NHK放送技術研究所が最新の放送技術を公開、注目は2016年開始予定の8K放送

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2013/05/29 15:15

 NHK放送技術研究所は、5月30日~6月2日、「技研公開2013」を開催する。開催に先駆けて、5月28日にプレス向けのプレビューを行った。

注目は8K放送に関する技術

注目は8K放送に関する技術

 東京・世田谷区にあるNHK放送技術研究所は、放送技術全般にわたる日本で唯一の研究所。放送の進歩・発展に関わる調査・研究を行い、毎年5月に研究成果を公開するイベント「技研公開」を開催している。

 67回目となる今年は、「期待、見たい、感じたい」をテーマに37項目の最新の研究成果を展示する。注目は、2016年に実用化試験放送を開始する予定の「スーパーハイビジョン(8K)」放送。水平7680×垂直4320画素で、ハイビジョンの16倍という超高精細映像のデジタルビデオフォーマットだ。

 1階の講堂を「スーパーハイビジョンシアター」にして、8K対応のプロジェクターによる上映会を行う。昨年のロンドンオリンピックで活躍した日本人選手を中心にしたダイジェスト映像と、3300万画素の高精細映像と22.2マルチチャンネルの迫力ある音響でリオのカーニバルを楽しむことができる。

 このほか、家庭用8Kディスプレイの公開コーナーでは、パナソニックの145インチのプラズマテレビに24個のスピーカーを組み込んだ「音響一体型145インチスーパーハイビジョンディスプレー」を展示。今後は、シート型有機ELディスプレイなど、家庭用の8Kディスプレイの研究開発を進めていく。

「音響一体型145インチスーパーハイビジョンディスプレー」

「音響一体型145インチスーパーハイビジョンディスプレー」

 データ容量の大きな8K映像を転送するには、映像データを効率的に圧縮・伝送する技術が必要だ。研究所は、最新の映像符号化方式「HEVC」を採用した「スーパーハイビジョンHEVCリアルタイムエンコーダー」を開発した。HEVCは2013年に国際標準になる方式で、H.264/MPEG-4 AVCの約2倍の圧縮性能がある。8K映像信号を17に空間分割し、分割領域ごとに並列に符号化処理することで、リアルタイムエンコードを実現した。また、8K映像を撮影するカメラや、映像を衛星放送と地上波で伝送する技術なども同時に公開する。

8K映像を圧縮する「スーパーハイビジョンHEVCリアルタイムエンコーダー」

8K映像を圧縮する「スーパーハイビジョンHEVCリアルタイムエンコーダー」

 8K映像以外では、メガネなしで立体映像を楽しめる「インテグラル立体テレビ」や、手話サービス拡充のために開発した「手話CGへの翻訳システム」、視覚障碍者向けの「触覚・力覚提示技術」などを展示する。

「手話CGへの翻訳システム」で気象情報を伝える

「手話CGへの翻訳システム」で気象情報を伝える

白い突起の凹凸によって情報を伝える「触覚・力覚提示技術」

白い突起の凹凸によって情報を伝える「触覚・力覚提示技術」

 「技研公開2013の開催時間は10時から17時までで、入場料は無料。6月1日と2日の週末には成城学園前駅南口から臨時直行バスを運行する。