伸び悩み感があった国内パソコン市場で今年、新しいムーブメントが起こった。5万円を切る価格帯のミニノートパソコンの登場である。安価で手軽なパソコンを求めていたユーザーの心を掴み、勢いよくシェアを伸ばした。BCNランキングでは、ライバル他社の参入もあり、ミニノートがノートパソコン全体の数量構成比で約2割を占めるまでに拡大している。

ミニノート足がかりに混戦勝ち抜く



――アスース・ジャパン ケビン・ドゥ 社長

 先陣を切って乗り込んだのは低価格ミニノート「Eee PC」戦略を展開するアスース・ジャパン。台湾の大手パソコンメーカーだ。もともとは途上国のユーザーでも手が届くモバイルインターネットデバイス(MID)として開発してきたが、「先進国でも売れる」(ケビン・ドゥ=杜啓宇)ことをいち早く察知。世界的なヒット商品に育てた。インテルやマイクロソフトからも支持を取り付ける。

 北東アジア担当のドゥは今年7月、日本法人の機能を大幅に拡充した。従来のサポート中心の役割だったものに、独自の経営判断を下すことができるマネジメント機能を付加。来年1月には大阪に拠点を新設して営業基盤も強化する。韓国で幼少期を過ごした経験を生かし、今は日本と韓国の両方でビジネスの指揮を執る。韓国語ができ、日本語も日常会話程度なら問題ない。

 アスースはこれまで、「台湾のスピード経営、中国の生産力、日本の品質」のグローバル経営を追求することで競争力を高めてきた。向こう1~2年は、パソコン市場を巡り、「日台米のメーカーが入り乱れての混戦」も予想される。マザーボードなどの部材での知名度は高いが、パソコン本体では昨年まで無名に近い存在。ミニノートのヒットで、「自社ブランドの認知度を飛躍的に高める」ことに取りあえず成功した。このチャンスを生かし、さらに伸びていくには「品質のいい製品を迅速に供給するだけでなく、販売パートナーとの関係強化が強く求められる」と、体制拡充でパートナーへのきめ細かい支援に力を入れる。

 パソコンメーカーとしての地位をより強固なものにするには、一辺倒の施策では通用せず、日本法人独自のマネジメントが必要とされる局面も多くなろう。日本のビジネスパートナーの協力も不可欠だ。継続的なシェア拡大に向けて、経営の真価が問われる。(文中敬称略)(BCN 安藤章司)

ケビン・ドゥ社長

週刊BCN 2008年12月8日付 Vol.1263より転載