JEITA、ソニー製バッテリー問題で特別委員会、ガイドラインの規格化も視野

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2006/10/26 20:23

 電子情報技術産業協会(JEITA)は10月26日、発火事故を起こしたソニーのノートPC用リチウムイオンバッテリー問題を受けて、「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」を設置、活動を開始したと発表した。

 電子情報技術産業協会(JEITA)は10月26日、発火事故を起こしたソニーのノートPC用リチウムイオンバッテリー問題を受けて、「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」を設置、活動を開始したと発表した。

 特別委員会は、ユーザーの不安を取り除くと同時に、リチウムイオンバッテリーを搭載したノートPCの安全性向上を目的に設立。電池メーカーの業界団体、電池工業会とも連携して情報を収集する。委員長には、パーソナルコンピュータ事業委員会で委員長を務める富士通の山本正己氏が就任した。設置期間は06年10月-07年3月まで。

 活動の柱は「ユーザーのリチウムイオンバッテリーに対する正しい理解のための情報発信」と「ノートPCでのリチウムイオンバッテリーの安全な利用についての技術検討」の2つ。

 正しい理解のための情報発信では、リチウムイオンバッテリーの取り扱い方法や使用方法、注意事項などをまとめ、11月中旬をめどにJEITAや加盟するメーカーのホームページなどを使ってユーザーに周知するほか、カタログやマニュアルにも反映させる。

 一方、技術検討ではそれぞれの団体に加盟するパソコンメーカー、電池メーカーが技術仕様を持ち寄り、リチウムイオンバッテリーとノートPC本体の設計・評価について業界としてのガイドライン(指針)を策定。「充電方式」「リチウムイオンバッテリーのセル間バランスを保つための設計方式」などの項目を中心に検討する。

 JEITAではガイドラインを経済産業省にも提出、規格化にまで持っていきたい考え。規格の策定には数年を要するため、委員会解散後はJEITA内の「標準化総合委員会」などが検討した内容を引き継ぎつぐ。

 なお、バッテリー自体の不具合の原因追求、一部パソコンメーカーとソニーの間で食い違っている発火原因に対する主張の調停や、リコールでの訴訟問題などの個別案件については扱わない方針。

 記者会見で山本正己パーソナルコンピュータ事業委員会委員長は、「委員会はソニーの問題がトリガーとなって設立したが、今後のリチウムイオンバッテリーのガイドライン作りが目的で、ソニーとメーカーの原因追及の場ではない。しかし、それぞれのメーカーが持つ情報はなるべく(委員会に)反映したい」と述べた。

 また、ガイドラインが規格化された場合のメーカーへの強制力について、幹事長を務めるNECの沢野明郎氏は「メーカーに強要するまでの力を持つことは難しいのではないか」との見方を示した。