BCNは、1月11日、「2012 どうなるデジタル家電――年末商戦から占う今年の新トレンド」をテーマに記者会見を開催した。全国の家電量販店、ネット販売店の実売データを集計した「BCNランキング」データをもとに、デジタル家電市場の2012年の動きとトレンドを分析した。

東日本大震災の被災3県で売れるデジタル家電



 会見では、冒頭、2011年のデジタル家電市場に大きな傷跡を残した東日本大震災とタイ大洪水のその後の経緯をデータで分析した。

 昨年7月24日の地上デジタル放送への移行では、東日本大震災の被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県は、完全移行が今年3月末まで延期となった。

 被災3県の液晶テレビ、プラズマテレビ、有機ELを合わせた薄型テレビは、台数ベースで前年を下回り、11月は前年同月比27.0%までに落ち込んだ。ところが12月に反転して236.0%まで急上昇。テレビに連動してレコーダーも伸び、12月は225.5%に達した。地デジ特需が売上げを押し上げていることがわかる。

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 AV機器だけではなく、デジタルカメラ、PCも、被災3県を除いた全国の動きと比べて順調に伸びており、復興需要は本格化しているといえる。とはいえ、被災3県が全国のデジタル市場に占める割合は、台数ベースで2%ほど。道越一郎エグゼクティブアナリストは「被災3県の伸びは力強い動きではあるが、全国市場での構成比は少ないので、全体の底上げにはつながらないだろう」と説明した。

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タイの洪水被害でHDD販売に大きなダメージ、プリンタが善戦



 年末のIT・デジタル関連市場に大きな影響を及ぼしたのが、タイで発生した大洪水だ。タイにはHDDやプリンタ、デジタルカメラなどの関連部品工場があり、これらが被害を受けたことで生産に遅れが出ている。

 製品別の台数ベースのグラフからは、HDDの受けたダメージが最も大きかったことがわかる。2011年11月21日-28日の週は、前年同週比50%を切っており、12月は60%前後と低い位置で推移した。


 キヤノンは、タイのインクジェットプリンタの主力工場が浸水被害を受けた。インクジェットプリンタのメーカー別販売台数シェアでは、洪水が激しくなった時点からキヤノンが失速し、昨年1月は48.1%あったシェアを12月には29.1%までに落とした。しかし、代わりにエプソンが市場を支え、全体では前年を割ることなく推移した。



AV機器は地デジ特需前の状態に落ち着きつつある



 製品別では、地デジ特需のおかげで2010年から2011年にかけて爆発的に伸びた薄型テレビとレコーダーが、昨年8月以降は前年割れの状況。そのまま年末商戦に突入したが、12月は台数ベースで前年同月比103.1%とわずかに好転した。しかし、価格の下落が著しく、金額ベースは70.7%と大きく下回った。


 薄型テレビで注目したいのが、大型モデルだ。50型以上の大型モデルが伸びており、昨年6~7月は前年同月比500%を越えた。画面サイズ構成比も、昨年1月の1.7%から12月の3.5%と拡大している。

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 メーカー別販売台数シェアでは、シャープが失速している。対して30型未満の小型モデルで奮闘しているパナソニックがシェアを伸ばし、12月はシャープ32.9%、パナソニック25.2%と、1位と2位の差がグッと縮まる結果となった。


 薄型テレビにやや遅れて需要のピークがくるレコーダーは、昨年の年末商戦にここ3年間で最も売れ行きが伸びた。平均単価は、HDDの大容量化や新メディアBDXLの対応など、付加価値を高めることで値崩れをかろうじて抑えている。とはいえ、現時点ではBDXLに次ぐメディアがなく、このまま新機能が登場しない限り、薄型テレビのように価格競争から値崩れを起こす可能性が高い。


タイの洪水の影響は軽微、2ケタ増を維持するPC市場



 今年、最も期待が高いのがPCだ。HDDを搭載しているPCだが、タイの洪水の影響は少なく、デスクトップ/ノート/タブレット端末を合わせた台数ベースは、11月が前年同月比118.1%、12月が117.9%と2ケタ増で伸長している。

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 特に注目したいのがノートPCだ。まだラインアップが少ないものの、薄型・軽量のモバイルPC「ウルトラブック」の販売台数構成比が伸びている。これに対して、低価格のモバイルPC「ネットブック」のシェアが減少。森英二アナリストは、「ネットブックはラインアップも減っている。今後、ウルトラブックの価格がこなれてきたらネットブックに取って代わる日も近いだろう」と予測した。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。