初めてのデジ一眼、購入ポイントはコレだ!

特集

2007/07/09 00:00

 レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラの人気が高まっている。メーカー各社が初心者向け機種を拡充。実勢価格も10万円を切るようになり、これまで「高い」というイメージも薄まってコンパクトデジタルカメラからの乗り換え組みも増えている。

 そこで、初めてデジタル一眼レフを購入しようという人を対象に、初心者向けの機種に限定して、コンパクトデジカメとの違いや選び方のポイントを解説していこう。

コンパクトデジカメと違う3つのポイントとは?

 デジタル一眼レフには、コンパクトデジカメにはない3つの特徴がある。まず第1に、「デジタル一眼レフは撮像素子が大きい」ということだ。撮像素子はフィルムカメラの「フィルム」に相当するもので、CCDやCMOSといったセンサーのことを指す。

 最近のコンパクトデジカメの撮像素子は1/2.5型が中心だが、これは35ミリフィルムに換算すると1コマの約3%の面積しかない。一方、デジタル一眼レフの撮像素子で多く採用されているAPS-Cサイズは、約半分の面積を持っている。そのため、コンパクトデジカメよりもデジタル一眼レフのほうが、はるかに豊かな階調を表現できる。

 例えば、単純に「青空」といっても、青空には明るいスカイブルーから深く沈んだダークブルーまで、幅広い青色が含まれている。撮像素子が大きいデジタル一眼レフは、そうした微妙な色あいの違いをより忠実に再現できる。

 また、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフは同じ1000万画素でも画像の品質には違いがある。デジタル一眼レフのほうが1画素あたりの受光面積が大きくなるので、高感度撮影時のノイズが低減される。ISO800の高感度撮影では、コンパクトデジカメで撮った画像はノイズが出てかなり荒れてしまうが、デジタル一眼レフではL版プリントくらいなら十分鑑賞に堪えるクオリティを確保できる。

 コンパクトデジカメにはない2つめの特徴は、「レンズの交換ができる」ということ。フィルムであれデジタルであれ、写真表現の重要な決め手となるのはレンズの描写力。自分が表現したいイメージに写真を近づけるためには、それに合ったレンズが必要になる。デジタル一眼レフは、焦点距離や絞りが違うレンズを換えることで、自分が求める1枚を撮ることができる。

 交換レンズは同じ焦点距離であっても、メーカーによって微妙に発色の傾向やコントラスト、写りの味わいなどが異なる。また、同じメーカーのレンズでも、最大絞りの値が「F2.8」と「F5.6」のレンズでは、ボケ味や解像感、画像の周辺部で像が曲がって見える収差の度合いも違ってくる。そうしたレンズの違いを楽しみながら撮影できるデジタル一眼レフは、多様な写真表現が可能なカメラなのだ。

 3つめは、「動作が速い」という点。コンパクトデジカメとデジタル一眼レフではオートフォーカス(AF)のスピードがまったく違う。デジタル一眼レフでは、シャッターボタンを押すと、その瞬間にピントが合うほど動作が速い。また、シャッターを切ったその瞬間が記録される。

 こうしたデジタル一眼レフのレスポンスの速さは、動きのある被写体を追うスポーツ撮影などで圧倒的な強さを発揮する。瞬間を写し撮る力は、デジタル一眼レフのほうがコンパクトデジカメよりも優れている。

 デジタル一眼レフのこうした特徴は、初心者向け機種でも十分実感できる。「コンパクトデジカメよりも、もっと表現力豊かな写真が撮りたい」「レンズの描写力を生かして、さまざまな写真撮影にチャレンジしてみたい」「子どもやペットなどの一瞬の仕種や表情を逃さず写し撮りたい」と思っているのであれば、デジタル一眼レフの購入は検討に値するだろう。

レンズかボディか、「手ブレ補正」に2つの方式

 デジタル一眼レフには、コンパクトデジカメで人気の「顔認識」機能は備えていない。しかし、「手ブレ補正」機能は、初心者向け機種を中心にデジタル一眼レフでも採用が進んでいる。その「手ブレ補正」には2種類の方式がある。手ブレ補正の仕組みをカメラのボディに内蔵し、レンズを選ばず機能が使える機種と、レンズに手ブレ補正機能を搭載する機種があり、メーカーによって異なっている。

