携帯オーディオ、「iPod shuffle」効果でフラッシュメモリが5割超す

特集

2005/03/17 21:23



 人気の携帯オーディオ市場で、フラッシュメモリタイプがHDDタイプに代わって、過半数のシェアを占めるようになってきた――。BCN(奥田喜久男社長)の市場調査部門であるBCN総研が、BCNランキングデータの分析をもとに携帯オーディオ市場の動向をまとめた。

 携帯オーディオ市場は、堅調な需要に支えられ、引き続き拡大傾向で推移している。こうしたなか、市場構造には変化が生じており、携帯オーディオのタイプ別では、これまで市場をけん引してきたHDDタイプを上回る勢いで、フラッシュメモリタイプ(カード、USBメモリを含む、以下同じ)が躍進している(図1)


 この要因となったのは、05年1月のアップルによる「iPod shuffle」の投入である。これまでもフラッシュメモリタイプの市場は増勢傾向で推移し、携帯オーディオ市場内でのシェアも緩やかながら拡大していた。しかし、アップルの参入により、携帯オーディオ市場におけるフラッシュメモリタイプのシェアは04年12月の38.6%から05年1月には48.9%に拡大。2月には53.8%と過半数を占めるに至り、携帯オーディオ市場のなかでの存在感が急速に増している(図2)


 フラッシュメモリタイプの携帯オーディオの主要メーカー別販売動向をみると、04年12月から05年2月の間でRio Japan、iRiverなどの増勢傾向が鈍化している(図3)。04年12月から翌1月にかけては、クリスマス需要の反動減もあろうが、その後2月までの落ち込みについては、アップルのフラッシュメモリタイプ市場参入による競合激化が要因と思われる。


 同様にフラッシュメモリタイプの主要メーカー別販売数量構成比をみると、アップル参入以前の04年12月までは、Rio Japan、iRiverが2社で市場の過半数を占める2強体制となっていたが、05年1月以降は、アップルを含めた3強体制へと移行している(図4)


 HDDタイプではアップルが圧倒的なシェアを誇っているが、フラッシュメモリタイプでは、シェアを落としながらも、依然、先行2社が上位をキープしている。ただ、アップルと上位2社との差は縮まってきており、需要が堅調に推移するなか、今後のシェア争いは一段と熱を帯びそうだ。

 販売店などによると、「iPod shuffleの人気は強く、入荷すると数日で完売となってしまい、品薄の状態が続いている」としている。販売店への製品供給がより潤沢になれば、アップルのシェアは一段と拡大し、HDDタイプ市場同様にアップルが圧倒的シェアを握る可能性も考えられる。

 アップルの「iPod shuffle 512MB」の平均販売価格は1万400円、「同 1GB」の平均販売価格は1万6100円と、他社の同容量の製品に比べ格安となっている(表)。iRiverやクリエイティブメディアなど値下げによる対抗措置を行っているメーカーもみられ、価格面での競争も激化していくことが見込まれる。