iPhone 3Gと暮らして1週間、使い倒してわかったこと

レビュー

2008/07/18 16:46

 7月11日に発売されたiPhone 3G。発売日当日、駅からほど遠い量販店で16GBのホワイトモデルをゲットした。店には近くのソフトバンクショップよりも多い8台が入荷したという。それから1週間、とことんいじり倒してみた。

●料金は納得のレベルだが、iTunesのいきなりの不具合に落胆

 iPhone 3G 16GBモデルの実質負担額は3万4560円。月額料金は、ホワイトプラン(980円)とS!ベーシックパック(315円)に加えて、パケット定額フル(5985円)の7280円。分割金は3360円の24回払いで、その間1920円の割引が適用される。月々、8720円の最低料金となるわけだ。

 パケット料金がスライド制ではなく、定額制になったのは痛いが、NTTドコモの「Biz・ホーダイ」と同じ料金なので、納得のレベル。何をするにも勝手に通信してしまうiPhoneには定額制は必須だ。

 iPhoneの契約に出向き、事前知識の補完の意味も含めていろいろ質問していたら、店舗のスタッフから「iPhone ステューデントワークブック」という冊子を渡された。店頭スタッフの教育用ガイドブックのようで、ありがちな質問や販促テクニックがわかりやすく解説してあった。iPhoneの説明書は非常にシンプルなので、こちらのガイドブックが欲しいところだ。


 早速持ち帰って、箱を開く。ケースはコンパクトだが、アップルらしくセンスがいい。端末を出したら、まずは付属のピンを使って本体上面からSIMカードを装着。このSIMカードはiPhone専用で、ほかのキャリアはもちろん、ソフトバンクの端末に入れても動作しない。続けて、最新の「iTunes 7.7」をインストールしたメインマシンに接続。感激の一瞬かと思ったら、「AppleMobileDeviceHelperは動作を停止しました」というエラーダイアログ開き、困ってしまった。PCに問題があるのかと思い、別のPCで試してもまったく同じ症状。アクティベーションをしなければ、何もできないので冷や汗ものだったが、強引にいじっていたら、なんとか認証は成功した。


 とはいえ、PCとの接続はできない。「もしやMacなら」と思い、手持ちのMacBookにつないだところ、あっけなく認識できた。Windows版の不具合だったようだが、多くの環境で再現するのでアップルが知らなかったとは考えにくい。どうしようもないとしても、事前に何らかの方法でアナウンスして欲しかった。


●大きな液晶は存在感抜群! ヘッドフォンは操作スイッチ付き

 iPhone 3Gの液晶サイズは3.5インチ(480×320ドット)と、ケータイとしてはダントツに大きく見やすい。薄さは12.3mmとスリムで、重さは133gと平均レベル。ただし、幅が62.1mmあるので、一般的なケータイよりも大きく感じる。背面は樹脂製だが、チープさはなく、持っていて楽しくなるデザインだ。



 端末についているボタンは全部で3つ。ヘッドフォン端子と電源ボタンは上面、左サイドに音量ボタン、スピーカーは下面に備わっている。音量ボタンの上には、消音スイッチを装備。どのケータイにもマナーモードはあるが、金属製のスイッチを搭載しているのが独特だ。そして、正面の下側にはすべての起点となるホームボタンがある。


 付属のヘッドフォンはさほど音質の良いものではないが、再生や一時停止、早送りなどを操作できるスイッチが付いている。人の声やアナウンスを聞き取るときに、手軽に一時停止できるのは便利だ。音楽を聴いている時に電話がかかってくると、フェードアウトしてから着信音が流れる。本体をバイブ設定にしていても、ヘッドフォンからは着信音が鳴るのだ。着信音の音量は、音楽を聴く際の音量とは別に設定できるのもうれしいところ。

 PCとのデータの同期や充電はUSBケーブルを使う。このUSBケーブルをつなぐACアダプタも付属している。ACアダプタは幅25×奥行き25×高さ45とコンパクトだが、金属部分を折りたためないのが残念。しっかり持って力を入れないと、USBケーブルを外せないのも気になった。

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●通話しながらメールやウェブの画面を開けるのも大きな魅力

