しばらく激しい価格競争の真っ只中にいた17型の液晶ディスプレイだが、このところ価格の下落はやや沈静化。代わって戦いの主役になりつつあるのが19型だ。価格が大きく下落し始めた一方で、販売台数シェアを伸ばし始めている。ここにきて机の上のディスプレイの世界にも大型化と低価格化の波が押し寄せてきたようだ。「BCNランキング」で液晶ディスプレイの動向を探った。

 しばらく激しい価格競争の真っ只中にいた17型の液晶ディスプレイだが、このところ価格の下落はやや沈静化。代わって戦いの主役になりつつあるのが19型だ。価格が大きく下落し始めた一方で、販売台数シェアを伸ばし始めている。ここにきて机の上のディスプレイの世界にも大型化と低価格化の波が押し寄せてきたようだ。「BCNランキング」で液晶ディスプレイの動向を探った。

●依然主流は17型だが、主戦場は19型にシフト

 現在、液晶ディスプレイの主流は依然17型。「BCNランキング」06年5月現在でワイドタイプも含めた17型台の販売台数シェアは59.5%。ほぼ6割が17型のディスプレイだ。主流の大きさだけに価格の下落も続いており、税抜きの平均単価推移をみると、05年6月で3万円前後だったものが、1年後の06年5月で2万円台後半に下がっている。しかし、一頃より下落率は緩やかになってきた。値下げ競争は次のステージを迎えつつある。


 それが19型だ。ワイドサイズも含めた19型液晶ディスプレイの税抜き平均単価は、05年6月では5万円前後と高かったが、06年5月には4万円前後にまで下がってきた。1年間の価格下落率は、17型の約2倍の14%に達する。すでに実売4万円を切る機種も登場しており、単純に価格だけ比較すれば17型よりも安い機種もあるほどだ。

 こうした値下がりに引きずられるように、19型の販売台数シェアは右肩上がり。05年6月は20.2%だったものが06年5月では29.7%と、ほぼ3割のレベルにまで上昇している。実際、最新の06年5月の「BCNランキング」液晶ディスプレイ機種別ランキングでは、上位20以内に19型が4機種ランクインしており、20位以下にも19型モデルがひしめき合う状況だ。

●テレビチューナー内蔵タイプが減少、薄型テレビに押され

 大きさ以外のトレンドもざっとみてみよう。最大のポイントともいえる解像度は、上位10モデルはすべて1280×1024(SXGA)。一昔前の液晶ディスプレイやノートPCで多い「1024×768」より一回り大きいサイズだ。またスピーカー内蔵タイプが半数以上を占めたのも目を引く。それぞれ本格的に音楽を楽しむといったものではない。警告音を鳴らしたり、ちょっとした確認のために音を鳴らすスピーカーへのニーズは高いようだ。

 インターフェイス面では、DVI-DやDVI-Iなどのデジタル端子が普及。アナログ/デジタル兼用も含め、デジタル端子搭載率は全体の60.6%を占めた。デジタル端子で接続すると、従来のアナログ接続に比べて信号の劣化が少なく、映像をきれいに表示することができることから、デジタル端子を選ぶユーザーが増えている。

 一方、テレビチューナーを搭載し、単体でテレビが見られる液晶ディスプレイは、上位10位以内に1機種もランクインしなかった。液晶ディスプレイ全体でのシェアも、05年6月の4.8%から3.3%にダウン。そもそも、テレビチューナーを搭載したパソコンがあれば、他にチューナーは必要ない。また、PC入力端子を装備し、PCモニタとしても使える液晶テレビが増え、パソコンを起動せずにテレビが見られる「テレビチューナー搭載のPCディスプレイ」のメリットもなくなってきた。液晶テレビやプラズマテレビといった薄型テレビが普及するにつれ、チューナーつきのディスプレイは徐々に減少していくものとみられる。

●強い三菱の17型に対し、2・3位はアナログ入力オンリーの安価モデル

 06年5月の液晶ディスプレイ機種別ランキング1位は、販売台数シェア4.5%で三菱電機の「RDT1712VM BK」が獲得。17型、SXGA、スピーカー内蔵のごくオーソドックスなモデルだ。動画視聴の目安となる応答速度は8msで、動きの速い映像にも対応する。デジタル入力(DVI-D)、アナログ入力(ミニD-SUB15ピン)の両方の入力端子を装備する。


 2位には、今年1月発売のコレガ「CG-L17ASBV2」がランクインした。17型、SXGA、スピーカー内蔵、応答速度8msなど基本的な仕様は1位の「RDT1712VM BK」ほぼ同じ。しかし、デジタル端子を装備していない分、数千円ほど価格が安いのが強み。シェアは3.0%だ。

 3位はバッファローの「FTD-G722AS2」で、シェアは2.9%と2位に0.1%で接近している。それもそのはず、デジタル端子非搭載である点を含め、2位の「CG-L17ASBV2」とほぼ同じ仕様。違いといえば、きょう体が白いことぐらいだ。ちなみに同機種のブラックモデルは12位。


 このほか、7位には1位の「RDT1712VM BK」の色違いモデルが、また10位には、トップ10中唯一の19型モデル、I・Oデータ機器「LCD-AD194VB」が入った。

●続く新旧メーカーの攻防

 この1年のメーカー別販売台数シェア推移もみておこう。年間を通じて強いのが三菱。常に20-30%のシェアを占め1位をキープしている。しかも今年に入って20以上の新モデルを発売。さらにシェアを伸ばし始めている。一方、2位のI・Oデータは三菱の伸びに加え、エイサーやバッファローの追い上げを受け、このところ伸び悩んでいる。


 攻防戦の激しい上位5社の中で、注目したいのはコレガ。同社は05年2月に液晶ディスプレイ市場に参入したばかりだが、05年夏以降徐々にシェアを伸ばし、今年4月にはメーカー別シェアで3位のポジションを獲得した。5月は日本エイサーとバッファローの猛追に阻まれランクインダウンしたものの、5位にとどまっている。新参のメーカーにもかかわらず善戦している背景には、同社のラインアップ戦略があるようだ。他社がさまざまなサイズの製品を投入するなか、コレガは売れ筋の17型と19型に集中。とくに17型では、アナログ入力のみの廉価モデルを用意して勝負を挑んだ。一方、これからさらなる伸びが期待できる19型では、アナログ・デジタル両対応のモデルを用意して、さらなるシェアアップを狙う。

 コレガの戦略にも表れているように、今後、液晶ディスプレイは、安価な17型と19型以上の高付加価値製品に二極化していきそうだ。トップシェアの三菱は、以前から人気の高いディスプレイの老舗。しかしこのところ上位5社以外にも、液晶ディスプレイには数多くのメーカーが参入している。老舗はその強さをどこまで維持できるのか? 一方新参メーカーはどこまでシェアを奪うことができるのか? 攻防はまだまだ続きそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。