携帯オーディオでシリコンタイプが急伸、各社入り乱れての混戦に

特集

2004/12/28 14:55

 「iPod」のヒットを受けて、携帯オーディオプレーヤーの人気が高まっている。それにともない、さまざまなタイプの製品が見られるようになった。これまでは「iPod」のようなハードディスク(HDD)タイプが主流だったが、より小型で軽いフラッシュメモリタイプが20代から30代の若いユーザー層に人気だ。

 「iPod」のヒットを受けて、携帯オーディオプレーヤーの人気が高まっている。それにともない、さまざまなタイプの製品が見られるようになった。これまでは「iPod」のようなハードディスク(HDD)タイプが主流だったが、より小型で軽いフラッシュメモリタイプが20代から30代の若いユーザー層に人気だ。

 とくに、リオ・ジャパン、アイリバーがデザインに凝った製品や初心者取り込みを狙った製品などを販売し、多くのファンを獲得してきている。販売する製品の値段や顧客層、デザインなどで各社の個性が明確になってきた。

 ところが、ここにきて、携帯オーディオ上位3社がこれまでの得意製品を基盤に、新たなタイプの製品を販売しようとする傾向が高まってきている。ユーザーにとっては、新製品が増えて、選択肢の幅が広がっていきそうな気配だ。

 「アップルが来年あたりいよいよ発売するのではないか」、と噂されているのがフラッシュメモリタイプの携帯オーディオ。同タイプで先行するリオとしても、新ブランド「SiGN(サイン)」やHDDタイプの「Rio Carbon」のラインアップを拡充していく予定。

 アイリバーも先日、iPodと同じようなHDD製品「H10[5GB;color]」を投入した。同社の遠藤信久社長は、「来年度は市場シェア30%を目指す。そのうち半分はHDDタイプの販売と見込んでいる。つまり、この新製品で市場の15%を獲得するということだ」と、かなりの力の入れよう。HDDタイプで先行するiPodの牙城に挑む。

 こうした動きをとるのは、各社が次の戦略を打つ時機に差し掛かっていることを示している。遠藤社長は、「フラッシュメモリタイプで市場をとったら、次はHDDタイプ。その時機がきた」といっている。これまで、得意分野のブランド確立に力を注いだ各社に変化が出始め、携帯オーディオ市場が来年あたりから3社入り乱れた乱戦模様となっていきそうだ。

 これまでのタイプ別販売台数上位を見てみよう。「BCNランキング」から、(1)HDDタイプ、(2)フラッシュメモリタイプ、(3)USBメモリタイプ(付属アダプタも含め、USB直付け可能な製品)――の3つに分類してみた。HDDタイプではアップルが、フラッシュメモリタイプではアイリバーが、USBメモリタイプではリオが、それぞれシェアを独占している構図が鮮明に見てとれる。

 HDDタイプは、「iPod 20GB」、「iPod mini」が人気だ。「iPod mini」でも4GBと、フラッシュメモリタイプなどに比べて格段に大きな記憶容量をもつ。その分価格は高めで、ランキングでは、平均単価が2万5000円?3万円、4万円あたりまでが売れ筋となっている。最近では、カラー液晶搭載モデルやタッチパッドの採用、フォトストレージやFMチューナーなど、多機能化が進んできた。(表1)


 フラッシュメモリタイプは、軽量・小型・多機能とともに、ネックレスタイプのモデルなど、デザインも豊富。ランキングを見ると、12月2週(12月13日?19日)の1位はアイリバーの「iRiver プリズム-128MB」だったが、平均単価8103円と、旧モデルのセールが行われたようだ。本来なら次の2位、3位と続く「iFP-890」がトップにくるのが順当で、価格も1万8000円前後。パソコンがなくても直接録音することができたり、約40時間の連続再生が可能と、機能性が受けている。また、2位から6位までのモデルが256MBとなっており、購入者もHDDタイプとはっきり区別して購入しているようだ。(表2)


 USBメモリタイプは、フラッシュメモリで、USB直付けができるモデル。リオの「Rio SU10 128MB」、「同 256MB」がほぼ上位を独占している。とくに、「Rio SU10 128MB」は1万円を割っており、手頃な価格と容量から携帯オーディオ入門者に購入されているような感じだ。(表3)


 今後、各社が他社の製品タイプシェアを切り崩しにかかることから、ユーザーにとっては、新しい魅力ある製品が増えていくことだろう。当分は携帯オーディオ市場で各社の激しいバトルが繰り広げられそうだ。