「撮るのはいいけど、その後が面倒で……」そう感じているデジカメユーザーは少なくないだろう。L判程度に印刷して友達に渡すだけなのに、パソコン立ち上げて大きなプリンタをつないで、というのはいかにも面倒。そんなとき、持ち運べて単体でも印刷できる小型フォトプリンタが便利だ。年賀状印刷もバッチリこなしてくれるモデルも人気を集めている。そこで、カンタン手軽に写真印刷ができる小型フォトプリンタの売れ筋を「BCNランキング」でチェックしてみた。

 「撮るのはいいけど、その後が面倒で……」そう感じているデジカメユーザーは少なくないだろう。L判程度に印刷して友達に渡すだけなのに、パソコン立ち上げて大きなプリンタをつないで、というのはいかにも面倒。そんなとき、持ち運べて単体でも印刷できる小型フォトプリンタが便利だ。年賀状印刷もバッチリこなしてくれるモデルも人気を集めている。そこで、カンタン手軽に写真印刷ができる小型フォトプリンタの売れ筋を「BCNランキング」でチェックしてみた。

●手軽でカンタン! それがフォトプリンタの魅力

 小型フォトプリンタとは、デジカメや携帯電話で撮った写真をサービスサイズやはがきサイズにプリントするのに特化したプリンタのこと。最近では年賀状などの印刷もこなすモデルもある。印刷方式はインクジェットかサーマルのいずれかで、最大用紙サイズがL判、2L判、はがき・A6サイズまでのものを指す。

 小型で場所をとらず、PCレスで印刷できる機種がほとんど。小さなサイズの写真印刷しかしないというユーザーや、A4用紙対応のプリンタを持っているけれど、いちいちPCを立ち上げるのが面倒くさい、と考えているユーザーが重宝に使っているようだ。

 なかには携帯電話の赤外線通信(IrDA)を使って、ワイヤレスで写真データを受信、印刷できるプリンタもある。また、このところ小型液晶モニタを搭載したモデルが主流になってきた。メモリカードに保存してある写真を、モニタを見て確認しながら印刷できるのは便利だ。

●売れ筋トップはカシオのキーボード内蔵タイプ


 それでは11月第4週(11月20日-11月26日)の機種別ランキングを見ていこう。1位はカシオの「PCP-120」で、販売台数シェアは36.8%。プリンタ市場全体ではキヤノンとエプソンが激しくトップシェア争いを繰り広げているが、このカテゴリーでは少々様子が異なるようだ。


 やや大きめのきょう体を採用し、キーボードがついているのが最大の特徴。写真に旅の思い出などのコメントを入れたり、はがきのデザイン面印刷の場合は、文章を入力することができる。また官製はがき、年賀はがきの宛名印刷ができる「宛名印刷」機能も搭載。住所や氏名を入力するだけではなく、約460件の住所録を本体に記録することもできる。「宛名自動レイアウト」機能も搭載しており、宛名や差出人の住所、氏名、郵便番号などを自動的にレイアウトしてくれる。年賀状目当てのユーザーもしっかり取り込める仕様だ。

 また3.6型の大型モニタを装備しているため、写真だけではなく、宛名の印刷デザインを確認することができる。カシオでは「PCを使った年賀はがき作りが難しいと感じる年配者や、そこまでデザインに凝っていないユーザーなどが購入しているようだ。またキーボードはPCとは違い、50音順の並びになっているため、PCが苦手の人には使いやすいかも」(広報)と人気の秘密を分析する。

●カシオに続くエプソン、キヤノン。キレイさも追求

 2位はエプソンの「E-500」で、台数シェアは16.5%。「E-500」は人物の顔を自動判別し、自動で色補正する画像補正機能「オートファイン!EX」を搭載している。逆光などで暗くなってしまった人物の顔を自動で判別、補正したり、室内で起こりがちな色かぶりや露光の調整ミスによる明るすぎ、暗すぎなどもプリンタが自動で判別、補正することができる。

 またディズニーキャラクターなどの可愛いフレームを18種類収録しており、PCレスでフレームつき写真を印刷することができる。またこのフレームは同社のホームページからダウンロードすることができ、PCを使ってダウンロードした画像をメモリカードに入れて、内蔵フレームと入れ替えることができる。このほか、CD・DVDドライブを搭載しているので、CDやDVDに書き込んだ写真をプリントすることもできる。

