチューナーの本命は無線LAN接続



 日本の地上デジタル放送は、1チャンネルが13セグメントに分かれた構造になっている。ハイビジョン放送はこのうち12セグメントを使用していて、余った1セグメントを使って携帯電話などの移動体向けに放送しているのが、ワンセグ放送だ。ワンセグ放送は、いまのところ日本でしか行われていない独自の放送だ。

 ワールドワイドで製品を展開するIT企業のなかでも、アップルはとくに「その国独自の仕様変更」をしないことで知られている。キーボードの文字配列を除けば、iMacやMacBook Air/Proは世界中どこで買っても同じものだし、iPhoneやiPadももちろん世界共通で、どこを見ても通信会社のロゴなどは入っていない。そんなアップルだから、iOSを積んだ機器が日本独自のワンセグ放送に対応することなど、金輪際あり得ない。

 では、iPhoneやiPadでワンセグ放送を視聴する方法はまったくないのかというと、実はある。それは、外付けのワンセグチューナーを用意することだ。ただし、ここで注意が必要。ワンセグチューナーの多くはUSB接続だったり、DockコネクタやLightningコネクタに接続するタイプだったりする。USB接続だとiPhoneやiPadでは使えないし、コネクタ接続でもアップルがいつ仕様を変更するかわからない。最新のiPhoneに機種変更したら、愛用のワンセグチューナーが使えなくなってしまう可能性がある。

 そこでおすすめなのが、無線LAN接続のポータブルワンセグチューナーだ。無線LAN接続なら、コネクタの有無に関係なくさまざまな機器で利用できる。それに有線接続と違ってチューナー本体を離して使用できるので、例えばチューナーはカバンの中に入れたままで、iPhoneでワンセグを視聴することも可能だ。「TAXAN MeoTune」は、まさにこの無線LAN接続のポータブルワンセグチューナーなのだ。

コンパクトな「TAXAN MeoTune」

視聴開始までの手順は驚くほど簡単で感度良好



 「TAXAN MeoTune」の本体は、手のひらに収まるほどコンパクト。側面に電源スイッチとミニUSBコネクタがあるだけのシンプルな構造だ。これで無線LANとワンセグチューナーを搭載している。ストラップのように見えるのは、実はワンセグの受信アンテナ。内部に金属ワイヤーが通してある。iPhone/iPad/iPod touchなどのiOS機器だけでなく、Androidスマートフォンやタブレット端末、Windows PCにも対応している。

充電やWindows PCと接続するときはミニUSBコネクタを使用する

 使い方はいたって簡単。iOS端末で使う場合はApp Storeから、Android端末で使う場合はGoogle Playから、無料の専用アプリ「MeoTV」をインストールする。端末のWi-Fi設定で「MeoTune」に接続したら、アプリを起動。受信できるワンセグ放送のチャンネル検索を終えれば、視聴開始だ。

「MeoTune」でワンセグ放送を視聴するアプリ「MeoTV」のiOS版
(iPhone/iPod touch用)

 オフィス街の一角にある公園で、実際に「iPhone 5s」(iOS 7.0.2)で試すと、チャンネル検索はすぐに完了。快適に視聴することができた。周囲を高いビルに囲まれた公園だったが、受信状況は良好で、放送画面を拡大したり、フルスクリーン表示にしたりしても、コマ落ちや映像の乱れはなく、非常にスムーズに表示した。

初めて起動するときはチャンネル検索をタップして視聴できるチャンネルを自動的にサーチ・設定する

 「MeoTune」との無線LAN接続も、驚くほど簡単だ。iOS端末なら、「設定」を開いて、「Wi-Fi」の接続先で表示するリストのなかから「MeoTV…」を選択するだけ。「MeoTune」の無線LAN接続は常に一対一の関係で行う仕様になっているので、面倒なIDやパスワードを入力する必要はない。

端末のWi-Fi設定で「MeoTV…」を選択。面倒なID・パスワードの入力はいらない

専用視聴アプリは電子番組表の表示も可能



 試しに初代「iPad」(iOS 5.1.1)でも視聴してみたが、こちらも何の問題もなく、快適に視聴できた。iOS用の「MeoTV」アプリは、iPhone 3GS以降とiPod touch 2G以降(ともにiOS 3.1.2以降)、iPad(iOS 3.2以降)に対応している。CPU性能の劣る古いiOS機器でも、「MeoTune」ならワンセグ放送の視聴に支障はないようだ。

「MeoTune」ならiPadでもワンセグ放送が視聴できる
___page___  そのiOS用の「MeoTV」アプリだが、iPhone/iPod touch向けと、iPad向けでは種類が異なる。iPad向けのアプリは大きな画面に合わせて、チャンネル切替えなどの操作がしやすいようにインターフェースを工夫している。

iPad用の「MeoTV」アプリは、iPadを横位置にすると放送画面の左側にチャンネルリストを表示。チャンネル切替えがすばやくできる

 「MeoTV」アプリでは、EPG(電子番組表)も表示することができる。ただし、iPhone/iPod touchでは、番組表はチャンネルリストから呼び出すようになっているので、視聴を中断して画面をチャンネルリストに切り替える必要がある。一方、iPadでは、メニューバーにEPGの項目があるので、番組の視聴を続けながら、番組表を表示して確認することができる。こういった使い勝手は、iPadのほうがいいようだ。

iPad用の「MeoTV」アプリはメニューにEPGがあって、番組を視聴しながら番組表の確認ができる

 無線LAN接続は一対一なので、複数の機器で同時接続して視聴することはできないし、接続する機器を変えたいとき、例えばiPhoneで視聴していてiPadでの視聴に切り替えたい場合などには、一度「MeoTune」の電源を切って再度オンにする必要がある。電源オフで一対一の関係をリセットする必要があるのだろう。