 電話をかける際は、ホーム画面から「電話」ボタンをタッチ。キーパッドを使って、普通にダイヤルできる。もちろん、発着信履歴やアドレス帳からも発信可能。通話中は、6種類のアイコンが画面に表示され、スピーカーに出力しハンズフリートークに切り替えたり、第三者も通話に加えたりすることができる。通話中に番号をプッシュする際は、キーパッドを表示すればいい。


 手持ちでスピーカーから音声を聞く場合は、指などでふさがないように注意が必要。軽くスピーカー部を押さえただけで、音が一気に小さくなる。強制的に鳴るカメラのシャッター音もほとんど聞こえなくなるほどだ。

 着信時は操作中の画面から切り替わるので、「応答」もしくは「拒否」を選ぶ。アドレス帳に通話相手が登録されている場合、写真が大きく表示されるのも面白い。ちなみに、音質は一般的な端末と同程度だ。

 タッチパネルなので、従来の電話のように手探りで発着信するのは難しいが、シンプルなインターフェイスで使い方に迷うことはない。また、電話中に、メールの作成やウェブの閲覧など、ほかの操作が行えるのも大きな魅力。iPhoneのブラウザ「Safari」はフォントが美しく、画面も大きいため、ウェブ閲覧は快適だ。

●デメリットも多いが、文句なく最強の通信端末

 iPhone 3Gは、HSDPAのほか、IEEE802.11b/g規格の無線LANBluetooth 2.0 + EDRにも対応しており、単体で通信できるほか、電波状況の悪い屋内では無線LANでつないだり、ヘッドセットキーボードなどの周辺機器をBluetoothで利用したりできる。カメラは200万画素とそこそこの解像度で、内蔵のGPSと連携してジオタグを付けられる。ジオタグとは写真を撮影した場所を記録するデータのことで、さまざまなソフトやサービスで利用できる。フラッシュやオートフォーカス、手ぶれ補正機能などは搭載していない。

 iPhone 3Gの注意点も把握しておきたい。まず、FeliCa機能を搭載していないため、「おサイフケータイ」としては利用できない。携帯電話を定期券代わりに使える「モバイルSuica」など、おサイフケータイ機能を頻繁に使っていた人には大きなデメリットだ。

 文字の入力はソフトウェアキーボードで行うが、フルキーボードはボタンが小さく入力ミスを起こしやすい。日本語用のインターフェイスも用意され、従来のケータイと同じ入力も可能だ。一番困ったのが、コピー&ペーストができない点。メールやウェブの検索時に非常に手間取る。また、日本語入力する際に動作が遅くなるのが気になった。動作は全体的にスムーズだが、文字変換時には数秒待たされることもあり、肝心の変換候補も微妙に精度が悪い。予測変換をオフにすることができないのも不便だ。

 


 「iTunesストア」で楽曲を購入する場合、無線LANでつなぐ必要があるのも要注意。とはいえ、データ量の多い楽曲ダウンロードに利用すると、ソフトバンクの回線がパンクしてしまうので、我慢するしかない。

 気になるバッテリーの持ちについては、カタログ値の連続通話時間は最大5時間、連続待ち受け時間は最大300時間と、問題はなさそうだ。ただし、音楽を聴いたり、ネットにつないだりしていると当然バッテリーはあっという間になくなる。iPhoneはバッテリーが交換できないので、出先では充電方法を確保するしかない。

 また、使っているうちに、何度もアプリが落ちる現象に遭遇した。ビデオを検索したり、メールを書いているうちに、何もしていないのにホーム画面に戻ってしまうのだ。これは、今後のアップデートで修正されることを期待したい。

 これから買おうとする人は、こうしたデメリットをしっかりと把握した上で判断して欲しい。アップルのiPhone 3Gは、独自の進化を遂げたデジタルギアといえる。他社の最新ケータイのように「全部入り」を望むのは無理があるし、価格も跳ね上がってしまうことだろう。日本語入力の遅さだけは、何とかして欲しいところだが、それ以外はデメリットを考えても、最強の通信端末と断言できる。


 1週間使い込んで、電話機としても問題なく利用できることがわかった。iTunesも近日中にアップデートされ、不具合が直ることだろう。購入した店舗では、機種変更ができずに新規契約となったが、近いうちにメインのケータイに変更するつもりだ。(アバンギャルド・柳谷智宣)