総務省は、放送開始からちょうど1年経った2004年の12月1日、「地上デジタル放送の開局ロードマップ」を発表した。それによると、12月1日時点で視聴可能世帯数は1800万世帯、世帯カバー率は38%だという。実のところ、関東や関西の主要地域ではすでに地上デジタル放送が視聴できる状態で、先行したBSデジタル放送も、BSアナログが視聴できるアンテナがあれば地域を選ばず視聴可能と、地上デジタル放送の視聴環境が整ってきている。

 まずは、「地上デジタル放送」についてざっとおさらいしておこう。現在の地上アナログ放送と同じく、各地域の放送局からその地域に向けて電波が送信されるため、より地域に密着した番組が提供できるのが大きな特徴。デジタルハイビジョン放送ならではの高画質・高音質番組を提供できるほか、今後は双方向番組、高齢者や障害者にやさしい福祉番組、暮らしに役立つ最新情報番組も増えていくだろう。

 こうした魅力にメーカーも対応を進めている。「BCNランキング」で、DVDレコーダーの地上デジタルチューナー内蔵機種ベスト10を見てみよう(表)


 一目でわかるのは、日立、シャープの2社が地上デジタルに積極的なこと。価格も10万円くらいからと、比較的身近になってきた。将来的な地上デジタル放送を見据えたユーザーが購入を決めている。

 1位のシャープ「D・combo DV-HRD2」は、160GBのHDDを内蔵したDVDレコーダー。地上・BS・110度CSデジタルハイビジョンチューナーを搭載し、HDD上でハイビジョン録画/再生が可能。互換性にも優れ、DVD-RW/R録画・再生、DVD+RW/+R再生が行える。さらに、ハードディスクに録画した番組を「i.LINK」経由で出力できる。04年2月の発売ながら、ハイビジョン対応モデルとしてロングセラーを続けている。

 2位の日立「Wooo DV-DH160T」(04年11月発売)も160GBの機種で、1位の「D・combo DV-HRD2」がもつ機能に加え、DVD-RAMの録画・再生が可能。「i.LINK」端子は搭載しない限定生産モデルだが、上位機種では「i.LINK」端子を標準で搭載している。

 8位には、まだ少数だが次世代DVD規格「ブルーレイディスク」対応モデルも入った。CDと同じサイズながら、27GBというCDの約42倍のデータ容量をもち、デジタルハイビジョン放送が2時間以上も録画できる。

 各種デジタル放送を録画する方法としては、こうしたDVDレコーダーなどに放送中のデータストリームをそのまま記録する方法と、デジタルチューナーがデコードした放送内容をアナログ端子経由で外部機器に記録するという2つ方法がある。いくつかの注意点をみていこう。

 まず、画質優先で考えるなら前者のデータストリームをそのまま記録するDVDレコーダー録画がオススメ。放送されている内容を「そのまま保存」できるため、圧倒的なまでに美しいハイビジョンクオリティでタイムシフト視聴が楽しめる。また、5.1chサラウンドデータや各種文字データなども一緒に送信されるため、音声データの劣化もなく、放送時の文字データもそのまま保存可能だ。

 価格的にちょっと手が出ないのであれば、アイ・オー・データ機器の「Rec-Pot M」もいい。これは、デジタルチューナーユニットやデジタルチューナー内蔵のテレビと「i.Link」で接続し、「データストリームを外部から取得」してHDDに記録するタイプの製品。DVDレコーダーが内蔵チューナーからデータを取得するのに対し、「Rec-Pot M」は外部のチューナーユニットから取得する。

 ハイビジョン録画の問題は、データストリームのコピーを作れない「コピーワンス問題」と「録画に必要な容量が非常に大きい」ということ。

 地上デジタルが最大で17Mbps、BSデジタルが同24Mbpsと、市販のDVDビデオディスクを超える高いビットレートで放送されている。このデータストリームをそのまま保存する訳なので、1番組あたりの容量が大きくなってしまう。DVDレコーダー標準ビットレートだと1時間番組で2GB程度。これが地上デジタルのデータストリーム録画1時間番組だと7GB、BSデジタルなら10GBにまで膨れあがる。必然的にHDDに記録できる時間数が少なくなってしまう。

 ハイビジョンクオリティでなくてもよいというなら、デジタル放送に対応したチューナーやテレビからアナログ出力経由でDVDレコーダーやテレビパソコンに録画するのも手。これが2つめの外部機器による録画方法だ。

 DVDレコーダーやテレビパソコン側が「CPRM」というコピーガード方式に対応している必要はあるが、現在はほとんどのDVDレコーダーが対応していて、テレビパソコンでも対応モデルがいくつか登場している。ただ、この場合はデジタル放送ならではのクオリティを楽しむことはできない。また、アナログ録画でもコピーガード信号が付加されるため、再生に制限がかかっている。

 地上デジタル放送の拡大とともに、コスト的な問題も解決しつつあり、今後は、ハイビジョン録画機能に対応した魅力的な製品も増えていくだろう。(フリージャーナリスト・竹内亮介)