機能で選ぶ最新コンパクトデジカメ

特集

2007/07/09 00:00

二度とない貴重な瞬間を思い出に残すアイテム=カメラ。思い出の決定的瞬間を切り取るには、毎日持ち歩いて、手軽にきれいな写真を撮ることができるコンパクトデジタルカメラがおすすめだ。コンパクトデジカメの最新トレンドと製品選びのポイントを紹介しよう。

最新トレンドは、「顔認識」「手ブレ補正」「高感度」


 最初に押さえておきたいのは、コンパクトデジカメの最新トレンドだ。キーワードは、「顔認識」「手ブレ補正」「高感度」の3つだ。さらに、今年の夏モデルでは「高画素」も加わった。


 「顔認識」機能は、被写体となる人物の顔をカメラが自動的に検出し、顔が一番きれいに写るように、ピントや明るさ、ストロボの発光量などを自動で調整する機能だ。室内や照り返しの強い浜辺・プールサイドなどでの撮影で「人物の顔が暗く写ってしまった」、あるいは「ピンボケになってしまった」という経験は誰しもあるはず。そんな人物撮影の失敗が、カメラ任せで解消できるのが、「顔認識」機能のメリットだ。


 「顔認識」機能は、富士フイルムの「顔キレイナビ」やキヤノンの「フェイスキャッチテクノロジー」のように名称はメーカーによって異なる。また、機能もメーカーによって微妙な違いがあるようだ。富士フイルムは、最短約0.05秒で顔を検出するスピードの速さと、最大10人までの顔を同時に検出するのが特徴。キヤノンは、顔部分と周囲の風景とのバランスと画質のよさを強調する。カシオの顔認識機能はちょっとユニーク。あらかじめ認識させたい顔を登録しておくことで、大勢の中からでもその顔を見つけて、そこにピントや明るさを合わせてくれる。相手が移動しても、顔を追ってピントを合わせ続ける。


 「手ブレ補正」と「高感度」は、2つでセットといえる機能。「手ブレ補正」は、カメラを持ったときの手ブレを光学式または電子式に補正する機能。「光学式」は、レンズの一部や撮像素子などをブレの打ち消す方向に高速で動かすことで手ブレを軽減する。一方、「電子式」は、撮影した画像をデジタル処理することでブレを目立たなくする。一般的に、光学式の方がブレ軽減効果は高いといわれている。


 「高感度」は、ISO(感度)を上げて撮影する機能。感度を上げることでシャッタースピードを速くすることができるので、被写体ブレを軽減する効果がある。つまり、動きの速い被写体がブレることなく撮れるということだ。暗い場所で、なるべくストロボを使わずに撮影したいときにも活用できる。最近では、多くの機種がISO1600の高い感度で撮影でき、中にはISO3200に対応した機種も出てきている。ただし、デジタルカメラは感度を上げるほどノイズが増えて画像が荒れてしまう。だから、高感度での撮影は、その点を考慮して使うことが大切だ。



07年夏モデルでは1200万画素級が続々登場!


 「高画素」は、メーカー各社が07年の夏モデルで新たに投入してきた機種群だ。これまでコンパクトデジカメの最高有効画素数は1000万画素だったのだが、最新機種では1200万まで高めた機種が登場している。1200万といえば、デジタル一眼レフの中級機を超える画素数だ。撮影した画像は大画面の薄型ハイビジョンテレビに映しても、高精細で見応え十分の画質。A3サイズ以上に大きくプリントしても大丈夫だ。

 ただし高画素なぶん、画像のファイル容量も大きくなる。例えば720万画素デジカメの最高画質で撮影した場合は、画像1点のファイルは約4MB程だが、1200万画素デジカメの最高画質では約8MBになる。およそ2倍のファイル容量になる計算だ。そうなると、記録するメモリカードなどの記録メディアや、撮影した画像を保存しておくHDDも、大容量のものが必要になってくる。こうした点を理解したうえで、画像を大きくプリントしたい、大画面テレビで鑑賞したいといった目的があるならば、1200万画機種の購入を検討してもいいだろう。



一番大切なのは「何を撮りたいか」


 コンパクトデジカメの最新機能のトレンドを踏まえたうえで、さて、何を選ぶか。製品を選ぶ前に一番重要なのは、「何を撮影するか」という使用目的だ。


 例えば、人物を撮るのか、風景を撮るのかでも、重視する機能は違ってくる。「友だちや子どもなど、とにかく人物を撮る機会が圧倒的に多い」という人には、「顔認識」が充実した機種がおすすめだ。「風景撮影や街角のスナップ撮影が中心」という人には、広角28mmのレンズを搭載した機種がいいだろう。


 一方、カバンやポケットに入れてでも、「常にデジカメを持ち歩いて、気になった瞬間を逃さず写真に撮りたい」という人には、とにかく小さく・薄く・軽い機種で、電源を入れてから起動が速い機種がピッタリ。さらに、持っていることをちょっと自慢できるようなデザインであればうれしい。


 そのほか、写真を大きくプリントしたい人や高精細な画質が好みの人には、1200万画素の機種、「スリムじゃなくてもいいから、画質や操作性にはこだわりたい」という人には、カメラの基本機能が充実している機種が購入のポイントになる。


おすすめのコンパクトデジカメ一挙紹介


 最新トレンドに撮影目的別の注目点を交えながら、おすすめの最新コンパクトデジカメを紹介していこう。(本文中のレンズの焦点距離表記はすべて35ミリフィルムカメラ換算、画素数は有効画素)




