「ゲーム」といえば、このところにぎやかなのはゲーム専用機。登場したばかりのマイクロソフト「Xbox 360」や11月に発売を控えたソニーの「プレイステーション3」など話題には事欠かない。しかしPCゲーム市場もこのところ勢いを増している。特に、多くのプレーヤーが同時に同じサーバに接続して遊ぶネットワーク対応型のロール・プレイング・ゲーム、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)の動きが目立つ。この勢いは店頭で販売されるパッケージソフトにも

 「ゲーム」といえば、このところにぎやかなのはゲーム専用機。登場したばかりのマイクロソフト「Xbox 360」や11月に発売を控えたソニーの「プレイステーション3」など話題には事欠かない。しかしPCゲーム市場もこのところ勢いを増している。特に、多くのプレーヤーが同時に同じサーバーに接続して遊ぶネットワーク対応型のロール・プレイング・ゲーム、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)の動きが目立つ。この勢いは店頭で販売されるパッケージソフトにも大きな影響を与えているようだ。そこで、「BCNランキング」でPCゲームソフトの現状をまとめてみた。

●浮き沈みが極めて激しいゲーム市場

 現在、PCゲーム市場は、160社以上のソフトハウスがひしめきあい、約1900タイトルが販売されている激戦区。こうした中、コーエー、ソースネクスト、メディアカイト、エレクトロニック・アーツといった4社ほどで上位を競り合っている状況だ。基本的には「目玉タイトル」がリリースされると、大きなマーケットシェアを獲得するが、ライバルが別の「目玉タイトル」をリリースするとシェアが急激に下がるという構図を繰り返している。順位の入れ替わりも激しい。


 例えば、05年9月にはエレクトロニック・アーツがMMORPGの「ウルティマオンライン 宝珠の守人」を市場に投入。メーカーシェア28.1%を獲得し、他3社を引き離すことに成功した。しかし翌10月には新作RPGを発売した日本ファルコムなどの攻勢を受け、かろうじてトップを維持するもののシェアは13.3%まで下落してしまった。

 さらに06年3月には、新作RPGを投入した日本ファルコムが19.7%と高いシェアでトップを獲得。同じくコーエーもシミュレーションゲーム「三國志11」をリリースし、メーカーシェア17.2%で2位となった。しかし翌4月には、スクウェア・エニックスが「ファイナルファンタジーXI」シリーズの新作をリリースした影響でコーエーは8.2%、日本ファルコムは3.3%まで大きくシェアを落とした。

 4月にスクウェア・エニックスが放った「刺客」は、「ファイナルファンタジーXI」の拡張版「アトルガンの秘宝」だった。スクウェア・エニックスはそれまでメーカーシェア10%以下のところで低空飛行を続けていたが、4月20日に「アトルガンの秘宝」をリリースし、月間のメーカーシェア37.9%と一気に他社を大きく引き離してトップに躍り出た。スクウェア・エニックスの4月のタイトル構成では85.5%が「アトルガンの秘宝」で、セット商品を加えると95.3%になる。しかも発売日は4月20日。わずか10日間でPCゲーム市場を制してしまったことになる。

●5月初旬を制したのは「FF XI」

 ここで直近の動きを見てみよう。「BCNランキング」の06年5月第1週(5月1日-5月7日)では、1位にはスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝 拡張データディスク」(販売本数シェア9.5%)が、2位には「ファイナルファンタジーXI オールインワンパック2006」(同4.2%)がランクインした。4月の爆発的な勢いは衰えてきたとはいえ、堂々のワンツーフィニッシュだ。


 「ファイナルファンタジーXI」はいわずと知れた「ドラゴンクエスト」と並ぶ2大RPGシリーズの1つ。しかも「ファイナルファンタジー」シリーズ初のMMORPG。プレーヤーは冒険者となりネットワーク上の世界「ヴァナ・ディール」で世界中からアクセスしている他のプレーヤーとともに冒険の旅に出る。また冒険の旅だけではなく、「ヴァナ・ディール」に設けたプレーヤーの居住をインテリアなどでコーディネイトしたり、鉱山の金鉱を掘り当てたりとさまざまな楽しみ方ができる。

 02年11月に発売した「ファイナルファンタジーXI」だが、その後「ヴァナ・ディール」上に新しいエリアやストーリー、プレーヤーの職業、アイテムなどを追加する拡張データディスクを2回発売してきた。1位の「ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝 拡張データディスク」は第3弾の拡張データデスク。また「オールインワンパック2006」は基本ソフト「ファイナルファンタジーXI」とこれまで発売してきた拡張データデスクをセットにしたもの。これから「ファイナルファンタジーXI」を始めたいユーザー向けのお買い得パックだ。

