パイオニア、シェア2%の苦境で決断か、プラズマパネルの自社生産から撤退

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2008/03/07 21:00

 パイオニアは(須藤民彦社長)は3月7日、都内で会見を開きプラズマテレビ用のパネルの自社生産から撤退すると発表した。今後はパネルを外部調達し、プラズマテレビの生産を継続する。調達先は松下電器産業になる見込み。時期などの詳細は決まり次第発表するとしている。


 「今後想定される販売数量でコスト競争力を維持することは難しいと判断」(須藤社長)、パネルの自社生産を次の新製品に搭載する分で終了することにした。パネルを他社から調達することで、水平分業型のビジネスモデルに転換する。調達先は「松下を検討」(同)しており、パイオニアが蓄積してきたパネル技術を盛り込むため、共同開発も視野に入れているという。

 同社は07年9月にプラズマテレビの新シリーズとして「KURO」を発売。60V型、50V型、42V型と大型を中心にラインアップし、高画質パネルの採用や、新開発のデジタルアンプの搭載など高音質にもこだわった高級・高品質路線で他社と差別化を図ろうとした。しかし、薄型テレビの低価格化が予想を上回る速度で進行。「1.7?1.8倍程度ならなんとか売れると思ったが、2倍にまで差がついてしまい、消費者には受け入れられなかった」(同)。今回の決断について、「非常に苦しく悲しいが、事業のことを考えるとせざるをえない。今後は画像技術やデザインで差別化していく」と述べた。


 パイオニアは現在42、50、60型のプラズマテレビを発売している。国内でプラズマテレビを販売しているのは、同社を含め日立と松下電器産業の3社のみ。BCNランキングでメーカー別の販売台数シェアを見ると、2月現在で松下が71.9%の圧倒的なシェアで1位、2位は日立で26.1%。パイオニアはわずか2%にとどまっている。やはり高級モデルのみをラインアップしたことがシェア低迷につながっているようだ。


 また07年9月にシャープと行った資本提携については、08年秋にシャープから液晶テレビの供給を受けて欧州から市場投入を開始する計画を発表。プラズマテレビ「KURO」シリーズの思想を受け継ぐ液晶テレビの開発も進めるという。今後は好調なカーエレクトロニクス事業の拡大とホームエレクトロニクス事業の収益改善を行い、業績改善と安定的な収益確保を目指す。