米IBMの「Lotusphere2008」開幕、ローディン氏「エマージェンスが台頭」

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2008/01/22 19:50

【オーランド発・佐相彰彦】今年で15周年を迎える米IBMの年次カンファレンス「Lotusphere2008」が、フロリダ州オーランドで1月20日(現地時間)開幕した。2日目の21日に開かれた基調講演では、ユーザー企業やビジネスパートナー企業、報道関係者を含め7000人を超える来場者が会場が埋め尽くした。

 基調講演の冒頭にはロータスソフトウェアの総責任者、マイク・ローディン・ゼネラルマネージャーが登場。「エマージェンス(創発)が台頭する」と語った。個人市場だけでなく法人市場でも、業務遂行のためにインターネットを活用して「情報を集める」ことが当たり前になりつつあるためだ。

 インターネットで飛び交う情報を効率よく収集するには、これまでの情報システムやアプリケーションソフトでは対応できなくなる可能性が高い。実際、企業では的確な情報を収集するためのシステムが登場したりサービスの導入ニーズが高まっている。こうした状況を受け同社でも昨年から「さまざまなロードマップを発表した」という。その具体的内容を今回のカンファレンスで披露するとしながらも、ローディン・ゼネラルマネージャーは、「ロータスは、できない約束はしない」とアピールした。

 また、ゲストスピーカーとしてスポーツキャスターのボブ・コスタス氏も登場。「スポーツは、勝った負けたなどが主な情報だが、結果の情報だけでは計り知れないものがある。そのため、その時の情勢などを踏まえて分かりやすく伝えなければならない」と語った。さらに、今年開かれる北京オリンピックを例に挙げ定量と定性の情報提供の重要性を説明。変貌を遂げる中国で、選手の力は数値では分析できない無限大の可能性を秘めているとして、「そのなかで、どのようなスポーツが展開されるのかを探すのが私の仕事」と語った。また、オリンピックはスポーツイベントという意味合いだけでなく「オリンピックによって、中国がどう変化するのか。こうしたことを伝えるのも役目」と締めくくった。

 さらに、ローディン・ゼネラルマネージャーが再度登場。“次世代コラボレーション”について語った。「全くつながりのなかった人に意見をもらえるようになるなど、新しいコラボレーション形態が出始めている」として、こうしたコラボレーションを生かし、企業は収益を上げていかなければならないと話した。そこでは「ナレッジマネジメントやサーチといった機能が必要」になり、「マッシュアップもしなければならない」とした。

 続いてこうしたスピーチの内容を実現する製品や機能追加が次々と紹介された。機能追加したのは、グループウェア「ロータス・ノーツ/ドミノ」でモバイルやウェブ2.0に対応する。モバイルは2月に、ウェブ2.0が今年後半にも対応する。統合オフィススイートについては、マイクロソフトオフィスなど競合ソフトとの連携を可能にする。新製品として、ユニファイドコミュニケーションが可能な「ロータス・セイタイム」や、SNSに対応した「ロータス・コネクション」、マッシュアップが可能な「ロータス・マッシュアップ」などを発表した。

 また、SAPとの提携も発表。「アトランテック」というコードネームでノーツとERPの連携プロジェクトを進めているとした。さらに、SMB(中堅・中小企業)向け製品の強化も発表。アプライアンス製品として「ロータス・ファンデーション」、SaaS関連の製品・サービスとして「ブルーハウス」を追加した。基調講演では、発表した機能や新製品の簡単な概略にとどめ「今後のセッションで詳細を明らかにする」と話した。