Vista商戦開戦2日、売れ筋PCはデスクトップで富士通、ノートでNECとソニー

特集

2007/02/02 18:05

 新OS「Windows Vista」が1月30日に発売されると同時に、パソコン各社も搭載モデルを一斉に発売した。Vistaを起爆剤に、06年は不調だったパソコン市場が復活するかどうかに注目が集まるなか、発売直後の人気モデルも気になるところ。そこで、1月30日と31日の「BCNランキング」を使って、Vista商戦が立ち上がった2日間の売れ筋動向を速報する。<br />


 新OS「Windows Vista」が1月30日に発売されると同時に、パソコン各社も搭載モデルを一斉に発売した。Vistaを起爆剤に、06年は不調だったパソコン市場が復活するかどうかに注目が集まるなか、発売直後の人気モデルも気になるところ。そこで、1月30日と31日の「BCNランキング」を使って、Vista商戦が立ち上がった2日間の売れ筋動向を速報する。


 デスクトップとノートを合わせたパソコン全体で発売直後の2日間の動向を見ると、Vista搭載パソコンの販売台数シェアはすでに45.6%。市場のほぼ半分が新OSに切り替わった。量販店では「『Vistaしかない』と待っていた人が平日にもかかわらず大勢パソコンを買いに来ている」(ビックカメラ)、「夕方以降、閉店まで、ビジネスマンを中心とした人たちが購入に訪れ、予想以上の売れ行き」(エディオン)だという。


 一方、前OSのWindows XP搭載モデルは50%。デスクトップとノートを合わせたパソコンの販売台数シェア1位も3.48%で東芝のWindows XP搭載ノートPC「PAAX940LS」だった。Vista発売で価格が下がり、実勢価格は10万円前後。安さが人気を集めたようだ。こうした、値下がりしたXPモデルが上位を占める場面はしばらく続きそうだが、徐々にVistaモデルに切り替わっていくものと思われる。

●売れ筋は、デスクトップで富士通、ノートではNECとソニー

 それでは、発売直後の2日間でのVista搭載パソコンに絞った売れ筋をチェックしてみよう。まずはデスクトップPCから。



 それでは、発売直後の2日間でのVista搭載パソコンに絞った売れ筋をチェックしてみよう。まずはデスクトップPCから。1位はシェア11.3%で富士通の液晶ディスプレイ一体型の「FMVLX50UD」。Windows Vistaの「Home Premium」エディションを搭載する。地上デジタルチューナーを内蔵。ディスプレイは17インチ液晶。CPUはPentium4 531(3GHz)、HDDは400GB、メモリは1GB。実勢価格は22万円台前半。富士通は「FMV-DESKPOWER」シリーズの4機種がトップ5に入り、ランキングを独占した。

 富士通以外で唯一ランキング入りしたのが、3位のNECの「VS300/HG」で販売台数シェア9.4%。エディションは「Home Premium」。17インチのスーパーシャインビューEX液晶ディスプレイの一体型モデルで、TVチューナーは搭載しない。CPUはCeleronM 420(1.60GHz)、HDDは250GB、メモリは1GB。実勢価格は18万円台後半だ。

 デスクトップのメーカー別販売台数シェアは、富士通が45.4%でトップ、NECが36%で2位、3位は5.4%でSOTECだった。

 ノートPCでは、トップはNECの「LL550/HG」で、9.7%のシェアを獲得した。実勢価格は15万台半ば。



 「LL550/HG」はNECがベーシックタイプと位置付けるモデルで、OSは「Home Premium」を搭載。CPUはAMDの「Sempron 3200+(1.60GHz)」、100GBのHDD、1GBのメモリを備える。ディスプレイは15.4型のワイドスーパーシャインビュー液晶で、TVチューナーは非搭載。2位もNECの「LL750/HG」でシェアは8.2%だった。

 富士通は、「FMVNF40U」がシェア6.8%で3位に、「FMVNF50U」が6.2%で5位にランクインした。「FMVNF40U」は、「Home Basic」エディション。CPUにはCeleronM 410(1.46GHz)、80GBのHDD、512MBのメモリを搭載する。ディスプレイは15.4型ワイドスーパーファイン液晶。実勢価格は約14万円。「FMVNF50U」は「Home Premium」エディション。HDDは100GBで、メモリは1GB。CPUやディスプレイは「40U」と同じだ。実勢価格は約16万円台半ば。

 4位でシェア6.6%のソニー「VGN-N50HB」は基本機能を重視した機種で「Home Basic」エディション。15.4インチのワイドWXGA液晶をディスプレイに搭載する。CPUはCeleronM 430(1.73GHz)、HDDは80GB、メモリが512MB。非接触IC「FeliCa(フェリカ)」対応のリーダー/ライターも装備する。実勢価格は約12万円台後半。

 ノートのメーカー別販売台数シェアではトップがソニーで28.8%、2位がNECで23.4%、3位は富士通で23.2%と混戦だ。

●搭載エディションは6割が「Home Premium」

 ここでパソコンに搭載されたVistaのエディション別シェアを見てみよう。デスクトップとノートを合わせた全体で「Home Premium」が60%で、次に「Home Basic」が36.7%、3番目が「Business」で3.3%だった。


 「Home Premium」が6割を占めた背景にあるのは、半透明のウィンドウ表示が使える「Windows Aero(エアロ)」、ウィンドウが3Dで立体的に表示される「フリップ3D」といったVistaの特徴的な機能を利用したいユーザーが多いということだろう。一方、「Home Basic」搭載機は「なるべくリーズナブルにVistaパソコンを購入したい人」(ビックカメラ)が選んでいるようだ。

 デスクトップとノートで販売動向を比較すると、売れているのは圧倒的にノート。2日間の販売台数シェアはノートPCが76.1%、デスクトップPCは23.9%だった。ノートPCは店頭で「全メーカーを通してホワイトカラーが人気」(同)。また、「最初にカラーなどデザインで選び、次にどのエディションのVistaにするか決める」(同)といった買い方をする人が多いという。

 3-4月の需要期に向け、徐々にVista搭載パソコンのラインアップが充実してくるのはこれから。Vista効果がどの程度パソコン市場に影響を与えるのか、どのメーカーのどんな機種が人気を獲得するのか、まもなく始まる春商戦が最初のポイントになりそうだ。(WebBCNランキング編集部・米山淳)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。