セキュリティソフトのトレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)は23日、東京都内で「“セキュリティインフラサービス企業”としての取り組み」と題した事業戦略説明会を開いた。同社は4月23日、ウイルス対策に必要なパターンファイルを十分なテストを行わずにユーザーに配布し、大規模なシステム障害を引き起こしている。<br />


 セキュリティソフトのトレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)は23日、東京都内で「“セキュリティインフラサービス企業”としての取り組み」と題した事業戦略説明会を開いた。同社は4月23日、ウイルス対策に必要なパターンファイルを十分なテストを行わずにユーザーに配布し、大規模なシステム障害を引き起こしている。

 今回の説明会では、エバ・チェン社長兼CEO、マヘンドラ・ネギCFO(最高財務責任者)、大三川彰彦・日本代表執行役員、清水智・トータルクオリティマネジメント担当ディレクターの4氏が、先のシステム障害発生後から現在までの活動、品質向上に向けた取り組み、日本における取り組みなどを説明した。

 エバ・チェン社長兼CEOは、「4月末のパターンファイルによる問題以降、トレンドマイクロは大きなな困難に直面した。それはまるで嵐のようだった。しかし雨が降った後には地面が固まるように、今回の問題を教訓に、トレンドマイクロは、企業の社会的責任、顧客と競合他社へのフォーカス、技術革新への注力をさらに進めていく」と挨拶した。

 同社の発表によると、4月末の障害発生以降、5月9日から6月15日までの間に復旧窓口を利用したユーザーは、一般の個人ユーザーが28,300件(全個人ユーザーの0.8%)、法人ユーザーは700件(全法人ユーザーの0.6%)。4月30日以降、48のパターンファイルを配信し、アウトブレイクした7つのウイルスを含む2,854の新しいウイルスシグニチャを追加。また、9人のシニアマネージャ(日本から1人、台湾から8人)をフィリピンの同社ラボに派遣し、教育・改善策を行った。さらに、日本IBMとの提携によるテストセンターの設立などによって、テストプロセスの多重化を行うなどの再発防止策をとった。

 品質向上に向けた取り組みについて、清水智・トータルクオリティマネジメント担当ディレクターは、(1)検証設備の増強とプロセスの自動化、(2)監査体制と教育体制の拡充、(3)検証プロセスの見直しと認証方式の強化、のつの施策によって、高品質なパターンファイルを発信する体制を構築するとした。検証設備の増強では、ハードウェアを1000台規模に増強し、さまざまな検証作業を自動化し、検証プロセスによる検査時間の短縮を図っている。

 日本での取り組みでは、サポートセンター「ウイルスバスタークラブセンター」窓口の電話受付時間を7月2日から1年365日9時30分から17時30分までとした。また、パソコン以外の連絡手段として、「FAX BOX情報サービス」や携帯電話によるサポート「教えて!ウイルスバスター」、最新ウイルス情報を携帯電話からチェックできる「トレンドマイクロモバイルサービス」を用意した。

 なお、今回のパターンファイル問題による業績への影響について、マヘンドラ・ネギCFOは、「まだ四半期決算の数字がまとまっていないため、業績への影響についての数字は発表を差し控えたい」とした。

 最後にエバ・チェン社長兼CEOは、「ウイルスバスター2005のデイリーアップデートを7月11日から再開する」と発表、高品質のサービスと革新性でユーザーのセキュリティ確保に貢献していくと、同社の戦略を締めくくった。