赤も青も鮮やかに再現 三菱のハイエンドテレビ「REAL LASERVUE」の実力を検証した

レビュー

2012/06/29 17:20

 ロンドンオリンピック開幕まであと一か月を切り、いよいよ各方面が盛り上がってきた。4年に一度の大型スポーツイベントは、より高画質、高精細で色彩豊かな映像で楽しみたい。三菱液晶テレビ「REAL LASERVUE」は、新技術の赤色レーザーとシアン色LEDの組み合わせで、より鮮やかな色で、オリンピックの迫力や感動を伝えてくれる。これまでの液晶テレビとどれだけ違うのか、実際に比較して検証した。

三菱の「REAL LASERVUE LCD-55LSR3」

オリンピックイヤーこそテレビの買替えを



 地上デジタル放送の完全移行から1年、テレビ販売は落ち着いたとはいえ、オリンピックイヤーはテレビが売れる年。コンテンツとしての魅力もさることながら、テレビ各社が満を持して自信作を投入し、まさに買いどきといえる時期だ。

 さすがに昨年、一昨年くらいに買い替えた人には勧められないが、薄型テレビ黎明期に先駆けて購入した人は、そろそろ買替えを視野に入れていい時期だ。また、32V~40V型クラスの中型モデルを購入している人も、ステップアップとして、大型化を検討するのも悪くない。

 そうなると、候補の上位に上がるのが、三菱の「REAL LASERVUE」だ。赤色レーザーによる最新技術で、既存のテレビよりもワンランク上の画質を実現。サイズも55V型と、大型化を狙う人にも満足できるサイズだ。さらにオールインワンテレビとしての使い勝手のよさなど、オリンピック前の買替えに最適な一台といえる。

赤色を独立させてすべての色の純度をアップ



 「RASERVUE」は、もともと三菱のリアプロジェクションテレビのブランド名で、レーザーを光源として採用している。その技術を液晶テレビに応用したのが、「REAL LASERVUE」だ。

 赤色レーザーを採用したことで、純度の高い赤の再現性が高まり、赤はより濃い赤に、ピンクはより濃いピンクの表現ができる。また、赤・青・緑の3色を再現するこれまでの白色LEDは色の分離が不完全なため、純度の高い色が再現できなかったが、赤をレーザーで再現するので、LEDにはシアン色LEDが使えるようになった。

左は表示色スペクトル分布図で、上段が「REAL LASERVUE」。これまでの白色LEDは、緑と赤は干渉し合って純度の高い色が出なかったが、赤をレーザー光源にすることで、純度の高い赤色を再現。右は色域図で、白い三角形のラインが従来のテレビの、赤いラインが「REAL LASERVUE」の色域を表す。赤と緑に色域が広がり、従来比129%広がった

 シアン色LEDは、青と緑のみを発光し、青と緑を純度の高い色で再現する。つまり、燃えるような赤も、抜けるような青も、深みのある緑もすべて純度が高く、濃い色で再現できるようになったということだ。

赤色レーザーとシアン色LEDを組み合わせたバックライトをテレビのサイドエッジに配置。LEDバックライトの液晶テレビと変わらない薄さを実現

色の違いは一目瞭然。写真でもその差がわかる!



 現行モデルである55V型の「REAL LCD-55MDR2」と比較した。「MDR2」単体で紅葉の映像を見ると、発色がよく、精細感の高い映像が再現されているように見える。

 しかし、「REAL LASERVUE」と比較すると、赤色だと思っていた色が朱色に見えてしまう。「REAL LASERVUE」は濃い色の部分もコントラストが表現されており、色だけでなく、質感すら違って見えた。

右が「REAL LASERVUE」。左に比べて赤の色が濃い。赤自体のコントラストも高いので、光に透過した部分とそうでない部分があり、葉の薄さや奥行き感などを感じることができる

 赤、ピンク、薄紫などの花束の映像で比べると、赤色の濃さがまったく違うのがわかる。「MDR2」は、マゼンタに近い色合いだが、「REAL LASERVUE」」は、かなり濃い赤に再現する。

 ちなみに、どちらも映像モードはスタンダード。また、質感もよく出ており、花びらの厚みすらわかる再現力だ。緑色の葉の表現力も高く、濃い色から薄い色まで、しっかりと再現されている。

「MDR2」の画像だと、全体的に色が薄め。「REAL LASERVUE」は赤色の濃さだけでなく、紫色や緑色まで、しっかり濃く再現する

映像に負けない迫力のある高品位サウンド



 テレビが薄型になって、最大の懸念材料となっているのが音質だ。よい音を響かせるにはある程度スピーカーの厚みが必要だ。しかし、画面の薄型化に合わせてスピーカーは薄くなり、どうしても音質が低下してしまうということが多かった。三菱はそのウィークポイントの改善に努め、結果として音質に関して高い評価を得ている。「REAL LASERVUE」も、もちろん音質にこだわっている。

 その秘密が「DIATONE NCVスピーカー」だ。カーオーディオ用に開発したスピーカーで、新素材のカーボンナノチューブを配合した振動板を採用してチタンに匹敵する高速伝搬性を実現。内部損失が少なく、高解像度の音を再現する。このスピーカーを贅沢にも10個も配置。うち二つは左右のウーハーで、低音部までしっかりと再現する。テレビのスピーカーだけで、5.1chのサラウンド感を楽しめるのも見逃せない。

最大出力50Wの10連スピーカーを搭載。
うち二つは、低音部を担当するウーハー。幅広い音域を再現するだけでなく、まるで5.1chサラウンドシステムを組んだような、音場を構築する

BDレコーダーを内蔵 配線がスッキリし設置や操作がカンタン



 高画質や高音質を追求したハイエンドモデルは、たくさんの機能を備え、操作が複雑なものがある。しかし、「REAL」ブランドは使いやすさにも力を注いでいる。

 高音質は、「声ハッキリ機能」につながり、アナウンサーや役者のセリフなど、明瞭で聴きやすい音声で再生する。さらに、電子番組表や予約状況など、音声で読み上げる「しゃべるテレビ」機能を搭載。わかりやすいうえ、視覚障害者の方にも好評を得ている。

 ブルーレイディスク(BD)レコーダーとHDDを内蔵し、番組の録画もBDソフトの再生もテレビ一台でできるのは便利だ。また、前面トレイを採用し、メディアの出し入れがしやすい。3D対応で、別途3Dメガネを用意すれば、3Dコンテンツもすぐに楽しめる。地上/BS/110度CSデジタルチューナーを3基備え、2番組同時録画中に裏番組を視聴できる。

 テレビとレコーダーを接続する必要がないので、接続ケーブルがなく、掃除がしやすい。レコーダー部分はユニットとなっているので、万が一故障した場合でも、そこだけ修理に出せるので安心だ。

 このほか、大きい文字で汚れにくい「グット楽リモコン」や電動のオートターンなどのちょっとした工夫が、ふだんの利用シーンで大いに役立つ。

 プレミアムな機能を搭載しながらも、使い勝手がいい「REAL LASERVUE」。オリンピック前にテレビの買替えを考えているなら、ぜひとも候補の一つとして検討してほしい。(デジタルライター・岡安学)