DVD-Rもデジタル放送対応にシフト、1枚100円切り売り上げ伸びる

特集

2008/02/21 00:35

 デジタル放送をディスクに1回だけ録画できる「CPRM対応DVD-Rディスク」が売れている。私的録画補償金が含まれた12cmサイズの録画用DVDメディアに占めるCPRM対応DVD-Rの構成比は、1年前の8%から08年1月には21.5%まで上昇。1枚あたりの単価も100円を切り、メディア代を気にせず、気軽に焼ける水準に下がってきた。事実上Blu-ray Disc(BD)に一本化が決まった次世代DVDメディアを含め、「BCNランキング」で録画用DVDメディアの動向をまとめた。

●地デジの番組を録画できるCPRM対応DVD-Rがじわりじわり浸透、2割前後に

 録画用DVDのうち、最も一般的な規格はDVD-R。実はデジタル放送を録画できるCPRM対応ディスクと、録画できないCPRM非対応のディスクの2種類がある。どちらも同じDVD-Rだが、デジタル放送の録画という点では、もはや別物と見なした方が良いだろう。実際、店頭ではDVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、そしてCPRM対応DVD-Rと、大きく4つに分けて陳列している場合が多い。そこで今回は、DVD-Rのみ、CPRM対応かどうかで区別し、規格別の構成比や1枚あたりの税別平均単価を集計。ここ1年間の動きを追ってみた。なお、主にHDD-DVDレコーダーでの利用を想定し、12cmサイズの録画用DVDメディアに限定した。

 まずは、規格別の販売枚数構成比の動きを見てみよう。07年1月の時点では8.3%に過ぎなかったCPRM対応DVD-Rは右肩上がりで徐々に伸び、08年1月には21.5%と全体の2割を占めるまでに拡大した。逆にCPRM非対応DVD-Rは、シェア60.1%で規格別1位のポジションは変わらないものの、1年間で10ポイント近く下がった。


 DVD-RWとDVD-RAMはほとんど変わらず、現在市販されているBD規格のBD-R、BD-RE、HD DVD規格のHD DVD-Rを合算した「次世代DVDメディア」は0.1%から08年1月には0.5%とわずかにアップした。ちなみに、08年1月の次世代DVDメディアの規格別内訳は、BDが97.6%、HD DVDが2.4%。BDに限ると、BD-Rが67.7%、BD-REが32.3%を占めた。

 一方、販売金額に視点を移すと、1枚あたりの単価が高い次世代DVDメディアの伸びが著しい。特に次世代DVDレコーダー商戦が本格化した07年11月には、それまでの2-3%台から6.2%に上昇。翌月12月、08年1月も7%台と、好調を維持している。


●拡大の理由は値下がり? シンプルさ? 1枚あたりの単価は100円を切る

 同様に07年1月から1枚あたりの税別平均単価の推移を見ると、DVD-RAMを除いて軒並み下落傾向を示し、DVD-RWは160円台から140円台に、CRPM対応DVD-Rは110円台から90円台に大きく下がった。CPRM対応DVD-Rの実勢価格は、10枚パックで1300円前後。さらに、店舗によってはポイント還元がつく。実際に店頭で価格を調査したところ、インクジェットプリンタ対応の10枚パックが980円、20-25枚入りのスピンドルが2000円以下で販売されているところもあった。同じ10枚パックの場合で、実勢価格1500円-2000円台前半のCPRM対応DVD-RW、DVD-RAMと比べると、お買い得感は高い。

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 ここで各規格の違いを簡単に説明しよう。DVD-RやBD-Rなど、末尾に「-R」のつくものは追記型と呼ばれるディスク。ビデオテープのように繰り返し録画することはできないが、その分、同規格のなかでは安い。対して、DVD-RW、DVD-RAM、次世代DVDのBD-REなどは書き換え型と呼ばれ、ディスクが正常ならば、何度も繰り返し録画することができる。実際には一度録画した内容を消すことはないとしても、「使いまわせる」のは、何となく安心だ。

