手軽にはじめる3D体験、強力な3D機能をもつ「Roxio Creator 2011」

レビュー

2010/09/17 11:55

 「3Dには興味あるけど、機器はまだ高いし、楽しみ方もよくわからない。当分は様子見だな」という人に朗報だ。高価な3D対応のデジタル家電を買わなくても、手軽に3Dコンテンツを楽しめる方法がある。ソニック・ソルーションズのマルチメディアスイートソフト「Roxio Creator 2011」だ。強力な3D機能を搭載し、手軽に手持ちの映像コンテンツを3D化できる。

3Dに対応したオールインワン型のライティングソフト「Roxio Creator 2011」

急速に広がりつつある3D視聴環境



 今、家電量販店の店頭には、薄型テレビやBDレコーダー、PC、デジタルカメラなど、3D機能をもつ製品が売り場の中央に鎮座し、存在を主張している。新聞やテレビ番組などでも、3D製品に関するニュースを頻繁に見かけるようになり、本格的な3D時代の到来を実感せずにはいられない。

 薄型テレビは、パナソニックが2010年を「3D元年」と位置付けて製品を投入したのを皮切りに、ソニーやシャープ、東芝など、主要メーカーがこぞって3D対応テレビを発表・発売。3Dコンテンツの録画ができるBDレコーダーや、3Dで撮影できるデジタルカメラなども出てきている。また、PC向け液晶ディスプレイでも、「nVIDIA 3D Vision」に対応した3D製品が急速に増えており、今、デジタル機器を組み合わせた“3Dソリューション”が確立しつつある。

 コンテンツは、『アバター』のような3D鑑賞を前提に制作された映画をはじめ、『アリス・イン・ワンダーランド』『タイタンの戦い』など3Dに対応した映画、さらには3Dゲームなど、徐々にではあるが着実に増えている。YouTubeにも、3D対応の動画が増えてきた。

3D対応製品を買うことに「ためらい」を感じる人にオススメ



 3Dが体験できる環境が整いつつあることで、3Dに関心を抱いている人は確実に増えている。しかし、実際の製品購入となると、ためらってしまう人が多いだろう。その理由の第一は、3D対応機器の価格だ。3D対応モデルは、製品のラインアップの中でも最上位機が多い。もともと高価な製品に、さらにプレミアムで3D機能が付加されるので、どうしても価格は高くなってしまう。

 さらに、3D対応製品はまだ発売されたばかり。今年が「3D元年」であるのは確かだが、正確にいえば、まだ黎明期、過渡期にある。興味はあるものの、果たして今のタイミングで手を出していいものか、判断がつきにくいのは当然だろう。

 そこでオススメなのが、マルチメディアソフト「Roxio Creator 2011」による「お手軽3D体験」だ。このソフト、世界初の3D対応マルチメディアスイートで、3Dの動画・画像の編集・再生機能に加え、2Dの動画・画像を簡単操作で3D化できる強力な変換機能をもっている。

 例えば、手持ちの2DのDVDをリアルタイムに3D変換しながら鑑賞することもできるし、撮りためたデジカメ画像を3D化することもできる。もちろん、ムービーカメラで撮影した動画を3D化して、編集を加えて保存することもできてしまう。価格は通常版(パッケージ/ダウンロード共通)で1万1550円。3D体験の敷居を低くするソフトなのだ。
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期待はずれのDVDの隠れた魅力を引き出す



 「期待して買ったDVD映画が、実はとんでもない駄作だった」という経験はないだろうか。そうしたいささか難アリのDVDも、「Roxio Creator 2011」のリアルタイム3D変換で鑑賞すれば、意外な魅力が発見できたりする。

 方法は簡単。「CinePlayer」を立ち上げてDVDをセットし、設定メニューから希望の3Dフォーマットを選ぶだけ。赤青メガネを持っていれば「3D アナグリフディスプレイ 赤/青」を選べばいいし、「3D アナグリフディスプレイ 赤/シアン」であれば、より効果の高い3Dが楽しめる。「nVIDIA 3D Vision」の環境が整っているなら、「アクティブシャッター 100Hzまたは変換ディスプレイ」を選べばいい。

