産総研、無線IDタグを印刷して作る技術を開発、低コスト化で普及に加速か

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2005/09/07 13:56



 独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研、吉川弘之理事長)の光技術研究部門 有機半導体デバイスグループ(鎌田俊英グループ長)は、スクリーン印刷で作製したアンテナや配線の抵抗を大幅に低下させる方法を開発した。

 プラスチックフィルム基板上に印刷法で形成した配線の抵抗を低下させるために、「圧力アニール」という方法を開発し、高温焼成することなく導体回路を作製することに成功。この方法で作製したアンテナ回路は、市販の真空プロセスで作製したアンテナと同等の感度を示した。さらに、この技術を適用して、無線IDタグをすべてスクリーン印刷で作製したところ、その無線タグが5?40MHzの周波数で動作することを確認した。

 「圧力アニール」法は、導体として利用するインクの焼成を200℃以下で行っても、十分低い抵抗値であるため、プラスチックフィルムなど柔軟性のある基板に、配線や電極を印刷で形成する場合に適用できる。この特性から、高感度無線タグを製造することが可能になり、無線IDタグの低コスト化と大量普及の加速が期待できるとしている。

 今後、さらに大容量の記録を実現するため、さまざまな電子部品の製造技術や回路設計などを含めて、開発を進めていく予定。