BCN記者会見、レコーダーの伸びが顕著、アナログ停波を控えて地デジ化特需

特集

2011/06/14 19:47

 BCNは、6月14日、「地デジ化特需が復興経済を下支え――力強いPC・デジタル家電市場」をテーマに記者会見を開催した。全国の大手家電量販店・ネット販売店の実売データを集計した「BCNランキング」データをもとに分析。テレビの販売台数が2倍近くで推移しているほか、レコーダーの地上デジタル放送対応が本格化するなど、7月のアナログ停波を控えた地デジ化特需が顕著に表れている。

地デジ化に向けて最終特需が立ち上がる



 東日本大震災のインパクトは、「北海道・東北」「関東」で、震災が起きた3月11日を含む週以降、3月の週次データは前年比60%前後で推移。しかし4~5月には前年並みに戻り、回復傾向がみられる。全国データでは、3月の週次データで前年比80%前後だったが、5月の最終週(2011年5月30日-6月6日)には106.9%となった。


 製品別では、5月の最終週に薄型テレビが「北海道・東北」で189.9%、関東で219.8%、全国では192.9%と好調。道越一郎エグゼクティブアナリストは「3月のエコポイント制度の終了による駆け込み需要はなかったが、アナログ停波に向けてテレビは力強い動きを示している。最終特需が立ち上がった」と分析した。全国の5月トータルの実績は、台数が180.2%、金額が120.2%。税別平均単価は5万3800円で、価格の下落基調には一服感が表れた。


 さらに、アナログ停波に向けてレコーダーの地デジ特需が顕在化し、5月最終週は全国で前年比174.0%。全国の5月トータルの実績は、台数で187.2%、金額で141.5%となり、薄型テレビを上回る伸びを示した。税別平均単価は4万8600円だった。

 一方、デジタルカメラ(レンズ一体型・交換型)は、「部材が不足するなど、供給側の体制が整っていないことが影響し、依然として回復が鈍っている状況」(道越エグゼクティブアナリスト)。前年を下回って推移し、全国の5月トータルの実績は、台数で91.4%、金額で78.1%だった。

 BCNランキングが集信するPCや周辺機器、デジタル家電の実売データから全商品の平均単価と販売金額の前年同月比をまとめた「BCN指数」は、5月、エコポイント制度の見直しに伴うテレビの買い替え特需で伸長した昨年11月以来、半年ぶりにプラスに転換した。


 今回の記者会見では、調査会社Kantar Japanのオンラインパネルによるトラッキング調査を用いて今後の消費動向を分析した。道越エグゼクティブアナリストは、「東京では、震災後にレジャー施設の利用を控えたり、洋服の購入などを控えたりした消費者が30~40%を占めた。しかし、その傾向は徐々に治まり、10~20%まで下がっている」として、「人々が次第にお金を使う動きになっていく」との見解を示した。

回復する消費者マインド(出典:Kantar Japan「Post Disaster Survey」)

4月に商戦がシフトしたPC、旧OSからの買い替えが後押し



 PCは、インテルのCPUの不具合によって各社の新製品の発売が遅れたことと、震災の影響で、例年は3月の商戦が4月にシフト。旧OSからの買い替えが後押し、台数ベースでニケタ増を維持している。一方、税別平均単価は3月の8万5500円をピークに下落。5月は7万5100円となった。


 また、地デジ化の流れを受け、地デジチューナーを搭載したデスクトップPCの台数構成比が拡大。5月には前年同月に比べ19.6ポイント伸長し、67.7%を占めた。タブレット端末(スレート)は、台数シェアでアップルが8~9割を獲得する独壇場となっている。しかし、6月25日に日本で発売するASUSのAndroid端末「Eee Pad」によって、「市場が活性化するのではないか」(森英二・アナリスト)との期待がある。また、道越エグゼクティブアナリストは、「今夏から年末にかけて、各社が本格的に製品を投入することで、タブレット端末市場が立ち上がる」と述べた。


 スマートフォンは、携帯電話に占める台数構成比が10年12月に48.1%に急伸して以来、4割を超えて推移している。5月は43.5%だった。5月のキャリア別スマートフォン販売台数構成比は、ソフトバンクモバイルが70.6%で他を圧倒。次にNTTドコモが40.9%、KDDI(au)が22.4%となっている。また、5月のOS別販売台数構成比は、Androidが66.0%、iOSが33.7%だった。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。