LANというだけでも腰が引けるのに、さらに無線ともなると……というのはもう昔話。設定の自動化が進んだ今では接続は簡単。初心者でも最初から「無線」を選択するケースも珍しくない。そんな簡単無線LANの主流はどんなモデルなのか? 「BCNランキング」の売れ筋でチェックしてみた。

 LANというだけでも腰が引けるのに、さらに無線ともなると……というのはもう昔話。設定の自動化が進んだ今では接続は簡単。初心者でも最初から「無線」を選択するケースも珍しくない。そんな簡単無線LANの主流はどんなモデルなのか? 「BCNランキング」の売れ筋でチェックしてみた。

●メーカーを超えて簡単設定できるAOSSのバッファローがダントツ

 あるショップの話では「パソコンに関してまったくのビギナーでも、最近はいきなり無線LANの環境にしたいというお客さんも多い」という。さらに、「パソコンだけでなく、ゲーム機などの家電機器もインターネット接続するために、余計な配線の必要がない無線LANを選ぶケースも増えている」ようだ。むしろLANといえば無線というのが、今の感覚なのかもしれない。

 では、実際に売れているモデルをみてみよう。11月の「BCNランキング」から売れ筋トップ20を洗い出してみた。今回は無線LAN機器全体の傾向を見るため、アクセスポイントとカードなどの「セットモデル」、「アクセスポイント」単体、「LANアダプタ」と、関連機器を全部まとめたランキングとした。



 上位を独占しているのはバッファローの「AirStation」シリーズ。「AOSS」(AirStation One-Touch Secure System)を搭載し、機器などをセットしてボタンを押すだけで、面倒な接続設定が完了する。同時にセキュリティの設定までできてしまうというのがこのシリーズの大きな特徴だ。

 加えて、さまざまな接続環境に合わせたシリーズ機器が豊富にそろっていることも人気の要因。パソコンだけでなく「ニンテンドーDS」や「PSP」などのゲーム機、マルチメディアモニタなど、各種家電機器との対応を広げていることも見逃せない。家庭を無線LAN化する際の有力な簡単設定の規格として、「AirStation」シリーズの「AOSS」が浸透しつつあるといえそうだ。メーカー別の販売台数シェアにもその勢いは表れている。バッファローは常に50%を越える水準で推移してきたが、ここにきて60%台をうかがう水準までシェアを伸ばしてきた。当面この流れは続きそうだ。



●「セット」で1万円を切る価格も人気の秘密

 この視点から機種別ランキングを眺めてみると、上位を「AirStation」シリーズが独占しているのも納得がいく。トップの「WHR-G54S/P」は、54Mbpsの無線LANカード1枚がセットになった製品。実売で1万円を切るリーズナブルな価格と簡単設定とが魅力だ。「11g」「11b」の無線LAN規格を同時接続することも可能。ランキングではアクセスポイントやLANアダプタ単体の販売シェアを軽く上回っているということを考えると最初の導入用機器として選ばれているようだ。

 また、2位の「WLI-U2-KG54」は、USB2.0用の接続ツール付き無線LANアダプタで、これを買い足せばノートPCなどの無線化も簡単。USB接続というスタイルで、発売以来、安定した売り上げをマークしている。さらに、3位には「11g」「11b」対応の安価な無線LANカードが続く。そして、4位から6位まで、「AirStation」の各種ルータセットが並び、同社の製品が幅広い支持を得ていることがわかる。

 バッファロー以外では、7位にコレガの「CG-WLBARGP-P2」がランクイン。これは「11g」「11b」に対応したルータ&無線LANカードの導入パッケージで、実売6000円台と価格の安さが魅力。また、セキュリティ方式「WPA」を採用し、オフィスへの導入も可能なタイプだ。9位のNEC「PA-WR6650S/SC」は、最新の無線LAN規格である「新11a」(W52/W53)に対応した導入機器で、無線LANでもストリーミングなどの高速コンテンツを楽しめるのが特徴。もちろん、「11g」「11b」との同時接続も可能だ。

 ちなみに、新しい無線LAN 規格「新11a」に対応した機器は、トップ20中5製品あり、少しずつではあるが着実にシェアを広げている。06年にかけて注目したいのは、この規格面での世代交代だろう。光ファイバーの普及に伴って、より高速で安定した通信を望むニーズは、今後ますます高まっていくことが予想されるからだ。ただ、ユーザーとして注意したいのは、既存の「11a」と「新11a」とは互換性がないこと。ファームウェアのアップデートによって接続が可能な場合もあるが、基本的な両者の互換性はないので、子機を購入する際などには気をつけよう。



●簡単に、そしてオールラウンドに無線LANで接続する環境へ

 いずれにせよ、売れ筋の無線LAN製品を眺めてみると、そのキーワードは「接続の簡単さ」と、「コストパフォーマンスの高さ」といえる。その上で、セキュリティや通信の安定性、IP電話対応といった付加価値を加味しながら、ユーザーが製品選びをしていることがうかがえる。06年にかけては、これに新規格の本格普及といった新たな要素が追加されることになるだろう。

 そして、「拡張性」という意味では、パソコンだけでなく、テレビやゲーム機、オーディオ、楽器など、一般家電もインターネットに接続する時代の到来も近い。そのときの対応も見据えながら、家庭内の無線LAN化を考えておく必要があるかもしれない。(フリーライター・山下光弘)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。