シャープ、専用メガネが不要なタッチパネル付き小型3D液晶ディスプレイを開発

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2010/04/05 11:19

 シャープは4月2日、専用メガネが不要なタッチパネル付き小型3D液晶ディスプレイを開発したと発表した。2010年度(2011年3月期)上期から、タッチパネル非搭載タイプを手始めに、順次量産を開始。携帯電話メーカーなどに販売していく。3D対応機器を普及させるためにはアプリケーションがカギになるが、長谷川祥典・常務執行役員・液晶事業統轄兼液晶事業本部長は「コンテンツの普及スピードによっては、テレビの3Dよりもモバイル機器のほうが早く普及する」と、意気込みを示した。

長谷川祥典・常務執行役員・液晶事業統轄 兼 液晶事業本部長

 小型3D液晶は、携帯電話デジタルカメラデジタルフォトフレーム、ゲーム機、パソコンなどのモバイル搭載への搭載を想定。今後、中小型液晶パネルの3D化を加速させる方針だ。今年度(2011年3月期)は10-20%、来年度には50%のスピードで小型液晶パネルに占める3Dの比率を高め、将来はすべて3D対応にする。

 中小型液晶パネルの3D化など、液晶事業の体制強化を図るために、4月1日付けで液晶事業統轄を新設。大型から中小型まで部材調達を含めて一元的に事業を運営し、シナジー効果を出していく。今回開発した技術を、今後は大型液晶パネルにも展開していく。

デジタルカメラのデモ機。3D撮影のために二つのレンズを搭載する

 今回発表した3D液晶ディスプレイは3.4型で、480×854ドットのFWVGA。2D表示時の輝度は従来品と比べて約2倍となる500cd/m2、コントラスト比は従来比約10倍の1000:1。モジュールの厚みは、タッチパネル付きながら、従来の2Dタイプと同程度に抑えた。

 シャープは、02年に3D表示ができるパネルを搭載した携帯電話を商品化したことがある。しかし、輝度・精細度の点で表示品位が低かったことや、厚く、横方向しか3D表示ができなかったことなどから、「決して成功したとはいえなかった」(長谷川本部長)。こうした課題を踏まえて今回開発した小型液晶パネルは、左目・右目に分離した情報が入ってくる「視差バリア方式」を採用。輝度や解像度を従来の2倍に高めて高精細化を図り、くっきりとした立体表示が可能になった。さらに、タッチパネルと3D液晶を一体化することで、デバイス薄くし、携帯電話の場合、現行のタッチパネル搭載機と同程度の厚さでの製品化が可能になった。画面を縦にしても横にしても3D表示ができる。