 3位はシミュレーションゲーム「三國志11」。販売本数シェア2.6%でランクインした。コーエーの人気ゲーム「三國志」シリーズの最新版で、プレーヤーが184年から225年に中国大陸に割拠した君主の1人となり、中国統一を目指す歴史シミュレーション。天下統一を目標に都市に設備を建設したり、武将などの人材を登用したりして戦いに備え、戦略・戦術を駆使して敵君主の支配地を攻め取って行く。ストーリーは史実に基づいた7本と仮想シナリオを加えた計8本。

 9位にランクインした「英雄伝説 空の軌跡SC(セカンドチャプター)限定特典版」(日本ファルコム)は上位20位中、唯一スタンドアロン型のRPG。販売本数シェアは1.0%。日本ファルコムの代表作「英雄伝説」シリーズの最新版である「空の軌跡」は「FC」(ファーストチャプター)「SC」の2部構成となっている。今回ランクインしたのは「英雄伝説VI 空の軌跡FC」の続編だ。なお「FC」「SC」をセットにした「英雄伝説 空の軌跡 完全版 FC%SC」は40位(販売本数シェア0.4%)にランクインしている。

 前作の最後に姿を消してしまった幼馴染のヨシュアを探しに、エステルが旅立つところから物語は始まる。続編ということで前作のキャラクターのレベルなどを引き継ぐことができる。また限定特典版として裏エピソードを盛り込んだドラマCD、フルカラーのフォトストーリーブックを同梱した。

●人気はネットワーク対応のMMORPG

 スクウェア・エニックスの、ひいては「ファイナルファンタジーXI」の人気の理由は何だろう? 従来のスタンドアロン型のRPGは、ゲーム世界に存在するプレーヤーは1人だけだが、MMORPGはオンライン上の専用サーバーに構築された「世界」に複数のプレーヤーが存在し、ゲームを進めて行く。人気のあるタイトルだと数千、数万のプレーヤーが同じ「世界」を共有することになる。さらにスタンドアロン型との大きな違いはゲーム中にプレーヤー同士のコミュニケーションが取れること。プレーヤー同士でグループを組み、冒険の旅に出ることもできるし、チャットや情報交換、果てはゲーム上のアイテムの交換、売買もできる。ゲームというよりむしろ「仮想コミュニティー」といったほうがいいかもしれない。

 MMORPGが広まったのは、02年に韓国産のオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」が日本に上陸し一大ブームを巻き起こしたのがきっかけ。ブロードバンド環境の定着とともに普及が進み、現在では上位にランクインしているRPGのほとんどがMMORPGだ。人気は高まる一方だが、「引きこもりの温床となる」と指摘されたり、韓国では長時間連続してプレイしたユーザーが死亡するなど、社会問題ともなっている。それだけ強烈な魅力を持つのがMMORPGということなのだろう。

●MMORPGを買うなら、利用料も計算に

 普通のゲームソフトならパッケージを購入した後はずっと無料で楽しむことができるが、MMORPGの場合はそうではない。各社さまざまな課金制度を採っているため一概にはいえないが、パッケージを購入し、さらに月額料金を支払うのが一般的だ。

 例えば「ファイナルファンタジーXI」はパッケージを購入した後も利用するキャラクター数によって月額料金が発生するシステム。料金はクレジットカードで決済したりコンビニエンスストアやPCショップなどで販売している前払い式のWebマネーで支払う。また韓国製のタイトルではゲーム中のアイテムを購入する際に料金が発生するものもある。

 一方、エヌ・シー・ジャパンの「ギルド ウォーズ Campaign2 戦乱の章」(第11位ランクイン 販売本数シェア1.0%)は「月額課金」と「パッケージ課金」の2種類の課金制。月額課金は、ゲームを無料でダウンロードし月額料金を支払って行く形式。しかし、有料のパッケージを購入してシリアルナンバーを登録すれば、追加料金は発生しないシステムだ。日本のMMORPGでパッケージ課金制を採っているタイトルは現在「ギルド ウォーズ」だけ。遊ぶ前には、こうした課金の仕組みはしっかり理解しておいたほうがいいだろう。

●次に「来る」タイトルは……

 ゴールデンウィークから5月初旬にかけては「ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝」ダントツの売上を記録した。しかしゲームソフトの常で、この勢いはいつまでも続くことはないだろう。直近では、5月26日に「信長の野望 蒼天録」のリリースが控えている。ソースネクストがコーエーの人気タイトルを発売するもので、価格はお約束の1980円。破格の安さに加え根強い人気を誇る「信長」シリーズとあって「下克上」も十分ありそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。