CPUの革命児「新Centrino」は、ノートPCの未来を変えるか

特集

2005/01/25 22:20

 インテルが1月19日、ノートパソコン向けのチップ群「Centrino」新製品を発表した。チップ群とは、コンピュータ内で基本的な演算処理を行う、いわばコンピュータの心臓部に当たるもので、「新Centrino」では、デスクトップ向けと同等のアーキテクチャ/機能をチップセットに盛り込み、ボトルネックとなっていたグラフィックス機能を大幅に向上した。ノートでも3Dオンラインゲームが不満なく動くようになり、今後の主流となっていきそうだ。まずは、「BCNランキング」1月2週におけるノートパソコンCPU別の構成比を確認

 インテルが1月19日、ノートパソコン向けのチップ群「Centrino」新製品を発表した。チップ群とは、コンピュータ内で基本的な演算処理を行う、いわばコンピュータの心臓部に当たるもので、「新Centrino」では、デスクトップ向けと同等のアーキテクチャ/機能をチップセットに盛り込み、ボトルネックとなっていたグラフィックス機能を大幅に向上した。ノートでも3Dオンラインゲームが不満なく動くようになり、今後の主流となっていきそうだ。まずは、「BCNランキング」1月2週におけるノートパソコンCPU別の構成比を確認しておこう(図)

 これによると、一番多くのシェアを占めるのが「Celeron M」の25%で4分の1を占める。04年1月に発表されたノートパソコン向けの低価格マイクロプロセッサで、同社「Pentium M」の廉価版だ。

 「Pentium M」は、03年春に発表されたノートパソコン向けマイクロプロセッサ。これまでは、ほとんどがデスクトップパソコン用の製品に小幅な改良を行ったものを採用していたが、「Pentium M」は最初からノートパソコンに搭載することを前提に設計した。この「Pentium M」から「Celeron M」、「Centrino」が生まれているわけで、その設計完成度の高さがうかがえる。

 「Pentium M(Centrino)」も、23%と4分の1を占める勢い。「Centrino」は、「Pentium M」とチップセット、無線LANモジュールの3つがセットになっている。完全に統合されたワイヤレスLAN+性能、バッテリー持続時間、携帯性などの優れたモバイル・パフォーマンスをノートPCに提供する。

 今回のインテルの発表は、この「Centrinoプラットフォーム」の刷新。目玉はチップセットの「Intel 915GM/GMS/PM/GML」で、PCI ExpressバスやHDオーディオ、デュアルチャンネルメモリアクセス、高速なDDR2メモリへの対応など、デスクトップ向けパソコンとほぼ同等のインターフェイス性能をサポートした。また、ローエンドクラスの3Dグラフィックス機能までもサポートするようになった(Intel915PMを除く)。

 これにあわせて、メーカー各社も「新Centrino」に対応する製品を発表している。ソニーはノートPCのハイエンドモデル「VAIO Type A」を筆頭に、ファミリー向けの「VAIO Type F」、パフォーマンスモバイルの「VAIO Type S」と、実に3モデルをラインアップした。東芝は15.4型ワイド液晶の「dynabook VX」とデータ保護機能と耐衝撃性を強化した「dynabook SS LX」のA4フルサイズノート2モデル。メジャーメーカーとしてはもう1つ、シャープが「Mebius MR80H」を投入している。

 また、NECは「新Centrino」をそのまま採用するのではなく、FSBが533MHzに高速化した「Pentium M」の新バージョンのみを採用し、チップセットにはATiのグラフィックス統合チップセットを利用している。

 現在のノートパソコンの売れ筋モデルは、どれもA4フルサイズのシンプルなホームユース向けモデルが人気なので、そうした観点から「新Centrino」搭載の春モデルをいくつか紹介してみよう。

 まずは、ソニーの「VAIO Type Fシリーズ」に注目。TV機能などは搭載しないシンプルなモデルで、「Celeron Mモデル」も含めれば実売価格にして16?23万円と、いわゆるボリュームゾーンを広くカバーしている。他社の新Centrino(および新Pentium M)対応モデルがミドルエンドからハイパフォーマンスモデルに集中していることを考えれば、お得感も増すだろう。

 20万円以上の予算なら、2kg以下のパフォーマンスモバイルがオススメ。「パフォーマンスモバイル」とは、軽量なボディにパワフルなシステムを封じ込めたモデルで、自宅とモバイル、まったく同じ環境でパソコンが利用できる。これまで、このモデルはモビリティを重視するため、CPUやグラフィックス性能などに若干の制限が生じていたが、「新Centrino」の登場によってパフォーマンス面の不安はほぼ解消した。少々高いが、シャープの「Mebius MR80H」やソニーの「VAIO Type S」あたりなら、しばらくは買い替えを考えなくてもすむだろう。今後、「新Centrino」がどこまで構成比を伸ばせるか、目が離せない。(フリージャーナリスト・竹内亮介)