自宅で映画のDVDを大画面で鑑賞……それなら「話題の薄型大画面テレビが必要」と考える人は多いだろう。ところが別の選択肢もある。プロジェクターだ。価格もだいぶこなれてきて今がそろそろ買い時。そこで「BCNランキング」でプロジェクターの売れ筋動向をまとめた。

 自宅で映画のDVDを大画面で鑑賞……それなら「話題の薄型大画面テレビが必要」と考える人は多いだろう。ところが別の選択肢もある。プロジェクターだ。価格もだいぶこなれてきて今がそろそろ買い時。そこで「BCNランキング」でプロジェクターの売れ筋動向をまとめた。

●液晶とDLP、ふたつの方式

 プロジェクターには、大きく分けて液晶(LCD)方式とデジタル・ライト・プロセッシング(DLP)方式の2つのタイプがある。

 液晶方式を簡単に説明すると、液晶パネルを透過したランプ光をプリズムやレンズを介してスクリーンに投影する方式。高解像度で大きく投影できるのが利点だ。価格帯としては10万円台と20万円台のほぼ2グループ。ホームユースであれば、10万円台の機種でも十分だろう。10畳?15畳くらいのリビングにぴったりの80型から100型が一般的。ほとんどの機種がレンズシフト機能を搭載しており、仮にスクリーンが真正面になくても、ゆがみなく投影できるよう調節することができる。これも液晶方式ならではのメリットだ。

 一方、DLP方式は、ミクロンサイズの超微小な鏡(マイクロミラー)にランプ光を反射させて、スクリーンに映像を映し出す。光のロスが少なく、高輝度・高コントラストの映像を投影できる上、液晶方式に比べると本体が軽量コンパクトで、ホコリが入りにくいという利点がある。ランプ寿命も液晶方式より長い。完全なデジタル方式なので、DVI-D端子を介して入力するようなデジタル映像ならば、ノイズや劣化のない再生が可能だ。これまでは主にビジネスシーンなどで使われてきたが、最近では、家庭向け10万円台の機種も増えてきている。

●圧倒的に強いエプソン。買うなら年内!

 それでは「BCNランキング」の11月集計時点での販売台数シェアランキングを見てみよう。エプソンが1位?3位を独占している。とくに、販売台数シェア30.3%でダントツの独走をみせているのは「dreamio EMP-TWD1SP」。柴咲コウのテレビCMでもおなじみの、DVDプレーヤー一体型の液晶プロジェクターだ。機能的には、輝度 1200lm・液晶画素数 854×480×3・コントラスト比 1000:1 など普及機レベルだが、DVDプレーヤーや高音質のステレオスピーカーを内蔵している点が人気を集めている。

 面倒な配線をする必要がなく、電源コードさえつなげばすぐにDVD鑑賞ができる手軽さは、他の機種にない魅力だ。さらに、12月末までに購入すると、80型スプリングローラー式スクリーン(16:9 スタンド付き)が無料で付いてくる。9月の発売以来、急速に販売台数を伸ばしている背景には、このスクリーンプレゼントもかなり「効いている」と思われる。スクリーンとスタンド合わせて5万円ほどするものが無料でもらえるのだから、どうせ買うなら年内がおすすめだ。



●名を連ねるハイエンドモデルだが、売れ筋は……

 2位につけている「dreamio EMP-TW20」は、「EMP-TWD1SP」からDVDプレーヤーやスピーカーを省略したモデル、と考えればいいだろう。その分、価格も抑えられている。実勢価格は、「EMP-TWD1SP」の15万円前後に対し、「EMP-TW20」は10万円前後と、3万?5万弱の開きがある。3位の「dreamio EMP-TW600」は、エプソンの家庭用プロジェクターのフラッグシップ機。輝度1600ルーメンは、家庭用液晶プロジェクターとしては最も明るい数値。垂直方向の液晶画素数が720ピクセル以上あって、ハイビジョン映像の投影も可能だ。実勢価格は20万円の前半。

 3位から9位までは「EMP-TW600」と同じ高画素タイプが占めている。4位で健闘しているサンヨーの「LP-Z4(S)」は、同社の液晶プロジェクターのフラッグシップ機で、12ビットの映像処理ICを搭載し、上下最大3画面分、左右最大2画面分も動かせるレンズシフト機能や、7000:1という業界最大のコントラスト比を誇る。

 ハイエンドモデルがトップ10に名を連ねる中、ダントツがエプソンの低価格機という構図は興味深い。しかも3位以下にダブルスコア、トリプルスコア以上の大差をつけている。やはりDVDプレーヤーとスピーカー一体型というお手軽感に、スクリーンがおまけについて10万円台前半というお買い得感が、人気の理由と言えるだろう。



●11位以下では業務用モデルがランクイン

 機種別の販売台数シェア11位?20位を見ても、エプソンが4機種ランクインしている。ただし、エプソンの「Offirio」3機種、ソニーの「データプロジェクター」2機種、三菱の「データプロジェクター LVP-XD110」は、いずれもビジネス向けとして販売されているプロジェクターだ。そうして見ると、11位以下ではビジネス用途での購入がランクに大きく影響していることがうかがえる。

 なお、17位・18位にランクインしている三菱の2機種は、いずれもDLP方式を採用したプロジェクター。実勢価格は10万円以下だ。DLP方式にはさまざまなメリットがあるが、その構造上、レンズシフトが難しいため、設置場所を選ぶ点が、ホームユースとしての普及のネックになっているようだ。



●大画面テレビよりもプロジェクターがお買い得!?

 最後に、今年6月から11月までのメーカー別販売台数シェアの推移を、上位5社の動きで見てみよう。やはりエプソンが首位を独走している。2位以下との差も圧倒的。その2位をサンヨーと松下が争う形だ。



 液晶パネルを自社で製造しているだけあって、エプソンの映像には色の偏りや妙なクセがなく自然に見える。輝度・コントラスト・フォーカスなどもバランスがとれている。ちなみに、サンヨー「LP-Z4(S)」が搭載しているのもエプソンの液晶パネル。いずれにせよ品質は高く、きわめてコストパフォーマンスに優れたパネルだといえそうだ。

 現在、45V型のワイド液晶テレビを買うとすれば、実勢価格で40-50万円は覚悟しなければならない。地上デジタル放送がまだ視聴できない地域だったり、集合住宅のため視聴環境が整っていない場合もあるだろう。しかも「地デジ」に完全移行する予定の2011年7月24日までまだ間がある。完全対応の大型テレビ購入はもうしばらく待って、それまでの間、プロジェクターで大画面を楽しむというのも手だ。80型の大画面が10万円台で手に入るうえ、大げさな設置は必要なく、使う時だけ取り出してテーブルや棚に置いて映写できる。自宅リビングが映画館に早変わりするプロジェクター、一度検討してみてはどうだろうか。(フリーライター・中村光宏)


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