 デジタル一眼レフの2大メーカーであるキヤノンとニコンは、レンズで手ブレ補正を行う方式を採用。レンズに最適な手ブレ補正の機構を組み込めるため、画質を損なわずに効果の高い補正が行えるとしている。ただし、その分レンズが大きくて重く、価格も高くなる傾向がある。

 一方、ペンタックスやソニーなどは、カメラボディに手ブレ補正機能を内蔵するメーカー。ボディ内蔵の手ブレ補正はレンズを選ばずに機能が働くのは便利だが、一般に撮像素子を高速で動かして手ブレを補正する構造のため、どうしてもボディが大きくなると同時に厚さも増し、重くなってしまう。

初めてのデジタル一眼レフなら「レンズキット」がベスト

 コンパクトデジカメと違って、デジタル一眼レフはレンズがないと撮影はできない。初めてデジタル一眼レフを手にする人であれば、交換レンズを持っていない人がほとんどだろう。そこでメーカー各社は、初心者向け機種ではカメラ本体と交換レンズをセットにした「レンズキット」というパッケージを販売している。もし、デジタル一眼レフを初めて買うのなら、この「レンズキット」を購入するのが間違いなくおトクだ。

 「レンズキット」ではほとんどのメーカーが、交換レンズに35ミリフィルムカメラ換算で焦点距離28-75mm相当前後の「標準ズーム」といわれるズームレンズをセットにしている。初心者なら、この「標準ズーム」が1本あれば、撮影で困ることはほとんどないだろう。

 レンズキットには「標準ズーム」と、35ミリフィルムカメラ換算で焦点距離が80-200mm相当前後の「望遠ズーム」をセットにした、「ダブルズームキット」もある。「望遠ズーム」は「標準ズーム」よりも遠い距離から撮影できるため、「運動会で子どもを撮りたい」といった用途を考えているならば「ダブルズームキット」を買ったほうが良いだろう。交換レンズは後から別に購入しようとすると、どうしても出費がかさんでしまう。しかし、最初からレンズキットを購入しておけば、おカネをセーブできる。

おすすめの初心者向けデジタル一眼レフを一挙紹介!

 では、これまでの選択ポイントに沿って、各社の初心者向けおすすめ機種を6モデル紹介していこう。(本文中の画素数表記はすべて有効画素)

●ニコン「D40」

 「D40」は、実勢価格が6万円前後で、デジタル一眼レフの価格破壊を起こしたカメラとして大人気となった。画素数は610万と少々物足りないが、その分、画像処理技術が高く、高感度撮影で気になるノイズはトップクラスの少なさを誇る。



 AFの測距点が3点しかないうえ、AFが使えるレンズに制限があるが、「手軽にデジタル一眼レフを始めたい」という人には間違いなくおすすめの機種だ。ダブルズームキットに付属する望遠ズームレンズ「AF-S DX VR ズームニッコール ED 55-200mm F4-5.6G(IF)」は手ブレ補正機能を搭載している。

●ニコン「D40X」

 「D40」の兄弟機で、画素数を1020万画素に向上させたほか、シャッターのメカニズムなどは同社の中級機の一眼デジカメ並みに高めた。そのため、「D40」よりも価格は高めだ。



 「D40」と同様に高感度撮影時のノイズが少なく、本体サイズも同じ。「撮った写真を大きくプリントしたい」「写真は高精細なほうが好み」という人向けの機種だ。ダブルズームキットには手ブレ補正を搭載した望遠ズームレンズ「AF-S DX VR ズームニッコール ED 55-200mm F4-5.6G(IF)」が付属する。

●ペンタックス「K100D Super」

 画素数は610万だが、11点のAF測距点を備え、CCDシフト方式手ブレ補正機能をカメラ本体に内蔵する。手ブレ補正のシステムを利用し、CCDに付いたゴミやホコリをふるい落とし、撮影画像へのゴミの写り込みを防ぐ「ダストリムーバル」機能を搭載している点も特徴だ。デジタル一眼レフは、レンズ交換時にゴミやホコリがカメラ内部に侵入して、撮像素子に付着する恐れがある。こうしたゴミ処理機構を備えていれば、その点も安心だ。




●オリンパス「E-410」

 オリンパスによれば現在、世界最小・最薄・最軽量のデジタル一眼レフカメラ。デジタル一眼レフ特有のグリップ部の出っ張りがなく、昔のマニュアル式一眼レフカメラのようなフラットなボディーデザインが、どこかレトロな印象を醸し出している。