最も手軽かつポピュラーな「3D アナグリフディスプレイ 赤/青」をチョイス

 筆者の場合、赤青メガネ(3Dアナグリフ)を使うこと自体が久しぶりだったこともあって、設定が決まらない最初の10分ほどは軽い“酔い”を感じた。ところが、ひとたびセッティングが決まったあとは、没頭モードへGO! ひたすら3D映像に見入る時間が続いた。

赤青メガネ(3Dアナグリフ)を使うときは深度や深さ位置などの調整が必要だ

 「3D アナグリフディスプレイ 赤/青」の映像は、思った以上に奥行きを感じる。「映像が飛び出してくる」というより、PCの液晶ディスプレイの先に空間が広がっているような独特な感覚だ。「すごく新鮮」とか「大迫力」という感じではないが、こうして手持ちのDVDを3D化して鑑賞することに、妙な面白さを感じた。

3D変換の神髄はデジカメ画像にあり



 個人的にかなりツボにハマったのが、デジカメ画像の3D変換だ。普通のデジカメで撮影した画像を「Roxio Creator 2011」を使って3D化したのだが、これが動画よりもはるかにシャープかつ立体感の感じられる3D表現を楽しむことができ、思わず時間の経過を忘れて没頭してしまった。

操作はとても簡単。トップ画面から「3Dフォトの作成」をクリックする


次の画面で「2Dイメージを開く」をクリックすれば3D変換が始まる


これだけで画像の3D化は完了。細かなオフセット量や傾きなどの調整を行うときは、右の「イメージ調整」ボタンを使う


画像の保存を行う。保存形式は3D アナグリフ以外にも、サイドバイサイドイメージやトップ/ボトムイメージなどが選べる

 2D→3D変換というと、難解で詳細なパラメータ調整が必要かのように思われるかもしれないが、「Roxio Creator 2011」は拍子抜けするほど簡単に作成することができてしまう。おかげで、「あんな写真」や「こんな写真」まで3D化して、しげしげと鑑賞してしまった。

 さらに、この3D変換した画像をプリンアウトし、付属の赤青メガネを通して見ると、これは不思議、立体視ができるのだ。しかも、印刷の場合は絵が安定しているからか、立体視がより鮮明になる。これなら、旅の思い出の画像をすべて3D変換してアルバムに収め、赤青メガネを添えてプレゼントするのも面白いな、と思った。
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3D変換からDVDへの書き込みがシームレス



 2D動画を3D動画に変換してDVDに書き込むこともできる。これによって、PCだけでなく、家庭用DVDレコーダーなどで再生し、テレビで3D映像を鑑賞することができるようになる。

新規プロジェクト作成で「3D」を選び、3D変換のフォーマットを選択


元映像のフォーマットを選択するとすぐに変換が始まる


3D動画への変換が完了。あとはライティングの指示に従ってメディアに書き込めばOKだ

 これも難しい操作なしに4~5ステップで操作を終えることができる。結婚式の動画を3Dアナグリフモードで変換してDVDに書き込み、市販の赤青メガネを添えてプレゼントするというのも気が利いている。

「Roxio Creator 2011」で3D体験の第一歩を踏みだそう



 本稿を書くにあたって、丸一日をかけて「Roxio Creator 2011」で遊んだ。当初、その効果のほどについては正直、懐疑的だったのだが、いやいや、これがなかなか面白く、本当に時がたつのを忘れるほどだった。

 今回は「Roxio Creator 2011」の赤青メガネを用いた3Dアナグリフモードでの鑑賞がメインだったが、「nVIDIA 3D Vision」に対応した環境なら、「3D Vision Proアクティブ・シャッター・グラス」を用いて、さらにクオリティの高い3Dコンテンツ鑑賞ができる。また、家電の3Dテレビで採用されているアクティブシャッター形式でのリアルタイム変換やムービー変換にも対応しているので、先行投資としてこのソフトを買っておくのもいい。

 ほとんどの3D変換で難しい操作を必要とせず、3Dに関する知識がない人でも、問題なく使いこなすことができる、初心者にやさしい「Roxio Creator 2011」。「ちょっと3Dが気になるな」という人は、ぜひ「Roxio Creator 2011」で、3D体験の第一歩を踏み出してほしい。(ITジャーナリスト・市川昭彦)