ミリ単位で薄さを競う超薄型テレビの開発が本格化――CEATEC JAPAN 2007

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2007/10/04 11:40

 千葉の幕張メッセで、10月2日から6日まで、5日間に渡って開催されるアジア最大のIT・家電見本市「CEATEC JAPAN 2007」。その見所を編集部がピックアップしてお伝えする。第1回目は、競争が激しい「薄型テレビ」に焦点を当てた。

液晶テレビシャープの薄さ20mmに、日立は19mm、ビクターは37mmで対抗

 CEATECの今年のテーマは、「見える、感じる、デジタルコバージェンス最前線。」。薄型テレビメーカー各社は、さまざまな技術を駆使し、「薄型化」をアピール。厚さ19mmの液晶テレビや、わずか3mmの有機ELテレビなど、ミリ単位での競争が激化している。

 シャープは、主力モデルの「AQUOS」Gシリーズの同型機に比べて60mm以上薄い、薄さ20mmの52V型液晶テレビを展示。水平1920×垂直1080画素のフルハイビジョン(フルHD)表示に対応し、暗所コントラストは100000:1、リビングコントラストは5000:1、正面輝度は500cd/m2の高性能を誇る次世代テレビだ。


 同社は、フルHD対応の小型パネルの開発にも着手しており、業界初の26Vと22V型のフルハイビジョン液晶テレビの試作機も出品した。これまではフルHD対応モデルは32V型が最小サイズだったが、今回の試作機はパソコン用ディスプレイといった用途を想定しているという。


 シャープに対抗するように、他社も最新の薄型テレビの展示に力を入れていた。日立製作所はシャープよりも最薄部が1mm薄い、19mmの次世代液晶テレビを初めて公開。32V型の「IPSαパネル」を使用したもので、視野角は178度。試作機では、スリムなデザインのきょう体を採用し、薄さを強調する。


 一方、日本ビクターは、最薄部が37mmの42V型液晶テレビ「スリムLCD」を世界で初めて披露した。テレビ背面部にデジタルチューナースピーカー、画像処理回路などを埋め込むことで、薄型化に成功。そのため、パネル方式を問わず、薄型化が可能だという。ビクターでは同社がスポンサーになっている6月開催の欧州サッカー選手権「EURO 2008」に向け、08年3月から欧州で販売を開始。その後、日本でも発売する計画。


ソニーは驚異的な薄さ3mmの有機ELテレビを出品、大型化も視野

 またソニーは、液晶テレビよりもさらに薄い超薄型テレビとして、10月1日に発表した世界初の有機ELテレビ「XEL-1」を展示した。有機ELは自発光のため、液晶テレビよりも薄型化できるのが特徴で、11V型の「XEL-1」の厚さはわずか3mm。コントラストは1000000:1以上、輝度は600cd/m2で、「液晶テレビ以上の表示性能」(ソニー)という。


 ソニーでは27V型の有機ELテレビもブースに展示、大型化も視野に入れている。27V型は厚さが10mmだが「さらに薄くすることが可能」(同)といい、今後、液晶テレビの対抗馬として大いに注目されそうだ。

<--page-->●3倍速表示の液晶テレビやアナログをフルHD化する技術など新技術を披露

 本体の薄型化と並んで、メーカー各社が力を入れるのが高画質技術。ビクターは液晶テレビの動画対策を進化させた「3倍速180Hz液晶テレビ」の試作品を展示した。


 液晶テレビの一部のモデルは、スポーツなどの動きの速い映像を滑らかに表示するため、「倍速駆動」と呼ばれる、動画性能改善技術を搭載している。1秒間で60コマの映像に対しコマとコマの間の中間映像を生成・挿入し、1秒間に120コマにして表示することで残像感を抑えるといった技術だ。

 ビクターではその技術を一歩進め、試作した「3倍速180Hz液晶テレビ」では1秒間に180コマまで増やし、動画性能をさらに向上させた。画像処理回路と独自プログラムで、映像の情報を予測し、補間する映像を2コマ生成。作り出した映像を挿入することで、滑らかで高精細な映像を表示できるようにする。

 「Real Bit Driver」と呼ばれる信号の増幅機能を搭載した、次世代の薄型テレビ向け画像処理回路も出品。デジタル放送の8ビット信号を12ビット信号並まで引き上げることで、従来よりも滑らかな階調の映像出力を可能にする。早い動きの映像に対し、動画ボヤケを抑え、ノイズを除去する機能なども盛り込んだ。

 東芝は、アナログ放送の画質を1920×1080画素のフルHDに変換する「超解像技術」を出展。新開発の画像処理回路「SpursEnginee(スパーズエンジン)」と独自のプログラムを使用し、フルHD映像に画質を上げた場合に不足するアナログ放送の画素情報を収集、必要となる画素を補間することで、フルHD化を実現。画像のエッジを立てノイズを抑えることで、メリハリのある映像表示も可能にした。開発した新技術は、まずはパソコンで採用する計画。


 「SpursEngine」は、ソニーの家庭用ゲーム機「PLAYSTATION 3(PS3)」に搭載されているCPU「Cell(セル)」から演算機能のみを取り出したプロセッサ。組み込むプログラムによって、さまざまなデジタル家電で利用できる。そのため、汎用CPUとして、「パソコンやテレビ、次世代DVDレコーダーなどにも展開していく」(東芝)考え。


 松下電器産業は、ハイビジョン対応のデジタル機器向けの統合プラットフォーム「UniPhier(ユニフィエ)」を紹介。データ量が多いハイビジョンの映像を高い画質を保ったまま、高速処理が行えるのが特徴だ。「UniPhier」は、10月2日に発表したブルーレーディスク(BD)レコーダーや薄型テレビをはじめ、NTTドコモ向けのワンセグ対応携帯電話やSDメモリカードを使ったビデオカメラなどで搭載。松下ではデジタル家電用の半導体を一本化することでコストダウンを図ると同時に、開発のスピードも上げる狙い。現在は自社製品のみだが、「今後は他社への販売も検討する」(松下)という。


●拍手でチャンネルを変えるテレビ、顔だけ取り出すアプリケーションも

 テレビの操作性や新たなアプリケーションの展示も見られた。ビクターは拍手でテレビのチャンネルや音量を行う「拍手音&ジェスチャー認識テレビ」を開発。テレビの上部に設置された小型ビデオカメラとマイクを使い、人が手を動かした場合は画像、手をたたいた場合は音をテレビが認識し、内蔵するCPUがチャンネルや音量のシステムを制御する。


 東芝は、「SpursEnginee」を応用して、映像の中から人の顔の画像だけを取り出して並べるアプリケーション「顔deナビ」を開発。顔検出のプログラムを組み込んだ回路を利用し、画面に占める顔の映像を検出して表示する。東芝では「映像の新しいコミュニケーションと楽しみ方を提案したい」としている。


 これまで薄型テレビメーカー各社は、他社との差別化や価格下落を防ぐため、「大型化」と「高画質」で競い合ってきた。今回のCEATECでも、数々の新技術が発表され、画質の向上は依然として重要なテーマだ。その一方で、「壁掛けテレビ」を視野に入れた「薄型化」に競争の軸足が移りつつある。今後は「大型」「高画質」はもちろん、どれだけ「薄く」できるか、メーカーの攻防が続きそうだ。

「CEATEC JAPAN 2007」=http://www.ceatec.com/


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