 グリップ部はないが意外と指がかりはよく、カメラをしっかり持つことができる。画素数は1000万で、搭載するゴミ対策機能「ダストリダクションシステム」は、初心者向け気機種のなかではゴミ取り性能がもっとも高いと評判だ。

 デジタル一眼レフは一般的にファインダーを覗きながらシャッターを切るが、「E-410」はコンパクトデジカメと同じように、背面の液晶モニターを見ながら撮影できる「ライブビュー」機能を装備している。この機能はコンパクトデジカメからの乗り換えユーザーには、使いやすいだろう。

●ソニー「α100」

 コニカミノルタのカメラ事業を引き継いだソニーが、去年夏にデジタル一眼レフ市場に初参入した機種として話題となったのが「α100」。画素数は1020万で、ボディ内手ブレ補正を装備。ゴミやホコリをふるい落とす「アンチダスト」機能も搭載している。



 ソニーの純正レンズに加え、旧ミノルタ、コニカミノルタのレンズも装着して使えるのが強みだ。ただ、発売から1年が経過しており、他社が新製品を投入してきたことから目新しさは少々薄れてきている。

●キヤノン「EOS Kiss デジタルX」

 06年9月の発売以来、常にトップクラスのシェアを維持しているデジタル一眼レフカメラ。1010万画素で高性能画像処理回路「DIGIC II」による高画質で自然な色の再現力は人気が高い。その画質の良さが多くの初心者を引きつけ、デジタル一眼レフブームの火付け役ともなった。



 同社の中級機のデジタル一眼レフと同じ高精度・高速な9点測距のAFを採用。運動会などで、子どもに素早くピントを合わせて撮影できる。動きの速い被写体の撮影に群を抜いて強い点も人気の理由。「EOSインテグレイテッドクリーニングシステム」による、総合的なゴミ・ホコリ対策が施されている。

 デジタル一眼レフは初心者向けでも、どの機種もプロが認めるだけの性能を備えている。だから、使ってみるとコンパクトデジカメとは違った新しい写真の世界が実感できるはずだ。今回、記事とは別に今回取り上げたデジタル一眼レフについて「重さ」や「価格」「画画素数」などについてもまとめたので、ぜひとも購入の参考にしてもらいたい。

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デジタル一眼! こだわりの徹底検証


 ここでは今回取り上げた初心者向けのデジタル一眼レフ6機種を、重さや機能など、いくつかの項目で比較してみた。デジタル一眼レフカメラの購入を考えている人には自分にあった製品選びのポイントとして大いに活用していただければと思う。

■「重さ」で比べてみた!

 初心者向けデジタル一眼レフでは重さは重要なポイントだ。カメラ本体が軽ければ長時間撮影していても疲れない。一番軽い機種はどれだ?




■「価格」で比べてみた!

 初心者が購入するという前提で、ここでは「レンズキット」について、「BCNランキング」の市場推定価格で比べてみた。一番安く手に購入できる機種はどれ?



■「画素数」で比べてみた!

 高画素だからきれいな写真が撮れて、画素数が少ないと画質も落ちるということでは決してないが、細かな描写や大きくプリントするにはやっぱり画素が多いほうがいい。では、初心者向けデジタル一眼レフで画素が一番大きいのはどの機種?




■「AF測距点の数」で比べてみた!

 オートフォーカス(AF)の測距点が中央1点だけでなく複数あると、より自由な構図で、狙った位置でのピント合わせが容易にできる。動きのある被写体を追いかけながらピントを合わせる場合でも、測距点は多いほうが便利だ。AF測距点が一番多いのはどのカメラ?




■「ゴミ取り機能」で分けてみた!

 メーカーによって呼び方は違うが、レンズ交換時などにCCDなどの撮像素子表面にゴミやホコリが付着しないように、撮像素子を高速で動かして、ゴミやホコリをふるい落とす仕組みが「ゴミ取り機能」。この機能を搭載している機種、していない機種はどれ?




■「手ブレ補正機能の方式」で分けてみた!

 デジタル一眼レフの手ブレ補正は、カメラ内の撮像素子を動かして手ブレを打ち消す方式とレンズが動いて手ブレを補正するレンズシフト方式に分かれる。初心者向けのデジタル一眼ではどの機種がどの方式を採用している?