いきなりトップは半額の「Core 2」、インテルの新CPUが巻き起こす熱い夏

特集

2007/08/06 00:12

 インテルが7月22日に発売した新「Core 2」シリーズのCPU。早くもBCNランキングにトップで登場したのは、昨年モデルと比べ高性能ながら価格が半額のお値打ちモデルだ。Duo、Quad、Extremeと2万円台から13万円を超えるモデルまで幅広いラインアップを展開する新CPUについて、「BCNランキング」で売れ筋を探りつつ、それぞれの特徴もまとめた。

●1位は「速い<安い」の「Core 2 Duo E6750(2.66GHz)」

   CPU(Central Processing Unit)は「中央演算装置」ともいい、いわばPCの「頭脳」。CPU市場は現在、インテルとAMDの2大メーカーの寡占状態で、7月のメーカー別販売個数シェアではそのうちの7割をインテル製品が占めている。

  「Core 2」シリーズは、昨年8月にインテルが「Pentium」の後継として発売したCPUで、中心回路「Core(コア)」を複数搭載する新しい構造を採用したのが特徴。今年の新シリーズではさらに性能を向上させ7月22日に発売した。昨年と同じ「Core 2 Duo」「Core 2 Quad」「Core 2 Extreme」の3シリーズをラインアップし、今回は7製品を販売する。



   7月第4週(7月23-29日)のBCNランキングでは、早くもこの新シリーズがトップを獲得。シェア19.2%で「Core 2 Duo E6750(2.66GHz)」が1位の座についた。「E6750」は、クロック数2.66GHzで、2次キャッシュ4MBのシリーズ中位モデル。平均価格は2万5000円前後。そのほかの新製品は、「Core 2 Duo E6850(3.0GHz)」が3位、「Core 2 Duo E6550(2.33GHz)」が5位にランクインした。

   「E6750」が人気を呼んでいるのは、昨年発売した「Core 2」シリーズの「E6700」と同じクロック数(2.66GHz)にもかかわらず、半額以下という低価格が最大の要因だろう。その上、「FSB(フロントサイドバス)」と呼ばれるPCの内部スピードが1066MHzから1333MHzに高速化されたことも大きな魅力だ。

●「TSUKUMO eX.」に聞くCore 2シリーズ素人講座 新CPUはこんな人向け

  今回トップ10に登場するインテル系CPUはすべて「Core 2 Duo」だが、同時発売のCPUには「Quad」や「Extreme」といったハイスペックなシリーズもある。価格は「Core 2 Quad Q6700(2.66GHz)」は7万1000円前後、最上位の「Core 2 Extreme QX6850(3.0GHz)」にいたっては13万1500円前後と非常に高価だ。


  ところで、シリーズ名称からはどれが最上位で、どれがエントリーモデルのシリーズなのか分かりにくい。ExtremeやQuad、Duoという名称があるが、素人目に見て一番簡単に性能が比較できる「クロック数」が、シリーズの名称に連動していないのだ。たとえばExtremeシリーズの「QX6850」のクロック数は、Duoシリーズの「E6850」の3GHzと同じで、どちらのCPUの性能が上なのかがわかりにくい。

  「Core 2」シリーズの内部には、「Core」と呼ばれる中心回路が搭載されており、Duoには2個、QuadとExtremeには4個が組み込まれている。秋葉原のPCパーツ専門店「TSUKUMO eX.」では、「ExtremeとQuadの違いはクロック数。Core 2シリーズの最上位モデルを強くアピールするためのもので、構造的な違いはありません」(小川健次 TSUKUMO eX. 主任)と指摘。

  用途に関しては、「コアの数が多いほど多くの処理が同時にできるため、Quadシリーズは多くの処理が必要になる映像編集ソフトなどの作業時にクロック数が低くても安定した高い性能が出せる。しかしまだまだ4つのコアすべてを使い切るようなソフトは少なく、一般の自作PCユーザーや、1つの処理で高負荷になるPCゲームをプレイする人にはコア数が少なくても高いクロック数のCPUを選んだほうがいい」(同)として、使い道に応じた選択を勧めている。

  「Quad」や「Extreme」などの上位CPUは性能が大きく先行しており、まだ対応しているソフトが少ない。現在購入しているのは、映像編集などが専門で本当にこの性能が必要な層と、今後の対応ソフトの増加を見込んで購入する、最先端を追い求める層のユーザーが中心だ。一方「Duo」は、手の届く価格になってきたことから、今のPCに満足していない標準的な自作ユーザーや値下がりを待っていた層にも広がりそうだ。

●CPUが売れれば周辺パーツが売れる、今後の市場はどうなる?

  最新技術を搭載するCPUの性能を生かすには、多くの場合新CPUに対応した新しい周辺パーツが必要になる。そのため、新しいCPUが発売されると周辺パーツ市場も賑わう。昨年も、夏に初代「Core 2」シリーズが発売されマザーボードやグラフィックカードなどをけん引。販売台数・販売金額ともに8月以降前年同月比でプラスに推移した。この好調は今年に入っても続いており、例えばマザーボードでは、販売数量の前年同月比で101?132%、金額では122?156%と高い水準で推移している。

  PCパーツ全体の今後の見通しについて、「昨年発売のCore 2シリーズの好影響が今年に入っても続いている。さらに今年はCPUの価格が大幅に下がったことで購入者が増え、今後もPCパーツの高い買換え需要が期待できる」(同)と期待を寄せる。今年もCPUとパーツには「熱い夏」が訪れそうだ。(BCN・岡本浩一)

*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など21社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。 


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