レノボ・ジャパンは7月28日、7月22日に発売した14.1型ワイド液晶搭載のノートPC「ThinkPad T400s」の、WiMAX通信モジュール内蔵モデルついて説明会を開催。WiMAXアンテナに関する技術的なシミュレーション結果を公開し、モジュール内蔵タイプの優位性をアピールした。

「ThinkPad T400s」のWiMAX通信モジュール内蔵モデル

 「ThinkPad T400s」は、UQコミュニケーションズのWiMAXサービス「UQ WiMAX」に対応したインテル製の通信モジュール「WiMAX/WiFi Link 5150」を内蔵するノートPC。6種類のワイヤレステクノロジーをサポートするために7つのアンテナを液晶ディスプレイの上部に搭載している。このうち左右の端に内蔵するWi-Fi/WiMAXコンボアンテナは、広い帯域をサポートするため、液晶カバー材料に大きく影響を受ける。そこで、非導電性の「ハイブリットCFRP(炭素繊維強化プラスチック)」を採用することで、高いアンテナ性能を実現したという。

 会見では、長年「ThinkPad」シリーズの開発を担当してきた藤井一男・レノボ・ジャパン ノートブック開発研究所 サブシステム開発技術 無線通信技術 担当部長が、アンテナの電波の強さを測る電界強度分布のシミュレーション結果を公開した。

藤井一男・レノボ・ジャパン ノートブック開発研究所 サブシステム開発技術 無線通信技術 担当部長

 シミュレーションでは、左右のWiMAXアンテナから2.6GHzのWiMAX無線信号を放射し、アンテナの周りに電界強度の強い部分がバランスよくきれいに分布した様子を披露。続いて、通常は左右のアンテナで電波の強い方を使用するところを、左右のWiMAXアンテナの電波を組み合わせて使用することで、最良の無線状態が得られるという図も示した。

左=アンテナの周りに電界強度の強い部分がバランスよく分布した 右=左右のWiMAXアンテナの電波を組み合わせて使用

 また、USB接続タイプの通信モジュールを使用した場合、どうしても指向性があるためうまく通信が行えない場合があるが、モジュール内蔵タイプならゲイン(電気信号の増幅)がUSB接続タイプに比べて3.5dBよいことから「内蔵タイプはアンテナに関して優位性がある」とアピールした。

モジュール内蔵タイプ(左)ならゲインがUSB接続タイプ(右)に比べて3.5dBよい

 さらに、現在WiMAXサービスのエリア外にある、同社の大和研究所5階の窓際から、WiMAX通信モジュール内蔵の「ThinkPad T400s」を使って、USB接続の通信モジュールと内蔵モジュールそれぞれを利用した場合のインターネット接続状況の比較結果も公開。内蔵タイプの方が接続までの時間が大幅に短く、YouTubeの動画も安定して見ることができたという。なお、この時の実効スピードは1.5Mbps-2.1Mbps程度だった。

USB接続の通信モジュールと内蔵モジュールそれぞれを利用した場合の比較

 藤井氏は、「レノボ・ジャパンは04年から3Gモジュールを『ThinkPad』シリーズに搭載しているが、ヨーロッパ以外ではあまり使われていない。その理由はユーザー登録と料金体系の複雑さにある。3Gの契約形態は多くの国で携帯電話と同じもので、サービスユーザー登録のために販売店に出かけるなどしなければならず、段階的な定額制料金もわかりにくい。対してWi-Fiはユーザー登録・料金体系がシンプルだが、サポートエリアが狭いというデメリットがある。WiMAXは3GとWi-Fiのいいとこどり。ユーザー登録や料金体系が非常にシンプルだし、今後サポートエリアも広がっていく予定。また、一度契約すればほとんどWi-Fiのように簡単に使用するとができる」とWiMAXサービスへの期待を示した。

 会見には梅野光・インテル プラットフォーム&ソフトウェア・マーケティング・グループ IAクライアント・プラットフォーム・マーケティング ネットワーク・プロダクト・マーケティング・マネージャーも登場。WiMAXに乗り出した理由について、「Wi-Fiはアクセスポイントから約30-40mの半径中に入らないと利用できないが、WiMAXならWi-Fiの弱点を補完できる。また、従来の3Gサービスと比べても通信速度が速いし、通信モジュールをパソコン等に内蔵することでコストも抑えられる」とアピール。

梅野光・インテル プラットフォーム&ソフトウェア・マーケティング・グループ IAクライアント・プラットフォーム・マーケティング ネットワーク・プロダクト・マーケティング・マネージャー

 加えて、「通信モジュールなど、WiMAX製品の開発のみならず、標準化団体、通信事業者等と連携して、WiMAXの普及を推進していく」とWiMAXに対する同社の将来的な展開についても明らかにした。