君もアーティストになれる! サウンド関連ソフトの種類と選び方

特集

2008/01/30 00:20

 昨年人気を集めたクリンプトン・フューチャー・メディアの「VOCALOID2 初音ミク」。「自分で作詞・作曲して歌わせるなんてすごい!」と興味を持った人も多いはず。そこで、初心者でもPCで音楽制作ができる、サウンド関連ソフトの種類と選び方を紹介しよう。

●サウンド関連ソフトを選ぶ注意点は?

 PCで音楽制作することを一般的にDTM(Desk Top Music)という。一口にDTMソフト(サウンド関連ソフト)といっても、作曲からCD作成までをこなす多機能ソフトや、音量やエフェクトの調整をするもの、PCに音源を追加するものなど、さまざまな種類がある。したがって、「DTMで何をしたいのか、またそれに伴う必要な機能は何か」を明確にしてからソフトを購入することが大切だ。早速、どんなソフトがあるか見てみよう。

●手軽に作曲したいなら「DAWソフト」

 音声の録音から、MIDIによる入力、ミキシング、マスタリングまで、音楽制作に必要な機能がすべて揃っているのが「DAW(Digital Audio Workstation)ソフト」。1本購入すれば、オリジナル楽曲をすぐに作成できる。高額・高機能なプロ向けのものもあるが、趣味で始めるなら機能を制限した手頃な価格のものがよい。音源も豊富に搭載するので、さまざまな表現が楽しめる。


 操作の手軽さで人気なのが、インターネットの「Singer Song Writer Lite 5.0 for Windows」。鼻歌や口笛から自動的に音程を認識し、楽譜を作成してくれる。伴奏もメロディから自動生成するので、楽器が演奏できない人、音楽に詳しくない人でも利用できる。価格は1万5750円。

 AHSの「Music Maker Producer Edition」は、高精度な「ピッチチューン機能」が魅力。録音したボーカルや楽器の音声を細かく分析し、音程や歌い方のニュアンスを調整することができる。ソフトウェア・シンセサイザー「Revolta2」も搭載し、多彩な音を使って作曲が行える。価格は1万4800円。

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●素材を組み合わせて制作する「ループシーケンスソフト」

 「一から作曲をする自信がない……」という人にオススメなのが、「ループシーケンス」という機能。素材として収録するオーディオファイル(ループ素材)を組み合わせて1つの楽曲を作るというもので、多くのDAWソフトが搭載する。この機能を使えば、音楽に関する知識がなくてもプロデューサー気分で作曲できる。


 「ループシーケンスソフト」で有名なのは、フックアップの「ACID」シリーズ。「ACID Music Studio 7」は3000種類以上のループ素材を搭載し、ドラック&ドロップだけで多様な楽曲を生成できる。CDやMP3形式の音楽など、手持ち楽曲から素材をサンプリングできるのも特徴の1つ。MIDIとオーディオによる録音にも対応する。価格は1万4490円。

 また、DAWソフトのエントリーモデル、ローランドの「Cakewalk Music Creator 4」もループシーケンス機能に対応する。3000種類以上のループ素材をドラック&ドロップで配置する。録音したオーディオやMIDIファイルからループ素材を生成することも可能。プロ仕様のDAWをベースにしているので、ミキシングやソフトウェア・シンセサイザーの機能も充実している。価格はオープン。

●みんなで演奏したいなら「楽譜作成ソフト」

 創った曲を仲間と演奏したいと思ったら楽譜が不可欠。そんなときは「楽譜作成ソフト」を使おう。キーボードやマウスを使ってPC上で音符を入力するのはもちろん、他のソフトで作曲したMIDIファイルのインポートや、MIDIキーボードからのリアルタイム入力にも対応。簡単な作曲機能も付属するので、初心者向けの入門ソフトとしても利用できる。手持ちの楽譜をスキャナでPCに取り込み、その楽譜をPCで再生できるソフトもある。


 イーフロンティアの「PrintMusic 2007」は、設定の手軽さが特徴。使用する楽器や調号、拍子記号をリストから選んでいくだけで、すぐに音符の入力を始められる。ボーカルや管楽器などの単音楽器であれば、マイクを通して演奏音から採譜することもできる。価格は1万4700円。

 スキャンによる楽譜認識機能が充実しているのが、河合楽器製作所の「スコアメーカーFX2」。最大16パートまでの楽譜に対応し、単独譜表、大譜表、リズム譜、ドラム譜なども読み込むことが可能。豊富な編集機能で、合唱譜、ピアノ譜、バンドスコアなどの楽譜も作成できる。価格は3万9900円。

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●オーディオの質を上げる「波形編集ソフト」

 「波形編集ソフト」は、録音・作成したオーディオデータを波状に表示し、編集するもの。例えば、録音した音声の始点・終点にあるノイズや空白を削除したり、フェードイン・フェードアウト効果を追加したりする場合に便利だ。ノーマライズやノイズキャンセルなどのエフェクト機能も備えているので、録音した演奏やボーカルの品質を上げるために使うとよいだろう。また、レコードやカセットテープなど、古いアナログ音源のデジタル化にも重宝する。


 「波形編集ソフト」の中でも人気なのが、インターネットの「Sound it! 5.0 for Windows」。対応ファーマットが多く、さまざまな機器で録音した音声を取り込むことができる。アップルのiPodに内蔵する楽曲を抽出し、バックアップする機能も備える。価格は1万290円。

 フックアップの「Sound Forge Audio Studio 9」は、CDなどから取り込んだデータのボーカル部分を消去して、カラオケ用の伴奏を作れる。古いアナログ音源を取り込む際は、音質を復元することも可能。価格は1万290円。

●音を追加して表現の幅を広げる「ソフトウェア音源」

 最後に、「ソフトウェア音源」も紹介しておこう。もともとDAWソフトなどのサウンド関連ソフトは、さまざまな楽器の音を搭載する。しかし、作曲に慣れてくると、標準装備の音源だけでは物足りなくなるかもしれない。そんなときは、ソフトウェア・シンセサイザーやドラム・ギターなどの音を収録した「ソフトウェア音源」を利用しよう。音を1つ加えるだけでも曲の印象はガラッと変わる。


 クリプトン・フューチャー・メディアの「GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA KP2」は、フル・オーケストラに必要な音源を豊富に収める。ブラス、ウッドウィンド、パーカッションのほか、鍵盤楽器にパイプ・オルガン、ハープシコード、チェレスタも収録。価格はオープン。

 また、変り種として、同じくクリプトン・フューチャー・メディアの「VOCALOID2 鏡音リン・レン」もある。ボーカル音源で、メロディだけでなく歌詞をオリジナルで作成する楽しみもプラスされる。価格はオープン。