●キヤノン「IXY DIGITAL 10」

 スクエアでフルフラットなボディデザインで、スタイリッシュデジカメ。それでいて操作性は損なわれていない。高感度ISO1600に対応、顔認識機能も搭載しているが、手ブレ補正は装備していないのが残念。「BCNランキング」ではシルバーモデルの人気が高い。オダギリジョーさんのCMでご存知の方も多いだろう。


●キヤノン「IXY DIGITAL 810IS」

 「顔認識」「光学式手ブレ補正」「最高感度ISO1600」と、3大トレンド全部入り。800万画素で、35-140mmの光学4倍ズームレンズを搭載する。夜景撮影で、電球やビルの明かりをハートマークなどにデコレーションできる「ファンタジーナイトモード」というユニークな機能も備える。IXYシリーズには、28-105mmの光学3.8倍ズームレンズを搭載する「IXY DIGITAL 900IS」もある。広角撮影+3大トレンド全部入りなら、こちらがおすすめだ。


●ソニー「Cyber-shot T100」


 薄型フラットボディでありながら810万画素で、ハイビジョン静止画出力に対応。さらに、「顔認識」「光学式手ブレ補正」を搭載し、「最高感度ISO3200」も装備する。レンズが35-175mmの光学5倍ズームを実現しているのは特筆に値する。背面の液晶モニタは3型と大きく、解像感も高くて見やすい。デザインは大人のイメージ。





●ソニー「Cyber-shot W200」

  1210万の高画素に「顔認識」「光学式手ブレ補正」「最高感度ISO6400」を盛り込んだCyber-shotシリーズの最上位機種。マニュアル露出の撮影が可能で、カメラ任せではない自分なりの撮影スタイルが楽しめる。フルメタルボディ、アルミ削り出しのリングレンズなど、随所にこだわりを感じさせるデザインで、グレード感も高い。





●富士フイルム「FinePix F40fd」

  830万画素で「最高感度ISO2000」に対応する。最短約0.05秒で顔を高速検出する顔認識機能「顔キレイナビ」を搭載。撮像素子のスーパーCCDハニカムVI「HR」は、高感度でのノイズの少なさに定評がある。顔認識機能との組み合わせで、室内での人物撮影に強い。「顔認識」を最重要視するなら、いま一番おすすめできる機種だろう。オプションで防水プロテクタを用意し、海やプールでも活躍する。


●ニコン「COOLPIX S500」

 起動時間が約0.6秒、レリーズタイムラグ約0.005秒という高速動作が最大の特徴。撮りたいと思った瞬間に、すぐに撮影ができる。「顔認識」「光学式手ブレ補正」を搭載し、「最高感度ISO2000」にも対応。スリムでコンパクトなサイズだが、ステンレスボディで質感は高い。天井にぶら下がるナマケモノを発見したキムタクが、さっと手にとるデジカメのCMで見た人も多いだろう。


●ニコン「COOLPIX P5000」

 「顔認識」「光学式手ブレ補正」「最高感度ISO3200」の機能を装備した1000万画素モデル。ボディ前面はマグネシウム合金製の堅牢な作りで、質感も高い。手に持ったときにしっかりカメラを構えることができるかは、手ブレを起こさないためにも重要なチェック項目だが、「P5000」はボディにしっかりしたラバーグリップを装備しており、ほかのコンパクトデジカメにはないホールド感を実現している。ニコンのコンパクトデジカメの最上位に位置しながら、市場推定価格が3万円台半ばという価格も魅力だ。


●カシオ計算機「EXILIM ZOOM EX-Z1200」

  1210万画素で、「顔認識」、「光学式手ブレ補正(CCDシフト式)」「最高感度ISO1600」が揃ったEXILIM(エクシリム)シリーズ初のモデル。「顔認識」は、事前に登録した顔を見つけ出して、ピントや明るさを最適化する。他社にはない機能だ。また、サンプルシーンをセレクトするだけで、手軽にきれいな静止画やムービーが撮影できる「ベストショット機能」も搭載。液晶モニタは2.8型で、14:9のワイドタイプだ。




●松下電器産業「LUMIX FX100」

  1220万画素で、レンズは28mmの広角撮影が可能なLUMIXシリーズの最上位機種。「光学式手ブレ補正」「最高感度ISO6400」を搭載する。顔認識機能は装備していないが、被写体の動きを感知して感度をアップし、シャッタースピードを速くすることで、自動的に被写体ブレを防ぐ機能「インテリジェントISO感度モード」を搭載する。ボディは男性ユーザーを意識したデザインとカラーリングに仕上げている。




●ペンタックス「Optio W30」

 どこにでも連れて行くから、コンパクトデジカメにも防水機能があると安心だ。W30は水深3mで連続2時間の水中撮影が可能な防水・防塵設計。画素数は710万で、「顔認識」「最高感度ISO3200」を搭載。レジャー先で子どもと一緒に使うような場合でも、操作がわかりやすい。「デジタルフィルタ」「フレーム合成」など、撮った写真を加工して遊べる機能も盛り込まれている。


●オリンパス「μ(ミュー)770SW」

 本格的な水中撮影がしたいなら、これだ。水深10mでの撮影が可能で、専用防水プロテクタを使用すれば、水中40mまで撮影できる。本格的なダイビングでも十分使える。さらに、1.5mの耐衝撃、100kgfの耐荷重、氷点下10度の耐温度も備えており、屋内・屋外を問わずヘビーユースにピッタリなデジカメだ。画素数は710万で、「最高感度ISO1600」「手ブレ補正(電子式)」を装備。顔認識は搭載していない。