 ただし、DVD-RやDVD-RWなどに録画した番組を他のDVDプレーヤーやパソコンで再生するにはファイナライズ作業が必要。またディスクに記録する前にも、適切なモードでの初期化が必要になることもある。こうしたさまざまなDVD規格の乱立や、ファイナライズ、CPRM、コピーワンスといった専門用語が、「DVDレコーダーは操作が難しい」という固定観念を生み出し、いまだ利用者が多いVHSデッキからの買い替えが進まない要因の一つとも言われている。

 何らかの原因でダビングやファイナライズに失敗すれば、ディスクはタダのゴミ。軒先につるしてカラス避けにしたり、コースターにするぐらいしか使い道がなくなる。CPRM対応DVD-Rの拡大の背景には、地上デジタル放送を受信できるデジタルチューナー内蔵のHDD-DVDレコーダーの普及に加え、万が一失敗した時に金銭的なダメージが少ないからだろう。また、一度しか録画できない、というデメリットが、逆に初心者層にはシンプルでわかりやすいのかもしれない。

●インクジェットプリンタ対応タイプが人気、次世代DVDは値下がりに期待

 では実際に売れている製品を紹介しよう。12cmサイズの録画用DVDに限った、08年1月のパッケージ別の販売数量シェア1位は、ソニーのCPRM非対応DVD-Rの20枚パック「20DMR12HPSS」、2位には同じディスクの10枚パック「10DMR12HPSS」が入った。

 1位を除いて、トップ10はすべて10枚入りパック。CPRM対応DVD-Rは、3位のビクター「VD-R120CP10」、7位の日立マクセル「DRD120WPB.S1P10S A」など計4製品がランクインした。このほか、4位のソニー、5位のビクターのDVD-RW、6位の松下のDVD-RAMもCPRM対応ディスクで、デジタル放送の番組を記録することができる。また、1位をはじめ8製品が、レーベル面に番組タイトルなどを印刷できる「インクジェットプリンタ対応」タイプとなっており、規格やメーカーを問わず、人気を得ているようだ。

 次世代DVDディスクに限ると、RiTEKの片面1層25GBのBD-R「70L5EKRDA0003」がトップに立ち、全体でも37位に食い込んだ。次世代DVDメディア全体の1枚あたりの税別平均単価は1200円程度。店頭では次世代DVDメディアのなかで一番安い、容量25GBのBD-Rがそれくらいの価格で売られている。



 1枚あたりの平均単価は前年に比べると1000円近く下がったが、100円台の従来DVDとの開きはまだまだ大きい。売れているのも、従来DVDとは違い、1枚入りのバラ売りパッケージだ。それもそのはず、10枚パックは25GBのBD-Rでも1万円を軽く超えてしまう。“次世代”と従来DVDを比較した場合に、レコーダー本体よりも、メディアの価格の高さを気にして購入を見送る例も多いようだ。

 2月19日、東芝はHD DVD規格のレコーダー・プレーヤーの新製品開発と生産を中止し、3月末で同事業を終了すると正式発表した。事実上、次世代DVDはBDに一本化され、これを契機に、BD対応レコーダーやパッケージソフトの普及に弾みがつけば、メディアの価格も自然とこなれていくかもしれない。

 現状、従来DVDには、松下のHDD-DVDレコーダーなど一部の製品を除き、デジタル放送をハイビジョン画質のまま録画できず、画質を落とさなければメディアに保存できない。コピーワンスの制限があるため、一度メディアにダビングしたらHDDに戻すこともできない。今年6月2日からNHKと無料の民法放送で開始予定の新ルール「ダビング10」でも、メディアから他のメディアにダビングする「孫コピー」は不可能だ。こういった制約を考えると、1枚100円でもまだ高いのが庶民の感覚。メディアは消耗品のため、つい無頓着になりがちだが、特に次世代DVDレコーダーの購入を検討している場合は、価格の動きに敏感になった方が良いだろう。(BCN・嵯峨野芙美)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。

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