日本レコード協会ほか、SPレコード音源をデジタル化して保存する協議会

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2007/04/27 21:14

 日本レコード協会など6団体は4月27日、SPレコードの劣化、散逸などによる音源の消失防止を目的に、SPレコードの音源をデジタル化して保存する協議会「歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC=Historical Records Archive Promotion Conference)」を設立したと発表した。

 日本レコード協会など6団体は4月27日、SPレコードの劣化、散逸などによる音源の消失防止を目的に、SPレコードの音源をデジタル化して保存する協議会「歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC=Historical Records Archive Promotion Conference)」を設立したと発表した。

 協議会は参加団体の放送局やレコード会社が保管するSPレコードや原盤をデジタル化して、保存・管理する。日本レコード協会のほか、日本放送協会(NHK)、日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)、日本伝統文化振興財団、映像産業振興機構(VIPO)が参加する。

 運営資金は、文化庁など関連省庁に助成金を申請。営利行為は行わない方針。また、アーカイブに関する収録技術・音声フォーマットなどを検討する「技術検討部会」と、運用のルール策定などを検討する「運用検討部会」も設ける。

 協議会では事前の調査で、SPレコード、原盤をあわせ、1900年初頭-1950年頃までに国内で販売された約7万曲の音源があると推定。当初は、その中の1000曲の音源を提供してもらいデジタル化し保存する計画。

 音源には1943年に録音された東条英機内閣総理大臣の大東亜共同宣言や、1947年に録音された古関裕而氏作曲、菊田一夫氏作詞の放送劇「鐘の鳴る丘(第1編)」などが含まれる。保存したデータはアーカイブとして広く一般に公開する。それ以外の具体的な活用については今後検討するとしている。

 今後の取り組みとしては、07年度は調査研究を実施し、08年度はアーカイブ作業を開始して、一般公開・利活用に向けた準備を行う。10年度は保存したデータについて商用、学術、研究機関での具体的な利用方法について検討する。11年度には、データの利用で必要となる組織の運営を始める予定。

 SPレコードは、明治時代から1960年代頃まで生産されていた78回転のレコードで、歴史・文化的に価値がある音楽、講演、朗読が多く記録されている。しかし、現在は散逸、消失したり、劣化が進んでいるため、新たな保存方法が求められていた。

 記者発表会の挨拶では、日本レコード協会の佐藤修会長は「(活字や映像については)国立国会図書館や東京国立近代美術館フィルムセンターはあるが、音に関してはこうした施設が日本にはまだなかった」と設立の狙いを話した。一方、日本伝統文化振興財団の藤本草理事長は「古い音楽(SPレコードの音源)は経済的効果が低いので埋もれたままになっているが、(デジタル化することで)海外にも伝えていくことができる」と抱負を述べた。