 キヤノンの「CP720」は台数シェア10.5%で3位にランクイン。コントラストや色の濃さに強弱をつけることができる「くっきりカラー」「すっきりカラー」機能を搭載し、写真全体を鮮やで諧調豊かに印刷できる。またセピアや白黒など、イメージにあわせて色をアレンジすることも可能。印刷方式にサーマル方式の1つの昇華型熱転写方式を採用しており、インクの粒状感がなく、滑らかな写真を仕上げることができる。しかし、サーマル方式は変色や退色しやすいという欠点がある。それを補うためキヤノンは、着色後、特殊なフィルム処理を施すことで水や汚れ、光などから写真を守り、「約100年の長期保存を可能」(キヤノン・広報)にした。

●3社でシェアを分け合う独特の構図

 ここで、11月第4週時点でのメーカーシェアを見てみよう。まず、インクジェットプリンタ、ドットプリンタ、サーマルプリンタ、ページプリンタを合算したプリンタ市場全体を見ると、キヤノンとエプソンが市場を二分。キヤノンの45.7%に対しエプソン44.7%と2社で9割を超えるシェアを占めている。続くカシオは3.0%、ブラザーは2.6%。プリンタ市場はまさにキヤノンとエプソンの二人舞台だ。


 それでは小型フォトプリンタに限るとどうだろう。プリンタ全体から見ると販売台数で8.2%と1割に満たない市場だが、メーカーの勢力図はかなり変化する。36.6%でトップに位置するのはカシオ。エプソンはシェア29.8%で2位、キヤノンは29.2%とわずかな差で3位だった。メーカー別シェアを円グラフにしてみるとこの3社がきれいに市場を3分割している状況がよく分かる。他のプリンタとは明らかにユーザー層が異なることもあって、こうした勢力図になっているようだ。


●インクジェットとサーマル、どっちがお得?

 小型のプリンタといえども、写真を美しく印刷する最新技術が惜しみなく投入されている。それは本体だけでなく、インクやインクカートリッジなどにもおよんでいるため、消耗品の価格は高くなりがち。実際インク代などのいわゆる「ランニングコスト」がどれくらいなのかは気になるところ。そこで上位10機種のL判写真1枚あたりのインク代、用紙代を調べてみた。ランニングコストはメーカーが公称しているもののみ記載した。


 ランニングコストの最安値はエプソンの「E-500/700」で、L判1枚あたりのコストは16.2円だった。最高値はキヤノンの「CP720/730」「ES1」で、コストは26.3円と、なんと10円も違った。たかが10円、と思うかもしれないが、1000枚印刷すれば1万円の違いになる。そもそも、どうしてここまでコストに差が出るのだろうか。

 一番大きな理由は印刷方式の違いだ。キヤノンの「CP720/730」「ES1」の印刷方式はサーマル方式。熱したインクリボンを紙に押し付けることで印刷する。最近は固形インクを塗布したインクリボンに印字ヘッドで熱を加えてインクを昇華させ、気化したインクを紙に定着させる昇華型熱転写方式が主流だ。

 インクの粒子を吹き付けるインクジェットとは違い、気化したインクで塗り重ねるため、画素自体の諧調表現が滑らかで、ドット(点)が目立たず、銀塩写真に近いクオリティの写真が出来上がるというメリットがある。デメリットはランニングコストの高さだ。しかし製品自体の価格は安めで、11月第4週(11月20日-11月26日)のサーマル方式プリンタの平均価格は1万5000円台だった。

 これに対して、残り7機種はすべてインクジェット方式。液体のインクを小さい穴が開いたノズルから吹き出して紙に定着させるタイプで、サーマル方式に比べてインクの無駄が少ない。家庭用のA4対応プリンタなどに多く使われている。ランニングコストは16-20円前後と安めだ。しかしインクジェットプリンタの平均価格は2万6000円台とサーマル方式よりも1万円以上高かった。

 年間数10枚程度印刷しないような場合と、定期的に大量に印刷するような場合では、当然選ぶ機種も違ってくる。使い方に応じた機種選びが必要だ。ポイントはやはりランニングコスト。プリンタを選ぶ際には、本体価格に加えて消耗品の金額を計算し、年間を通じてどれくらいのお金がかかるかも意識しておきたい。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。

*お詫びと修正*
初出時、カシオの「PCP-120」の写真が、同社の別製品「PCP-30」となっておりました。訂正してお詫びいたします。(2006/12/07)