テレビを見ていてもアンテナが目立たない



 「MeoTune」を使って、都内を走る電車のなかでの視聴も試してみた。「MeoTune」本体はカバンやポケットにしまったままでも、アンテナになっているストラップ部分だけ出しておけば、確実にワンセグの受信感度がアップする。伸縮式のロッドアンテナを伸ばしていると、いかにも「ワンセグ放送を見ています」という感じだが、「MeoTune」のアンテナは目立たなくていい。手元にはiPhoneだけしかないので、その画面にテレビ放送がリアルタイムで映し出されていることに気づいた周囲の人は、きっと「どうやってテレビを見ているの?」と不思議に思うに違いない。

 Windows PC用の視聴ソフト「MeoTV」は、製品に付属するCDのほか、加賀ハイテックの製品ウェブサイトからもダウンロードできる。対応OSはWindows 7/Vista/XPで、こちらも設定や使い方はアプリ版と大きな違いはなく簡単だ。ただしWindows PCで利用する場合は、「MeoTune」の無線LAN接続は利用できないので、USB接続にする必要がある。製品にはミニUSBコネクタからUSBプラグへの変換ケーブルが付属しているので、それで「MeoTune」をPCのUSBポートにつなげばいい。

 Windows 7搭載のPCで試したところ、もちろん問題なくワンセグ放送が視聴できた。PC用の「MeoTV」ソフトでも画面の大きさを3段階に変更できるが、さすがにワンセグの画質だとフルスクリーン表示は厳しい感じ。PCでワンセグ放送を視聴するなら、2倍表示くらいが限界のようだ。それでも、テレビ視聴機能がないPCで手軽にテレビ番組が視聴できるのだから、これは便利だ。

 「MeoTV」アプリ/ソフトには録画機能が備わっていて、視聴中の番組をスマートフォンやタブレット端末、PCに録画保存することができる。気になった番組をあとでもう一度見直したいときなど、この録画機能が大いに役に立つ。

「MeoTV」アプリで視聴中の番組を録画することもできる。録画した番組は端末に保存されるので、いつでも再生して視聴できる

防水スマートフォンならお風呂視聴も快適



 今回はAndroid端末での試用ができなかったが、Android 2.2以降に対応しているAndroid用「MeoTV」アプリも、使い方や機能はiOS用と同じ。加賀ハイテックの製品ウェブサイトでは、動作検証を行って問題ないことが確認できたスマートフォンやタブレット端末のリストを公開しているので、気になる人は確認してほしい。

 Androidスマートフォンでは、iPhoneにはない防水機能を備えた機種も増えていて、入浴中にワンセグ放送を視聴するといった楽しみ方もできるようになってきている。ただし、ワンセグ放送の電波は、閉鎖空間のバスルームでは受信感度が落ちてしまうケースが多い。そういう場合に、「MeoTune」が重宝する。「MeoTune」本体を窓際などワンセグの電波を受信しやすい場所に置き、無線LAN接続で視聴すればいい。「MeoTune」が搭載する無線LAN(IEEE802.11b/g)の到達範囲は半径約8mなので、家中のほとんどの場所で視聴できる。防水スマートフォンと組み合わせれば、テレビを見ながらのバスタイムが簡単に実現するわけだ。

モバイルバッテリとしても活用できる



 さらにうれしいことに、「MeoTune」には、モバイルバッテリとしての機能が備わっている。「MeoTune」が搭載するリチウムイオン電池の容量は3.7V・1020mAhで、最大で連続4時間のワンセグ視聴が可能。その「MeoTune」を緊急用のモバイルバッテリとして、スマートフォンなどに充電することができる。ちなみに、バッテリ容量1570mAhといわれているiPhone 5sに充電する場合、「MeoTune」が満充電だとして、充電にかかるロスなど差し引いても、iPhone 5sを約22%充電することができるという。

 製品には、ミニUSBコネクタをUSBコネクタに変換するケーブルが付属しているので、あとはスマートフォンに対応するUSB充電ケーブルさえ用意しておけば、いつでも緊急用モバイルバッテリとして利用できる。ワンセグ放送の視聴機能を搭載したスマートフォンでも、ワンセグ視聴に熱中してバッテリを使い切ってしまっては元も子もない。その点、バッテリ搭載の「MeoTune」なら安心だし、万が一、スマートフォンがバッテリ切れになったときにも心強い。

「MeoTune」には2本のUSBケーブルが付属する

 「MeoTune」にあえて注文をつけるとするなら、予約録画機能の搭載だろうか。「MeoTune」本体にメモリを内蔵しておき、録画予約した番組の放送時間になると自動起動して、録画しておいてくれる。それを空いた時間にスマートフォンで視聴できれば、利用シーンはさらに広がりそうだ。夜中に録画しておいた番組を通勤途中の電車内で見たり、仕事中に放送された番組を録画しておいて帰宅途中に見たり、といったことが可能になる。Mac用「MeoTV」ソフトの開発と合わせて、次期「MeoTune」でぜひ実現してほしい。

見逃せないスポーツ中継に「MeoTune」は必携



 ワンセグ放送の視聴機能がないiOS機器にとっては、「MeoTune」は救世主的存在だ。これから始まるプロ野球の日本シリーズ、そして来年のソチ冬季五輪、サッカーW杯ブラジル大会と、白熱する試合をリアルタイムで見たくなるスポーツイベントが次々とやって来る。そんなとき「MeoTune」があれば、試合中継を逃さず見て盛り上がることができる。iOS端末、Android端末、Windows PCで手軽にワンセグ放送が視聴できるポータブル無線LANワンセグチューナー「MeoTune」は、間違いなく用意しておきたいアイテムだ。(フリーライター・榎木秋彦)