日立、松下、キヤノン、液晶パネル事業で提携、競争力の強化を図る

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2007/12/26 15:46

 日立製作所、松下電器産業、キヤノンの3社は12月25日、液晶パネル事業で提携すると発表した。3社が手を組むことで液晶ディスプレイの安定生産を確保。競争力の強化を目指す。同時に有機ELの開発も進める。

 提携の第1段階として08年3月31日までに、日立製作所は100%子会社で中小型液晶パネルを生産する日立ディスプレイズの株式を松下とキヤノンに24.9%ずつ譲渡する。

 第2段階では、キヤノンが日立ディスプレイズの株式の過半数を取得。キヤノンは液晶パネル分野に参入することでデジタル一眼レフカメラ用モニターなどの中小型液晶で内製化を進め、コストの削減や開発期間の短縮を図る。

 一方、松下もテレビ用大型液晶パネルを生産するIPSアルファテクノロジの株式の過半数を取得し、経営権を握る。IPSアルファテクノロジは日立ディスプレイズが50%、松下が30%、東芝が15%出資しているが、東芝は液晶パネルとテレビ用システムLSIの相互供給でシャープと提携。保有するIPSアルファの株式売却を検討していることを表明している。

 会見で松下の大坪文雄社長は「東芝とIPSアルファの株式譲渡で合意している」と話し、東芝が持つ株式を取得することを明らかにした。日立はIPSアルファテクノロジの主導が松下電器産業に移ることでテレビ用液晶パネルの生産から事実上、撤退する。

 松下はIPSアルファテクノロジを傘下におさめることで液晶パネルの安定的に調達。プラズマだけでなく、液晶テレビでもパネルからテレビの組み立てまで手がける垂直統合型の事業モデルを推進する。

 経営権確保後には新工場の建設にも着手。新工場では第7-8世代のマザーガラスを使用して、30インチ台の液晶パネルを生産する。大坪社長は「当社の薄型テレビは37V型以上の大型プラズマテレビを機軸にする方針に変わりはないが、多様化するニーズに応えるため、液晶テレビの事業基盤を強化することが急務になっている」と提携の目的について話した。

 キャノンでは日立ディスプレイズと共同で進めていた有機ELの研究開発を今回の提携をテコに加速する。また、開発を進めている次世代ディスプレイ「SED(表面電界)」については開発を継続。55V型以上の大型テレビで商品化を目指す。

 会見で日立製作所の古川一夫・執行役社長は「今回の提携でリソースの最適配分と収益構造が確立できる。3社の連合は世界で戦っていくための最強のシナジー(相乗効果)を生み出せるチーム」と述べ、自信をみせた。