1人で複数のPCを使うのも、最近では珍しくなくなってきた。しかし、PC台数分のモニタやキーボード、マウスで机の大半が占拠され、卓上に「小さな危機」を迎えることも多い。そこでオススメしたいのが「KVM切替器」。「BCNランキング」で売れ筋やメーカー動向などをチェックし、主流になっている機能などもまとめてみた。

 1人で複数のPCを使うのも、最近では珍しくなくなってきた。しかし、PC台数分のモニタやキーボード、マウスで机の大半が占拠され、卓上に「小さな危機」を迎えることも多い。そこでオススメしたいのが「KVM切替器」。「BCNランキング」で売れ筋やメーカー動向などをチェックし、主流になっている機能などもまとめてみた。

●売れ筋のポイントは「コンパクト」&「カンタン接続」

 KVMは「Keyboard、Video、Mouse」の略。つまり「KVM切替器」とは、複数台のPCを1組のキーボード、ディスプレイ、マウスで使うための切替器のことだ。いくら複数のPCを使うといっても、1度に操作できるのは1台だけ。それなら、1組の「KVM」を切り替えればいいだろう、ということで、KVM切替器の出番となる。



 まず「BCNランキング」06年6月のデータで売れ筋上位機種を見てみよう。販売台数シェア8.3%で1位を獲得したのは、コレガの「CG-PC2KVMS」。2台のPC接続に対応したタイプで、実勢価格は3000円前後と手頃。ノートPCに接続しても気にならない程度のコンパクトな製品だ。配線を1本にまとめることで、ケーブルが絡みにくくする工夫を施した。ソフトウェアを必要とせずに接続でき、きょう体に搭載したLEDでPCの接続状況を一目で確認できるのも特徴だ。発売は04年10月だから、かなりのロングセラー製品といっていいだろう。

 続いてシェア5.5%で2位につけたのがサンワサプライの「SW-KVM2CP」。最大解像度2304×1440ドットまで対応できるため、大画面モニタを使用しているユーザーでも安心して使える。「Ctrl」キーを2度押しするだけで切り替えが可能なホットキー機能に加え、PCの再起動などもキーボードから行える点も人気の理由だろう。05年は「CG-PC2KVMS」を上回っていたが年末から形勢が逆転した。

 3位はラトックシステムの「REX-210C」で5.2%。配線ミスを防ぐために色分けされた接続ケーブルを採用したことに加え、それぞれのPCの稼動状況を自動的にスキャンするオートスキャン機能を搭載する。

 ここで登場する3機種に共通するのは、すべて接続可能なPC台数が2台タイプの製品であるということ。実は機種別販売台数ランキングを見ると13位までが、すべて2台接続タイプ。今のところPCを3台・4台と切り替えて使うニーズは少ないようだ。また、ランキング上位機種に共通するその他の特徴としては、サイズがコンパクトで、配線がスッキリとしていることも挙げられる。

 卓上のスペースを確保したいのに、KVM切替器を導入したことでかえって机の上がゴチャつく、といった状況はまさに本末転倒。コンパクトでスッキリと配線できる製品を選ぶユーザーの気持ちは理解できる。また、キーボード上から切り替えが行える点や、電源やドライバーが不要で接続するだけですぐに使えるという親切な設計も人気の理由。買ったその日に手間をかけずに使える製品が、ユーザーの支持を集めているようだ。

●トップシェアはコレガだが、上位集団3社で三つ巴の状態

 続いてメーカー別で見てみよう。6月の販売台数シェア24.8%でトップの座についているのはコレガ。機種別ランキング1位の「CG-PC2KVMS」を擁するほか、「CG-PC2KVMAS」が5位にランクインするなど、上位20位以内に5機種をランクインさせ、安定した販売台数を稼ぎ出している。



 それに続く2位は、シェア21.3%のラトックシステム。機種別ランキング3位の「REX-210C」をはじめとして、ランキング9位の「REX-220CXA」、10位の「REX-220CX」の3機種がトップ10にランクイン。トップ20位まででは5台もランクインさせている。コレガとは熾烈な争いを繰り広げており、05年11月には一時コレガを逆転。しかし天下は1か月限りで、以降2位・3位の座に甘んじている。

 3位につけるのは機種別ランキング2位の「SW-KVM2CP」や4位の「SW-KVM2AUU」、6位の「SW-KVM2CPA」をランクインさせたサンワサプライで、シェア20.4%。昨年は15%弱で推移していたシェアを、今年に入って一気に拡大させている。3月・4月にはラトックシステムの落ち込みを突いて2位に浮上。6月にはシェア20%台に突入し、追い上げも急だ。再び2位奪還も見えてきた。

 4位以下には多彩な周辺機器をリリースしているエレコム、5位にナカガワメタル、6位にはバッファローがランクインしている。特にこの中で動きが顕著なのが、バッファロー。2月に発売した新製品「BKVM-P201」「BKVM-P2A01」が好調で販売台数シェアは6.7%。このところしばらく足踏み状態が続いているが、第2グループの4、5、6位の各社は接近しており、状況によっては上位グループを狙える4位にジャンプアップする可能性もありそうだ。

●家電化が進むPC 今後は意外なところで活躍も?

 一昔前のKVM切替器には、モニタ、キーボード、マウスをスイッチでただ単純に切り替えるタイプも存在していた。こういった製品の場合、キーボードが一時的に切り離された方のPCがエラーを起こしてしまったり、画面が極端に汚くなったりと、トラブルも多かった。

 ただし、このランキングに登場する現在の機種に関してはご安心を。すべての機種に名称は異なるものの、使用していないパソコン側にもモニタなどが接続されている旨の信号を自動的に送り続けてくれる機能が搭載されているため、不具合が生じることはほとんどないだろう。

 これからますます進むPCの家電化。テレビと接続したPCでDVDを再生しながら、別のPCでインターネットを楽しむ……そんな使い方をするユーザーも増殖中だ。高価なPC1台で何でも処理してしまう時代から、安価なPCを複数台使い分けて快適に使いこなす、というスタイルも、今よりさらに広がりそう。PCに負担をかけずに、軽快な動作を実現する複数台PCの利用環境。それをサポートするKVM切替器が必需品になるのも、そう遠い将来でもなさそうだ。(フリーライター・古作光徳)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。